Catch188 土台
今またカードゲームがデジタルと融合した形でプレイヤーを増やしているそうですが、今は昔のテーブルトークのお話です。知らないでしょ?
『なろう系』で括れるくらいもはや説明不要で「転生」や「異世界」という概念が物語のベースとして認識されています。ジャンルで「ファンタジー」に入る作品が次々アニメ化も果たしさらに認知度が上がる好循環にある様です。
大した説明もなく「ゴブリン」やら「スライム」やら「ドラゴン」やら「エルフ」やらが生きていて退治したり仲間になったりする世界。元ネタはRPGことロールプレイングゲームです。もちろん今このサイトでファンタジー作品を書いている方々にとってその「ゲーム」とはPCやゲーム専用機器で遊ぶコンピューターゲームでしょう。そのRPGにさらに元ネタがあった事をご存知でしょうか。
『ソードワールド』というテーブルトークゲームが今あるほぼ全てのファンタジー系RPGの原型でした。剣士・魔法使い・弓兵・騎士など様々な戦闘力や特技を持つ者がパーティーを組んで旅をして回り、経験値やレベルを上げて行くのですが、恐ろしい事にこのテーブルトークというゲームはカードとサイコロでアクションを進めるアナログ時代の最終形みたいな物でした。
コンピューターゲームで機械が一瞬でやってくれる戦闘計算、あの「魔法攻撃:威力12×敵防御力:9=HPが3減る」等のアレを延々カードを引いて出現した敵の数や種類を決め、サイコロ (複数)を振って攻撃数値を決め……とやっていたのです。
「トーク」というだけあって設定に限りがあるデジタル化されたコンピューター版とは違い、その際に出る会話は生のプレイヤー同士の無限のやり取り、言葉です。
「げっ、無理!」とか
「悪いな、俺はこんな所で死ぬ訳にはいかないんだ」
「おいっ!逃げるなぁ!」
「「「卑怯者ぉぉぉ!」」」
など自由自在。ゲームの進行は滅茶苦茶遅い物の、中々プレイヤーの成りきり具合が面白うございました。
ゲームソフトが出来、人数を集めなくても一人でプレーが可能になり、何より一番の難点だった時間がすっごく掛かる部分が解消された事で「一部の変人たちがより集まってやっていた空想ゲーム」が一気に広がりました。コンピューターゲーム世界で既に『ゼルダの伝説』や『ドラゴンクエスト』が商品化されていた事も人気の下地になっていたかも知れません。
『ソードワールド』の世界がゲーム化したのが『ロードス島戦記』です。『ソードワールド』は世界地図が付いており、日本を中心にした現実の世界地図で言うとニュージーランドのさらに東側辺りにあるその世界では中々大きめの「ロードス島」が設定されていました。そのロードス島で繰り広げられる冒険や戦闘をゲーム化しました。アニメ化もされたので覚えている方もいるでしょう。
中世ヨーロッパをモデルにしたような人類社会の設定とトールキンの『指輪物語』で「エルフ」や「ドワーフ」などヨーロッパで言い伝えられてきた伝説上の生き物たちが文学で市民権を得て、テーブルトークでさらにゲームの世界に採用されました。
そしてコンピューターゲームの世界へ進化した事で認識が一般化し、今また文学の世界へ大量に還元されています。
「原点」がトールキンで「土台」はテーブルトークと言えると思います。
戦略シュミレーションなどもカードとサイコロの世界でございました。『レッドサンブラッククロス』なんて傑作だったと思います。何でコンピューターゲーム化しなかったんだろう。