Catch157 羊の国
どれだけ我慢する気なんでしょう。
20年近く暮らしていた新潟では朝鮮半島のラジオ放送が普通に聞くことが出来ました。あと、どういう訳か関西方面の放送も。
北朝鮮と韓国の放送はどちらがどちらなのかすぐ分かります。ほとんど同じ (←当たり前ですね、元は同じ言葉だったのですから)両国の言葉ですが、「北」が戦時中の日本の放送宜しく「ハンニャラフンニニスムニダ!」と威勢の良い“戦果発表”みたいな言葉を延々流しているのに対して、「南」はポップスなどをBGMに「は~い、皆さん今晩はー! 今日もいい1日だったでしょうか?」風の、言っている意味は分かりませんが“今の日本”と大差無い放送だったからです。後年独学でハングルを勉強し始めた時に「新潟にいる内にその気になってたら凄く楽だったかも」と思った物です。
(意味は分かりませんが)ピョンヤンから来る電波は、よく言えば「真面目」捻らず正直に言えば「詰まらなそう」な放送でした。誰が四六時中目を吊り上げた声色のアナウンサーが「我が国の~」「偉大なる~」「~なのであーる!」と繰り出す大本営放送を聞きたいものですか。アノ国やら戦時中の日本に生まれなくて本当に良かった。
帝国憲法時代の末期に日本がそうだった様に「国家に貢献する」という使命感や満足は得られる (障がい者や国の方針と違う価値観を持つ人はこの時点で“役立たず”扱いされます)かも知れませんが、政治の自由も言論の自由も無い所に豊かな人生なんて無いんですよ。ましてや必死こいて尽くした国自体がとち狂っていたりしてはなおさらでしょう。
東京に住むようになってからの事ですが、とある駅前で選挙のビラを配っていたら受けとるのは半分が外国人とおぼしき方々で驚いた事があります。いや、帰化して有権者なのかも知れませんが。
背の高い黒人のお兄さんに受け取って頂き金髪碧眼の中年男性から「頑張ってください」と励まされ、明らかに選挙権を持つ日本人らしき人たちが受け取りを避けてそそくさと通りすぎてゆく、これって何なのかなと考えさせられた物です。しつこい様ですが“人種上の日本人”ではない方でも帰化有権者かも知れませんけど。
正直「大丈夫か?」と不安になりましたわ。持っている権利を使わず30年に渡って政治家が社会を良くしてくれるだろうと信じ続けている同胞に。給料が据え置かれても政治家がベストを尽くして「これ」なんだから苦しければ頑張るか耐えるしか無いと思い込んでいる日本の有権者たちに。或いは初めから政治を信じておらず、ひたすら貯蓄や資産形成に励んで「自己防衛」を心掛けているのでしょうか。
自分たちがどれだけ働いて富を生み出していると思っているのでしょう。本来労働の対価として支払われるはずだったお金を何だかんだ理由を付けて会社側が貯め込んだ額は、今や大企業だけで数兆円数十兆円に上ります。そのうちの何割かは働く者が手にしていたお金なんですよ。
この「雇用者に対する羊の様な従順さ」を以前は政治的無関心かと考えていたのですが、悪くなる一方の暮らしに疲れはてて、政治や社会を考え勉強する余力も無い状態なのかなぁ、と思い始めています。政治を監視して、権力者や経済界のやりたい放題を許さない様にし続けないと、行き着く先は「ロシア」やら「北」やら、自由の欠片も無くなった生き地獄なんですがねえ。
「そうならない様に」政治に関心を持つのが社会人として当たり前の国から来ているので、選挙に関するビラも外国の人の方が良く受け取ってくれるのでしょうか? なんとも哀しい事です。
舐めた給与体制を続けた末に人口減少→市場の収縮を惹き起こしてりゃあ世話がないと思います。