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Catch139 バロック芸術

 バロックは荘厳、ロココは軽快。ざっくり過ぎる私見です。バロックはゴシックの暗さを引きずり、ロココはルネサンスの明るさを受け継いでいるようにも思えます。


 バロック芸術の代表的な物を挙げるとすれば、建物で有名 (どころ)はパリ郊外のヴェルサイユ宮殿やドイツ・ドレスデンのツヴィンガ-宮殿、彫刻ではヴァチカンやローマ市内に沢山据えられている、ベルニーニによるコッテコテで胃もたれしそうな華麗な作品群、音楽だとバッハですかね。


 ね? 荘厳でどこか暗さを覚える感じがしませんか。


 バロック時代に続くロココの芸術が軽快で明るく、触れる者に安心感を与えるのに対して、バロックはどこかに権力や神の権威のような「力」と、全ての人間に平等に訪れる「死」の意識を基調にしている気がします。


 バロック芸術が流行った1500年代末から1600年代にかけては、ヨーロッパが宗教改革に揺れた「殺し合いの時代」でした。ヴァチカン・ローマ教皇庁とカトリック教会組織の腐敗を正そうとした新教(プロテスタント)側と、教会の権威を守ろうとする旧教(カトリック)側がヨーロッパ中で凄惨な殺戮を繰り返した時代です。


 ドイツ各地の新教派諸侯やそれを支援する近隣諸国と神聖ローマ帝国の皇帝たちがドイツ国内で延々戦い続けた30年戦争 (1618~48)、「これに比べたら地獄ですら楽園に見える」と有識者を嘆かせた神聖ローマ皇帝・カール5世によるローマ劫略 (1527)、フランスで新旧両派が激突したユグノー戦争 (1562~98)とその中で起きたサン=バルテルミの虐殺 (1572)。まだまだ他にもありますが、書いていて気が重くなるのでこれくらいにします。


 こんなウンザリするような、市民も王侯貴族も死が身近にあった時代だからこそ、どこか(かげ)を含んだ厳かさが「美」と「救い」に相応しいと思われたのかも知れません。


 元々「バロック」は「歪んだ真珠」の事らしく、ルネサンス美術とその落とし子のマニエリスモで追求された「均整の取れた美しさ」に敢えて逆らい、歪みや黄金などの煌めきを尊重しました。正直に言えば「これでもか!」と散りばめられたキンキンキラキラの装飾や重っ苦しい勿体ぶった絵画など余り趣味は良くありません。音楽はいいんですけどねー(←初めにも言いましたが私見です)。


 ところでバロック建築の代表作の1つとされているツヴィンガ-宮殿が日本にも在るのをご存じでしょうか。佐賀県有田町の郊外に、原寸大のレプリカが建っています。


 ザクセン地方の中心地だったドレスデン。残念ながら第二次世界大戦の空襲でオリジナルの宮殿は焼け落ちてしまいましたが、再建され今は陶磁器の博物館や劇場になっています。その昔、王様 (ザクセン選帝候)が東洋の磁器にはまってしまい、莫大なお金を注ぎ込んで中国や日本の焼き物を買い漁っておりました。そのうち「自分とこで作っちゃわね?」と研究所と窯を作り、自前の磁器を焼き始めます。有名なマイセン窯の磁器です。


 モデルにした1つの有田焼の縁で、日本にも宮殿のレプリカを作って博物館にしようと(バブルの頃によくあった箱物開発ですね)ドレスデン市の監修の下ゼネコンが建てちゃった物だそうです。PVなどでたまに使われる、玉ねぎ形の王冠を乗っけたような面白い門とその左右に広がる翼廊部分を作った所でバブルが弾け、今に至ります。


 本当は宮殿本体も含めて全部作る予定だったとか。計画通りに行っていたら中々凄い事になっていたでしょう。少し残念なような、この程度で済んで良かったような。

ロココの時代も(主にルイ14世のせいで)戦争だらけでしたけど、バロック期ほど先が見えない不安感は無かったように感じます。

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