Catch138 元凶
源泉徴収は日本の政治に対する有権者の意識を厳しい物にしない要因の1つと言われていますけど。
最近、ようやくこの15~20年くらいの主要国での実質賃金の上昇グラフなどを用いて日本が段違いに低いまま据え置かれている事が経済に深刻な影響を与えていると報道などでも取り上げるようになって来ました。
日銀が頑迷なまでに続けている「異次元の緩和」マイナス金利という馬鹿げた政策をいくらやっても全然景気が良くならないのは何が原因だ、と魔女狩りか犯人探しをしているようにも見えます。
そのマイナス金利も「親分・アメリカがやっているから」と言い訳できていましたが、もうアメリカも解除する方向は確定しています。どうするんでしょうかね?
金回りが一向に良くならないのは収入が少ない事や増えない事よりも、現役引退後の生活を保障していた公的扶助を削ってしまったからです。そして明らかに大企業優先の優遇政策を取っているからです。諸々の元凶ですよ。
そりゃ全力で溜め込みますよ、中小企業も個人も。そして何故か大企業も人件費などを抑えてひたすら内部留保を膨れ上がらせています。企業は先行きの不安から使わない。個人は退職後の生命を守る為に蓄える。
「聖域なき構造改革」と称して行政が福祉を削り始めたのは90年代半ばの橋本内閣だったと思います。その後、「郵政民営化」を叫んだ小泉政権が更にセーフティーガードを取り払い「無いよりマシ」な福祉だらけになってしまいました。年金然り、医療補助然り、母子加算や生活保護費然り。見事なまでに“無いよりマシ”、「その制度だけでは到底足りない欠陥福祉」ばかりです。
今や引退して無収入の人が安心して生きて行ける世の中ではなくなってしまいました。「いやいや、死ぬまで働き続ければいいじゃない」と、大真面目に仰有る「専門家」もおりますが、正気なんですかね。そんな「しんどい人生」しか送れない程この国は貧しいんですか。
財政再建の為の一時しのぎのつもりだったのかも知れませんが、セーフティーガードを外されまくり医療費も上がり、医療費の助成は減り、この恐ろしい自己責任式ノーガードがすっかり社会構造として定着してしまいました。
金回りが定着してしまった以上、急激に変える事は難しいでしょう。少しずつ「引退後も安心して暮らせる国」に近づけて行くしかありません。
私が驚愕したのは、民主党政権が発足した時に、その2ヶ月前に出来たばかりの後期高齢者医療保険を廃止しなかった事でした。国会で散々批判していた政策です。せっかく自分たちが政権を担当する事になったのに何故これを放置するのか理解に苦しんだ物です。
最近、カナダの大学で「麻薬汚染や移民、識字率が低いなどの社会構造に重大な問題がある訳ではなく、勤勉で誠実な労働者が大半を占めているにも拘らず日本の平均所得が上がらないのは、完全に政策の失敗による物」と経済学の講義で言われたそうです。日本の勤労者たち、大人しいのも考え物ですよ。元凶を見定めて声をあげる事も時には必要です。自分や自分以上に大切な家族を守る為にも。
ちなみに源泉徴収制を考えて実施したのはナチスだとか。