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Catch11 表現の自由?

少数者・弱者を尊重しない社会は多数者にとっても暮らしやすい物ではありません

 2015年に入って早々に世界を注目させたフランス・シャルリエブド社の襲撃事件。イスラムの預言者、ムハンマドの諷刺画を掲載した事に怒ったイスラム教徒ムスリムの犯行と思われます。


 12人が殺害され、更にパリ近郊に逃亡した犯人(複数グループ)がユダヤ教徒の営む店などに立てこもり、犠牲者が増えました。


 襲撃直後は「言論の自由に対する暴力」と捉えた世界の「良心的」な人たちがエブド社の支持を表明するなど、多くの声がエブド社を擁護していました。


 しかし、次号を出すと宣言したエブド社の記者会見で私は首を傾げる羽目になりました。




 曰く「私たちには侮辱する権利がある」




 ???




 残念ながらフランス語の聞き取りが出来ないもので本当にテレビニュースが付けた字幕通りなのか分かりませんが、上記字幕に該当するコメントを出したと仮定して話を進めます。


正直言ってこれはついて行けませんでした。




 イスラムの人びとは、欧米ベースの「現代社会」が捨て去った「心の聖域」を今なお大切に持ちつつ生きている人たちです。神から人へ言葉を預かったモーゼの、イエスの、ムハンマドの教えを厳格に守っているのです。


 預言の中には「神や預言者を描いてはならない」というものも有り、崇めるものであろうと絵に描くだけでイスラム的にはアウト。ましてや侮辱した物など論外です。


 日本も欧米ベースと呼んでいい「心の聖域を失った社会」になりかかっていますが、シャルリエブド社のどぎつい「諷刺画」を面白がる程にはスレていないと思います。


 イスラムの社会で心の拠り所として大切にされ敬意を払われている「神」「預言者」、そのデリケートさを理解するには「天皇」を思い浮かべて頂ければ分かりやすいかと。


 あなたはどこか外国の雑誌が「私は人殺しです」なんて書かれたプラカードを持って裸で立っている陛下のイラストを表紙に使っているのを見て「面白い諷刺画だなあ」なんて思えますか?


 特に天皇制度について思い入れも無い私でもそんな事は思えません。無理。


 「私たちには侮辱する権利がある」


 異なる文化に対する恐ろしいまでの無理解と傲慢さを感じます。銃を用意して、やった人たちを皆殺しにしてくれようとまでは思いませんが、少なくとも「ロクでもない会社だな」と警戒するようになるでしょう。そうした「言論」を面白がる人たちの事も。


 言論の自由という美名に隠れて、シャルリエブド社がやっている事はフランス国内の少数社会であるムスリムに「気に入らなければ出て行け」と言っているに等しい残酷な物です。実際、主に旧フランス植民地であったチュニジア・アルジェリアなどアフリカ諸国からフランス国内に移り住みコロニーを形成していたイスラム教徒ムスリム達に対する嫌がらせの様な施策や彼らに対する襲撃が激増しました。


 イスラムの戒律上「望ましい事」とされている女性の髪を覆う習慣を“女性差別”と決めつけ「公の場で髪を覆ってはならない」という条例を設けたり、礼拝の場であるモスクを建てる事を禁止する自治体も現れる始末です。


 あのですね、イスラムの女性にとって、それも伝統的な価値観にある程度寄り添おうとして生きているムスリム女性に“髪をさらして出歩け”というのは、我々に例えれば“(この国に住みたいのなら)パンツ1丁でしか外出を許さない”と言われているに等しい屈辱的な無茶なのですよ。


 表現の自由の美名に隠れて“何をしてもいい”と勘違いしているのではないかと心配になります。ヘイトと表現の自由の区別がきちんとついているのかと。


 他人の大切にしている物を嘲り、踏みにじるのは人類共通の酷くて醜い行いだと思うのですが。

「女性は」「日本人は」など大雑把過ぎる括りを使う人には要注意です。オヤ、最近もどなたかが…。

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