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Catch218 彫刻

彫刻は分からない。分からないのに駅前や役所やら身近な所に結構ある物です。

 とあるプロの画家のアトリエにお邪魔した時の事。展示即売会をやるというので出品する作品の運び出しをお手伝いする為に伺ったのですが、(金銭的に)世界が違いました。


 何でもその方は若い頃フランスに渡り製作活動をしていたそうで、有名な「洗濯舟」の近くに住み、洗濯舟に住んでいた貧乏時代のピカソやモディリアーニなどとも交流があったとか。


 現にご自宅とは別の場所に建つアトリエの玄関に飾られていた鳩のペン画にはPicassoのサインが。恐る恐る「本物ですか?」と訊いたら普通に「そうだよ」とのご返事でした。


 そしていざ運び出すべく作業スペースへ入ると、そうですねぇ、ざっと4~50点ほど完成作や途中の物が壁や床にドカドカと置かれていました。何号になるのか知りませんが3~4m位あるおっきいのから14~5cm位の小さな物まで様々です。油絵具の独特の臭いが満ちていて、アトリエだけに大きな採光窓からたっぷり入ってくる光を浴びて中々な雰囲気を作っておりました。


 凄かったのはそれからです。運び出しに取り掛かった所、画伯が「これを」「こっちもいいかな」等と出展する作品を次々と指し示し、私や主催者がハイハイと梱包や搬出をしているのと平行で、即売会ですから値段を決めてメモ書きしていくのですが「200万円」やら「600万円」やら「1400万円」やら、普段の生活では聞く事の無い数字がボンボン飛び出して来るもので、「お金って有る所には有る物なんだなぁ」とひたすら感心しておりました。


 先日『Catch210 世紀末師匠』で書いた通り、東京暮らしを始めたばかりの頃は、上野の国立西洋美術館などによく行っておりましたが、あの松方コレクション(これについても日を改めて書きますね)を中心とした西洋の近代美術は好きだった物の日本の近代美術には大して関心がなかった物で、謂わばこれは不意打ちに近い衝撃でございました。



 先日、とある美術紹介番組で彫刻家の船越桂さんが取り上げられていました。船越桂といえば戦後彫刻界の代表的な作家・船越保武氏の息子さんです。


 保武氏が終戦直後の困難な時期に幼い子ども(桂氏のお兄さん)を亡くし水仙の花を貰いに行くエピソードを記したエッセイは国語の教科書で読んだ方も多いと思います。私も教科書で知りました。


 桂氏の作品は小説家・天童荒太さんの代表作『永遠の仔』の表紙に使われたかなり癖のある彫刻ですが、保武氏は安定感のある美しい作品が多い(検索した限りではですけど)ので、(じか)に見る事が出来るなら見てみようと思っておりました。


 船越家や桂氏について検索していたらGoogleでマップに表示が出るではあ~りませんか。


 ここ高田馬場から最も近い船越保武氏の作品は東京都庁は都民広場にある『はばたき』という物でした。一時期都庁を業務で毎月訪れていた事もあったのに全っっったく彫刻に興味が無かった私はそんな物があった事すら覚えていませんでした。


 さっそく家族と出掛けてみたらば、ありましたよ『はばたき』。それ以外にも彫刻やよく分からないオブジェのような現代アートやらが結構据えられていましたが、大変申し訳ない事に作者の名前すら知らない方ばかりで、正直「へぇ~ぇ?」で終わってしまいました。


 即売会のお手伝いで伺った画伯もどこやらの県庁のロビーとかどこかの市役所のホールやらに作品が飾られている凄い(らしい)人だったのですけど、何で行政はこうした所にお金を使いたがるのでしょうかね。


 高田馬場のロータリーにも『平和の女神』とやらいう像が立っていますが、あることに気がついている人はどれだけいるのでしょうか。


 恐らくとんでもない額のお金を使って買った物なのでしょうけれど、費用対効果で釣り合う物なのか私には全く分かりません。分かりませんが、文化とはそういう物なのかなとも思っています。

都民広場に立っていた作品はそのうちみてみん経由で掲載します。

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