Catch153 アホ行政の裏側
なんだこれわー、という気持ちを久しぶりに思い出しました。
私は新宿に30年以上住んでいますが、過去に戸籍謄本や住民票の発行レベルより複雑な行政サービスを受けたり納める公的サービス料金の減免申請をしたりという機会もなく、新宿区が他の自治体と比べて税金の使い方がいいのか悪いのかの判断も良く分かりません。
強いて言えば「不満は有るが他も似たようなもんだろう」程度の認識です。本来は有権者としてもっと区政に関心を持ち、選挙の判断材料を得るべきなのでしょう。
私は区議会へ直接傍聴に行った事はほとんどありません。(行った事があるだけでもマシじゃね?) 1990年代に新宿区が『財政非常事態宣言』とやらを出して諸々のサービスや行事が大幅にカットされて大騒ぎになった時も、幸か不幸か子育て中でも親の介護中でもなく、要するに行政に頼る必要がすご~く薄い時期だったもので、周りの知人友人の怒りのパワーに引きずられてとある委員会の議事を傍聴に行った事があるくらい。あ、2000年代ですが自分が応援し選挙も手伝った方が議員に当選した後で本会議の質問を傍聴に行った事もありましたっけ。
まぁそんな程度です。
以前、私が住んでいる新宿区の行政がアホだと言うお話を書きました(『Catch134 アホ行政』)が、最近ひょんな事で自分が暮らす町の仕組みをどういう人たちがどういう風に決めているのかを知る機会がありました。
仕事の関係で訪れていた区役所の議会フロアで、どこの自治体でも今時分に開かれている決算議会の委員会での討議をスピーカーで流しておりまして、仕事のかたわらそれを聞く事ができたのです。
新宿区は区内のケーブルテレビなどで議会の様子を視聴出来る様になっており、もちろん議場に足を運んで傍聴する事も可能です。そこまで時間もないし家にケーブルテレビが引いてある訳でもない私は初めて生の議会のやり取りを目撃ならぬ“耳撃”したのですが。
区内にある文化施設への助成金支出が適正だったかどうかを「質問」した与党議員は質問時間をもて甘し、新宿にゆかりのある落語家の紹介や様々な寄席で楽しみ感動した体験を延々話し、最後に「この素晴らしい文化を守る為にもこうした助成金を使い続けていって欲しいものです」と締めくくりました。題するなら『落語と私』とでもなるでしょうか。小中学生の社会科のレポートじゃあるまいし。
唖然としていると、次に始まった同じ党の別の議員による質問は『サッカーと私』。スポーツ施設への助成金について質問時間を使いきろうとしておりました。
他にも過去に自分がした質問とその時の区側の答弁のやり取りを丸々もう一度読み上げて、「~というお答えを頂きましたが、その後この件はどうなったでしょうか」という時間潰しに出る人やら、自分が大好きなナントカいう映画を見てくれた人はこの議場の中にどれくらいいるかなど最早何の質問にもなっていない戯言をのたまい始める方やら、どう聞いてもまともに何億という予算の執行を検証するプロの政治家の質疑応答とは言えないシロモノでした。
こうした方々が多数派をいいことに区側の言い分を予算でも決算でも丸呑みし、とある会派が取った区民アンケートで不満が上がって来ている先の駐輪場の民間委託問題 (『アホ行政』参照)や区内の学校の教員不足を解消するように出される質問など、区民の生活を支援する為にお金を使ったらどうかという野党議員の時間を削っていた訳です。
う~ん、「引っ越し」「脱出」という単語が頭に浮かんだ私は悪くないと思う。
そして「議員定数を減らせ」という声で議員の数を減らすと「社会科レポート」しか議会にはいなくなるんですよ。