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KOUKOUKOU

作者: 世界

 俺は香料の工場に勤めていた。もう5年も前の話だ。工場では交代勤務のほかに、労働環境向上委員会にも入っているので、そこでの仕事もあった。この間委員会の打ち上げがあり、その席で口上を述べた。

 「皆様お集まり頂きありがとうございます。我らの工場では生産効率の向上は恒常的にはかられていますが、従業員の待遇は一向に向上していきません。このままではブラック企業と陰口をたたかれ、成長は頭打ちとなるでしょう。これからも皆さんとともに向上心を持って工場の環境の向上に努めていきたいと考えています。」

 拍手のあと、乾杯となった。みな疲れていたが気分は絶好調であった。体調について語るものもいて、「この間の身体検査で、甲状腺の調子が悪いといわれたよ。」などと言ったりしていた。海外視察に行った者もいて、「この間、ドイツの工場は古城の隣だったよ。」などと話していた。おれは委員会の幹部連中にお酌して廻り、その日はお開きとなった。

 翌日、委員会の緊急招集があった。工場で作っている香料の売れ行きが不調で、ボーナスがカットされるという噂がたっているとのことであった。俺は専務に真相を尋ねに行ったが、そのような噂は真実ではないとはっきりと言われた。委員会の幹部連中は俺の報告を受けて安心したようでだった。

 しかし、ある日、香料の健康被害が週刊誌に書かれた。そしてマスコミのバッシングが始まり、黒い交際についても暴かれ、工場は閉鎖に追い込まれた。融資をしてくれいてた銀行との交渉は決裂し、回収に乗り出され、倒産した。香料の工場は荒涼とした更地となった。

 

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