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Catch175 ドラマの補助線

史実からかけ離れても魅力的なドラマに仕上げる事は出来るのです。

 2023年に放送された『どうする家康』でかなり批判を浴びた「家康は実は正妻の築山殿とラブラブだった」なんて設定は“ドラマとしては有り”でも別に見たくないし興味も湧きません。


 非業の最期を遂げる築山殿に無駄に透明感あふれる有村架純さんがキャスティングされたのを見てそれこそ「どうする?」と思っていたのですが、視聴者のニーズから大きく外れた脚本に大ブーイングが起きる結果になってしまいました。いや、有村さんが演じる以上、ああでもしないと似合わないのは分かりますが。


 だって史実に沿って「生き残るのに必死で信長からの無理無体を受け入れ続けていた家康(だんな)の苦労も知らず目下の敵である武田に嫡男共々通じようとして粛清された名門今川家の血を引くアホな姫様 (家康との夫婦仲悪し)」なんて彼女にやらせる訳にいかないでしょう。


 キャスティングと構想とどちらが先だったのか知りませんけど、史実からかけはなれたファンタジーレベルの無理をしてでも見てみたいと思う物ではなかったという事です。



 翻って現在 (2024年)放送中の大河ドラマ『光る君へ』における紫式部と藤原道長。二人が実は幼い頃に出会っていて淡い恋心をお互いに抱いていたなんてまずあり得ない事ですが、100%無いとは言いきれません。ドラマとしては「有り」なのです。


 同時代を生きた知の巨人と政治の巨人。有り無し以前にやっぱり視聴者としては公の記録に残された以外の二人の関係も見てみたい。フィクションではありますがニーズに応えまくっております。


 ごく最近『野球の記録で話したい』というブログでこうした「大河ドラマのフィクション」について「補助線」という表現を使って説明をしているのを読んでなるほどなぁと納得した物です。


 ご存じの様に「補助線」とは数学・幾何で図形の面積を求める時に架空の線を引く事で分かりやすくする手段の事です。本来無い物を架空で設定することでドラマを豊かにする「補助線」。確かに「明智光秀の素顔は生真面目な苦労人だった」「(このドラマでの)北条義時は気弱で心優しい性格」など「補助線」を引く事で史実 (或いは通説)ではない物語が生まれました。


 それが視聴者のニーズに合っているかどうかが人気を左右するのでしょう。


 実際に記録として残っている徳川家康なんて、信長・秀吉と時の権力者に潰されないようにある時はへりくだりある時は対立しひたすら牙を剥く機会を待ち続け、最後の最後に「主君である豊臣家を無茶苦茶な言い掛かりを付けて滅ぼした」いい人とは程遠い粘着質な政治家ではないですか。これを「実はいい人だった」なんて補助線を引いても物語は膨らみません。


 『光る君へ』の「補助線(フィクション)」は歴史ファンならばやっぱ見てみたいじゃん。これが視聴者のニーズって物です。

今度BSで始まる「後漢最後の皇帝である献帝には双子の弟がいた!」なんてのもニーズ有るのかしら。

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