45話 Daybreak5
Daybreak5
私は部屋の隅で壁にもたれかかっていた。部屋の中に役員はすべて集まっていた。しかし、雑音は一切聞こえない。まるでお通夜の後みたくなっている。副会長は唇を噛みしめていた。
悔しくて悔して仕方ない。
だってそうだろ!
生徒会の皆は、全校によって選ばれその期待に沿うよう全力を尽くしてきた。なのに、こんな不本意な形になってしまう。
生徒会長が、教卓の前に出て、みんなを見やった。
役員の皆は各々が席についている。ただ私だけ、その中に座るわけにはいかなかった。私は役員でも何でもない。たまたま仕事を手伝っただけの人間だ。彼らの中に入るのは、何だか違う気がした。
生徒会長は、私を怪訝そうに見ている。
「橘さん、君はどうしてそんな場所にいるんだ。座りたまえ」
私は少し驚いた。いろいろ言いたいことが喉元まで上がってくるものの、そんなことをするのは無粋だとすぐに気づいた。
彼は、いや彼らはほんのわずかな期間だけ此処にいた私を生徒会の仲間として見てくれたのだ。
私は胸がいっぱいになる。
「はい」
末席に腰を下ろし、生徒会長を見た。
運動部だか何だか知らないけど、どうして今の生徒会を辞めさせないといけない。何が不満なんだ。不満があるなら、きっちりこちらまで出向いてはっきり言いやがれ。どうしてこんな、こんな間接的なやり方をした。
飯田!
どうしてお前がちゃんと言わない。
なにをずっと隠していたんだ。何に耐えていたんだ。そんなつらそうな顔して。分からないとでも思っていたか。部室で計画が承認できないことを告げた時、どうしてそんな悲しそうででも安心したような顔を浮かべていたんだ?
あの後、顧問とのやり取りも聞いていて分かった。
学校生活に不満があるのは分かった。でも、そんな回りくどいやり方をしなくていいだろ。辛いなら、私に話してくれればいいのに。私はお前にとってなんだ。いつもからかってきついことも言ってきたけど、お前を友人だと私は思っていた。
私は歯を食いしばった。
「僕は会長として皆さんと生徒会の仕事をすることができたことを、本当にうれしく思う。今までありがとう」
副会長が、涙を瞳にためて顔をフルフルとさせる。
「何を言うんですか! 私たちこそ、楽しかったです」
みな口々に会長に対してのお礼を述べていく。
私は、そんな様子をこの目にしっかりと焼きつけていた。
普通なら通る筈がなかった。過半数の学生が不信任票を投じなければ解散なんてされない。それが、あの一件があってから生徒会に対しての不信を生んだ。
胸の内には怒りが満ちてくる。
そんな時に、生徒会長は私にあることを告げた。それは私に怒りを忘れさせるには十分だった。
「橘さん、生徒会長に立候補してくれ」




