Catch177 ポピュリズム
少し長くなりましたので分割します。
オタク気質な方が増えている気がします。知識が狭く深い。多角的な判断が出来ず興味を持ったごく限られた物事にしか関心を示さない。個人としてはそれも人生の勝手ですが、有権者の一員として無責任な投票行為に結び付くととても困ります。
初めに違和を覚えたのは例のNHK党騒ぎです。いや、それ以前にも救世主イエスを名乗る方とか発明王を自称する特許ゴロの方とか“面白候補”はいましたけど、幸いと言いますかそうした方々が責任ある地位に選ばれる事はありませんでしたから。
しかしNHK党は制度の隙を突いて候補者掲示板を広告料を取って売り出したり、「ワンイシュー」と称してNHKを攻撃したり、まともに政治に取り組んで行く姿勢を未だに感じられません。しかし騒ぎを起こす様子が面白いのか今や一定の政治勢力として定着し始めています。
今年行われた東京都知事選挙 (2024年7月)に於いて一躍165万票以上を獲得して次点に付け、一気に全国的に知名度を上げた石丸伸二氏もレベルは違いますがそうした視野の狭さを感じさせる政治家に思えます。雑把に言えば面倒臭いポピュリスト。
自分に味方してくれる人以外はザックリ「社会の敵!」と決めつけて罵詈雑言を浴びせ倒し“闘ってるイメージ”をアピールして支持を伸ばす手法ですね。悪罵を投げつけられる方は長年地方議会に君臨してきたおじいさん(とその周辺)たちですから、既成の権力構造から弾かれている大多数から見れば「私たちの為に闘ってくれている」と勘違いしやすい構図になっている様に思います。
あのねー、地方議員ならともかく「首長」や「国会議員」は“自分に同調しないヤツは敵”なんてスタンスで務められたら社会が壊れるんですよ。
何ですか?「知事選で自分に票を入れなかった奴らの権利や生活なんてこの自治体で税金を使ってまで守ってやる必要なんて無い」とでも言うんですか?「自分は福祉削減を掲げて当選した。だからこの県で障がい者が生きて行ける様に出していた予算を無くすのは“県民全体の要求”なんです」と権限の拡大解釈を強弁するんですか?
預けられた権限を白紙委任か何かの様に拡大解釈し「似非民主主義」としか言い様がない暴論を押し通す手法はナチズムで懲りたと思っていたのですが。
古代ギリシアの衆愚政治以来繰り返し似たような深みの無い「弱者を守らない政治」が沸き起こって来るのは、ある種の「人間の本質と社会性」に根差した物が原因なのだろうかと最近考えています。
次回は「政治家を選ぶ有権者はそんなに広く深い見識を持っている訳ではない」という民主主義の根幹を揺るがす事態について。