表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/240

Catch17 70年前に無くなった法律

昨今のオリンピック組織委員会騒動を見ても、ジェンダー問題は中々進みません。

 2015年の最高裁で、a「離婚後の再婚禁止期間が男女で違うのは違憲」b「夫婦別姓を認めないのは違憲」と争われた裁判の判決が出ていました。


 aについては男性の禁止期間を中途半端に延ばしました。


 bは「立法府(国会)が別姓を認める分には構わない」、つまり夫婦別姓は現行憲法の「男女平等」の原則に合っている、でも今の法律は禁止しているので法に従って下さい、という結論でした。


 厳密に言えばaもbも裁判所の責任放棄です。2つの訴訟は現在の民法が憲法第24条「両性の平等」に違反した規定でしょ、法律を変えさせて下さい、という趣旨で起こされている事を忘れているのでしょうか。


 明治民法が妊娠・出産期間と生まれて来た子どもの実父の認定が難しくなる、という配慮で女性側にだけ強制していた再婚禁止期間。今回少しずらしたのは、「実父の認定」に引きずられただけの話で、訴えのそもそもだった「男女平等」はどこかへ消し飛んでしまっています。


 「あくまで妊娠・出産期間を配慮して女性に再婚禁止期間が必要」というなら、男女平等のためには「だから男性も同じだけ禁止期間を設けるべき」という判決を出すべきでした。


 別姓に至っては論外です。「別姓でも憲法に違反していない」というなら「夫婦同姓を強要している現行民法は違憲」でしょう。「国会で民法を改正してもいいよ」ではなく「国会はさっさと民法を改正しなさい」という判決でなければ辻褄が合いません。


 現在の民法の元になっているのは帝国憲法時代に制定された民法 (施行は1898年から)です。帝国憲法時代は男女不平等の社会でした。帝国の統治が男性限定(例外はありました)の「家長」を基本に据えた「家父長制」 (「家制度」とも言います)を社会の最少単位に置いたからです。


 「(いえ)」をまとめ責任を持つのは「家長」つまり“お父さん”です。そして「継ぐ」の「継げない」のと問題になるのは「家」が属している家族にとって生活の場であり財産でもあったからでした。所属する家族の内、“お父さん”だけがお金や家族の結婚などに決定権を持っていました。明治民法はそれ以前から続いていた日本社会の「家」と「家族」「財産」「相続」などの慣習を明文化した物です。


 そして帝国時代の、憲法を始めとする他の法律や、経済・軍備・身分制度などとも連動する「大きな歯車の1つ」でもあった訳です。幾つもの“歯車”が噛み合って「大日本帝国」を動かしていました。


 例えば帝国憲法時代は兵士の確保のために徴兵制を敷いていましたが、「家長」や「長男」は避けて令状を出していました。「家」を社会の基本単位にしているからこその措置でしょう。辻褄は合っています。



 情況が一変したのは1945年の「大東亜戦争」の敗戦によって占領下で憲法が変わり「男女平等」を基本にした『平和憲法体制』が始まった時です。「男女平等」を社会の基本原則とする、という事は「家父長制」の否定を意味しています。大急ぎで新しい原則に反する他の法律の条文を書き直し、「戦後」の社会が始まりました。


 旧民法も目立つ部分だけを慌てて書き換え、その結果本来連動しているはずの「他の要素」との整合性をかなり失いました。


 今から70年ほど前の事です。


 財産は長男以外の家族にも相続権が出来(帝国憲法時代は妻にさえ相続権はありませんでした)、結婚・離婚も「本人同士の意思」が唯一の根拠となりました。姓の選択も「両性の意思」によるとされました。


 先の「別姓裁判」の時にニュースが報じていたのですが、70年過ぎた今でも結婚して女性の姓を選択する夫婦が4%しかいないとは驚きです。女性の実家に対する相続権」が発生すると誤解したり、「養子縁組」と勘違いしている人もいます。


 婚姻相手の「家」に対する相続権を伴う手続きは「養子縁組」しかありません。そしてその場合「姓」は本当は関係無いのですけどね。“お父さん”がとりまとめる「家」ではなく、「個人」が社会の最少単位となり、その自由意思が社会の仕組みの基本に変わったのですから。


 70年以上前に廃止された法律の中でかなりの人が生きているらしい事に、改めて驚愕します。

我が家は4%。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ