Catch211 道筋
人種や性別、国籍などで括りたがる人、雑です。
イスラエルによる大規模な虐殺行為が続いています。この事態に第二次世界大戦中に大量のユダヤ人を救った元駐リトアニア領事の杉原千畝さんを批判する意見が上がっていると聞きました。
「こいつが沢山ユダヤ人を助けたからイスラエルに殺される人が増えたんだ」という事でしょうか。ちょっと意味が分かりません。
杉原元領事を「殺人者 (の、ご先祖様)を助けたのが悪い」と考える人は「ガザでパレスチナ人が殺され続けている」→「パレスチナ人を殺すイスラエルは悪い」→「イスラエルを作り支える事になるユダヤ人を助けなければイスラエルはここまでやりたい放題にならなかった」→「杉原千畝はユダヤ人を助けたりせずにそのままナチスに殺させておけば良かった」と考えている事になります。
ん?
無辜のパレスチナ人たちを殺す事が「悪」ならユダヤ人である事を理由に彼らを殺そうとする事も「悪」で、それを防いだ杉原元領事の行いは立派な事ですよね。イスラエルの軍事行動を止めたい=パレスチナ人たちを助けたい、のなら杉原元領事の側に立たないと。
こうした支離滅裂な考えをする人々はパレスチナ人の命は守るべき尊い物でユダヤ人の命はそうではない、と思っているのでしょうか。
その根拠は何ですか?
なぜ人種ごときを他人から生き死にの理由にされなければならないのでしょう。仮に人種の差が「殺していい理由」になるのであれば、性別は?資産力の差は?国籍は?思想は?「人種の違い」が殺していい理由になりこうした諸々の違いが理由にならないのはどうしてか、是非とも違いを説明して下され。
人種などではなく「虐殺行為」が悪いというならベトナムで非武装の村人3000人を殺した(ソンミ事件)アメリカ人は?中国大陸のあちこちで集団虐殺事件を起こした(南京、平頂山、撫順、その他)日本軍は?今現在もウクライナにボッカンボッカンとミサイル・砲弾を撃ち込んでいるロシアは?
それで「皆殺しにした方がいい」「いなくなった方がいい」とはならないでしょう。
他人が人の命を決めるなど思い上がりも甚だしい。況してや私たちはイスラエルの最大の後ろ楯になっているアメリカの従属国・日本に暮らしているのです。下らない人種差別思想、ナチスの劣化版みたいな安っぽい「殺す側の論理 (©️本多勝一)」を披露している暇があったら自分たちが選んだ奴隷根性丸出し政権を何とかしましょうよ。
せめてアメリカがガザへ撃ち込むミサイルをイスラエルに売るのくらいは止めさせれ。止めさせようとする政治家を増やす為に自分たちも何かしら動いてみましょう。
先日、イスラエルがグテレス国連事務総長に対して「ペルソナ ノン グラータ」、つまり「好ましくない者」「入国許可を出さない方がいい人物」として入国禁止措置を取りました。
イスラエルの軍事行動を今回の件だけでなく欧米を中心とした国際社会が黙認してきた長年に渡る弾圧・虐殺行為も含めて「直ちに止めるべき愚かな行為」だと厳しく批判された事に対する逆ギレです。或いはこのままでは過去に起こした「愚かな行為」を再調査された上で罪に問われかねない事態に本格的に「マズい」と焦り始めたか。
グテレス氏がイスラエルに取って「好ましくない人物」ならばイスラエルは「テッラ ノン グラータ」、国際社会に取って好ましくない国と成り果てています。それはイスラエルという国の振る舞いと意志決定しているネタニヤフ政権が愚かなのであり、断じて「ユダヤ人だから殺した方が良い」とはならないのです。
杉原元領事を責めている皆さん、違いが分かりますか?
一般社会で考えれば簡単に分かると思います。法律が人を殺す、社会から排除する場合、死刑制度があります。大量殺人など犯した罪に応じて処刑する訳です。
あくまでヤラカシタ者を排除するのであって「殺人者が暮らしていた同じ町内に住んでいる人たち」も「同じように危ない奴らだろうから死刑にしよう」とはならないんです。当たり前ですよね。「ロシア人が」「ユダヤ人が」と一括りに決めつける人たちはこの「当たり前」が分からない。
迷惑者を排除するのはあくまで法によって力を使う事を付託された者。一般社会なら警察や執行官で国際社会なら国連と国連軍です。
大国の思惑で紛争や戦争を力で抑え込む「国際社会の警察官」たる国連軍の編成も出来ず、勝手に有志連合などという「国際社会での民兵」が介入する事が珍しく無くなっていますが、本来の解決への道筋を見失わないように心掛けたいと思っています。
おかしいと感じたら括る前に調べてみましょう。