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Catch195 軍人の評価

軍事を封印・否定するのが「平和教育」ではないと思うのです。

 再放送中の『坂の上の雲』。改めて出来のいいドラマだと思います。原作者の司馬遼太郎氏は発表後に相次いだ映像化の申し込みを「時期尚早」と全て断っていたそうです。


 この「近代日本の成功物語」を映像化してしまうと日露戦争後に日本が歩んだ軍国主義と同じような誤った政治的意見が強まってしまうのではないかと怖れたからと言われています。


 明治期に相次いだ戦役での成功で軍人が花形職業の1つとなりました。子どもたちが「成りたい」と思える仕事になったのです。「社会的評価が上がった」と言い換えてもいいでしょう。その大きな切っ掛けが日露戦争で辛うじて優勢勝ちに持ち込めた成功体験だった訳です。


 皮肉な事に司馬氏自身は旧日本軍の戦車部隊に士官として従軍した経験から昭和の陸軍に幻滅しており、「明治の頃は良かった(様に思える)のにどうしてこうなった」との想いや考察をエッセイで書き残しています。それが後の膨大な作品群を生み出す事に繋がるのですが、それはまた別項にて。



 私の出身地・新潟県の出身で有名な軍人と言えば、陸軍で本間雅晴中将、海軍なら山本五十六元帥でしょう。


 本間中将は第二次世界大戦でフィリピン攻略を担当し、悪名高い精神論参謀・辻政信から犠牲を問わず短期で作戦を終了する様に兵力不足のまま攻略を強要されながらも、バターン半島とコレヒドール島にマッカーサーを追い詰めて勝利した名将です。


 マッカーサーは命からがら陥落寸前のコレヒドール島から脱出しますが、本間中将自身は彼を「作戦指揮にも施政にも優れた良将」と高く評価していたそうです。


 一方のマッカーサーはこの時の事が余程屈辱に感じたらしく、日本の敗戦後に本間に直接責任の無い「死の行進」の件で無理矢理戦犯に仕立て上げて処刑してしまいました。陸軍切っての英国通としての知性を持つ、当時の日本陸軍には珍しい人材でしたが、マッカーサーに取っては「自分に恥を掻かせた黄色い猿」でしかなかったようです。


 山本五十六は言うまでも無いでしょう。第二次世界大戦の太平洋戦線でアメリカに最も警戒された海軍指揮官でした。


 他のジャンルで挙げれば文化人で西脇順三郎 (詩人)、坂口安吾 (小説家)、高橋留美子 (漫画家)、アスリートでジャイアント馬場。


 戦国大名なら永久名誉ヒーロー上杉謙信。

武士・政治家としては河井継之助 (長岡藩家老)、小林虎三郎 (同藩士。「米100俵」の人)。戦後の政治家で田中角栄元総理大臣。宗教家なら牧口常三郎 (創価学会創立者)……アレ?。


 結構いますね、新潟県生まれの有名人。


 冒頭に名前を挙げた軍人のお二人も、本来こうした偉人・有名人と並んでいい郷土の出世頭です。軍人は旧憲法時代の社会では権威の一画でした。


 飾らずに言えば私ら新潟県人の生の感覚では今でもそうです。しかし戦後のピントがズレた「平和教育」の結果なのか、功績も人品も優れた“郷土の偉人”を「軍人だから」と除いて話題にし辛い風潮が作られてしまいました。


 まぁ、地元では根強く「エライ人扱い」が続き語り継がれていますけど、「米100俵」が教科書に載る事はあっても本間中将や山本元帥が歴史以外の教科書に登場する事は当分無いでしょう。



 帝国憲法時代の感覚では軍の高官である将官や元帥は大臣や博士に並ぶ「エライ人」でした。それは本来戦犯だった筈の辻政信 (将官ではありませんが参謀本部のエ・リート)が戦後に地元の熱烈な支持を集めて国会議員に当選し続けた事でも分かります。


 辻はともかく生きていた当時も高い評価をされていたエライ人を素直に「偉かった」と語る事が出来て初めて客観的科学的な歴史教育が果たせるのだろうと考えています。

軍国主義の復活と軍人の評価は関係無いと思います。軍人だって国家公務員なんですから。

変な色を付けようとするからややこしくなるんです。

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