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【37】 2章の5 女傑

※5日連続投稿2日目!


※最後の部分に、3行ほど付け足してます。

 21日の10:00より前に読んで下さった方は、多分足す前の文章なのでお読み頂ければ……一応、読まなくてもそこまで違和感は無いとは思いますが。



 おぅけぃ、落ち着こうじゃないか。


 第一のオッサンこと、シャク男に絡まれていたと思ったら、第二のオッサン……なんだろうか? 『ライオン頭』だと年齢が分からん。意外と声の感じだと、若いのかもしれんな……じゃなかった!


 絡み絡まれ負の連鎖! って感じになっている訳だが、状況としてはより悪化してる気がするんだよな。

 さっきのシャク男程度であれば、最悪今のメルカ()(パゥワー)動き(ムゥヴ)で如何様にでも対処できるのは間違いなかったんだが……この『ライオン頭』に襲われた場合、対処できるか分からん。自分のガキを作る機会をくれてやる、って言い出す上に、それを喜べと宣うヤベェ奴がガチムチマッスルで至近距離に存在する恐怖感よ。導入の雑なエロ漫画じゃないんですよ?


 俺がどう対処したもんかと考えていると。さっきシャク男に話し掛けていた軽装の長髪が、顔を青くしながら『ライオン頭』に話し掛けた。


「な、なぁ『傍若無人』の! あんたの意に沿わない行動をしちまったのは悪かった! もう、勘弁してくれねぇか?」

「そ、そうだ! 俺達は何も間違った事をやった訳(・・・・・・・・・・)じゃねぇんだッ(・・・・・・・)!」


 シャク男……しれっと自己正当化してやがる。


「だからウデを、離し──イデェッ!?」

「オレ様が女と喋ってる時に口を出すたぁ、イイ度胸じゃねぇか。ぁん?」


 俺がシャク男の厚かましい態度に呆れると、すかさず『ライオン頭』がさらなる捻りを加えてシャク男を制圧した。いいぞ! ついでに二人でどっかへ消えてくれたら、なおいいぞ!


「す、すまねぇ! だ、だが、ずっとこのままって訳にもいかねぇだろッ!?」

「……フン、そいつぁそうだがな。オレ様だってゴメンだ」


 片手でシャク男を抑え込んでいる『ライオン頭』が何事か考えるように空いた手でアゴをさすっている。人外の顔だが、サマになりやがるな……コイツもある意味イケメンか。だが、思考回路がダメダメな事も加味して、やはりイケメンは処置無しのダメ人間だな!


「まぁ、おめぇらの話自体は最初っから聞いてたんだがよ。タイミングよくそこのイイ乳した嬢ちゃんを助けてやろうとしたら、ドワーフの嬢ちゃんにエルフの嬢ちゃんが助けに入ったんで、様子見してたんだが……」


 こ、コイツ……!? 最初っから見てたのかよッ!?


「これほどのカワイコちゃん全員と知り合うタイミングを作ったおめぇらには、よくやったと言ってやらんでもねぇ」

「だ、だったら……」


 一瞬目をつむって言う『ライオン頭』に、ホッとしたような顔をした軽装の長髪。シャク男も、腕を捻られながら安心したような表情になってやがる。

 ……チッ、エルネたんの金を取り返すのは難しいしな。結果的に物理的被害が出なかっただけマシか……もちろん、『ライオン頭』に感謝する気はほとんど無いが。何でか知らんが、どうにもコイツの言動を見聞きすると……何かイライラするのだ! 何でか知らんけど!


 ともあれオッサン連中も、少しの間はこっちを気に掛ける余裕は無さそうだな。


 俺はとりあえず今の内に、エルネたんを慰めてあげようと振り返った。

 ……べ、別に失意のただ中のエルネたんを慰めてあげながら、ちょっとくらいボディタッチできないかな、なーんて考えてる訳では無いぞ!? 無いったら無い! ……でも、『抱擁(ハグ)』って心が弱った時には効果的だとは思わんかね? 俺は思う、ゆえに実行すりゅ!


 内心で『その』感触を想像しつつ、二人に近付いたのだが。先にレイフェちゃんが心配そうに声を掛けてきた。


「……メルカ、怪我は無い?」

「はい、大丈夫ですレイフェさん。心配して下さって、ありがとうございます」


「ん。メルカもボクたちを守ろうとしてくれて……ありがと。でも、無理はしないで」

「た、大した事は出来ませんでしたけどね」


 アハハと苦笑しながら、思わず熱くなった顔を隠すように手を当てる。こ、こんなに真っすぐ言われると、どうにも面はゆいんじゃよ……じゃよぉッ!

 思わずレイフェちゃんから逃げるように、目的のエルネたんの方に一歩近づく。そう、俺の最初の目的はこっちだからね、仕方ないね!


 いかにも残念そうに眼を伏せながら、自然に地面にうずくまっているエルネたんを立たせてあげようと、手を伸ばしながら近付いた──のだが。


「ッ!」


 地面にうずくまっていたエルネたんが、何故か急に立ち上がると。ササッとロングスカートについたホコリをはたいて、身を守るように自分の体を抱い……おおぅ、マーベラス。『神』がその細腕で圧迫されることによって実にエクセレントな変形を果たした事は正に天上の恵みが地上に降り注いだがごとく! だが、どうせならそのやはらかさを実感する栄誉をこの身に頂戴する事は可能でしょうかッ!?


 思わず視線が『神』に集中しそうになるが、流石にガン見したら変に思われるだろうしな。頑張って我慢してエルネたんの顔に目線を……ほんのりと赤らんだその表情も実にグッド! な、なぁにぃ、この子……俺を萌え殺しに来ているのかッ!?

 ちょっと興奮がヤバイが、もっと上の計画の為にここは我慢して……。


「えっと、エルネさん? 残念ながら……」

「は、はいッ!?」


 ……んん? これは、何じゃろう?

 何故か……声を掛けたエルネたんが、ネコ背になりながら横を向いて後ずさった(・・・・・)んじゃけど? いや、グラビアアイドルもかくや、という感じに見事な変形をした『神』が視界に入っているから、嫌じゃないと言うかむしろ大いなるご褒美である事は自明の理ではあるんですが……何故に後ずさった(・・・・・)

 エルネたんの行動原理が分からず、俺はとりあえず一度口を閉じる。


「……エルネ、落ち着いた?」

「え、あ、はい!」

「ん、ボクはレイフェ。こちらの女性はメルカ──」


 こちらの様子を見ていたからか、すかさず横からフォローしてくれたレイフェちゃんの言葉に合わせて、エルネたんに軽く頭を下げて挨拶する……のは良いんだが。

 このままでは、俺の完璧な『エルネたんを慰めつつその見事な『神』と俺の胸部を抱擁(ハグ)でサンドイッチしようぜ! 大作戦』が成就できない。そんな気がする。


 原因を探ろうと、エルネたんの様子を見てみるが……レイフェちゃんと喋りながらも、視線は相変わらずチラチラと俺の方向を向いている。

 ……もしかして、実は俺の後ろに何かあるのか?


 念の為、チラリと後ろを振り返ってみるが……少し離れた位置で、『ライオン頭』とシャク男どもが何か喋っているな。その他には、特に何も見えない。


 視線を戻してエルネたんを見てみるが

 ……いや、よくよく見てみれば何かチラチラと下にも視線が動いてるな? 位置的には……俺のお腹辺り……何かあったっけ? ……もしかして『手』、か?


 思い当たった俺は、しれっと立ち位置を変えるフリをして、両手を腰の後ろで組みなおすように動かした。

 すると、その動きに合わせるようにエルネたんの視線も動く……やっぱり、『手』っぽいな。


 何か付いてるのかと思い、そっと右手を前に戻し動かしてみる……いや、何も付いてない、よな?

 手をにぎにぎと動かしながら視線を前に戻すと。


「(ぁ、ぁぅ……)」

「え、エルネ?」


 !?


 な、何故か今の一瞬で、顔を真っ赤に紅潮させた涙目のエルネたんが居るッ!? え、何!? 今、何があったのッ!? カワイイけどッ! めっちゃカワイイけどもッ!? り、理由はッ!? 理由が分からんちゃんッ!?


 慌てて事態の推移を見てたであろうレイフェちゃんに目線を向けるが、逆に困惑したようなレイフェちゃんと目と目が合う。多分。

 どうやら、レイフェちゃんにも分からない理由らしい……な、何がどうしたって言うんだってばよ? めちゃくちゃカワイイけどもぉぉぉッ!?



  ◇◇◇



 レイフェちゃんと二人で、ゆでだこのように真っ赤になったエルネたんを前にオロオロハァハァしていると。あ、ハァハァは俺だけね?


 後ろから謎の大声が聞こえてきた。



「──これは一体何の騒ぎだいッ!!」


 辺りに響き渡る一喝と共に、喧騒に満ちていた空間が静寂に包まれる。

 


 カッ カッ カッ


 静寂の中を、石畳に硬質な物が当たる音が反響する。

 音は繰り返され、やがてその発生源が視界に入る。



 カッ カッ カツン──


「──誰でも良い、説明しな」


 静寂に包まれた場を破ったのは。

 高らかな足音と共に現れた、背筋を震わすようなハスキーボイスだった。


「ま、魔術組合(ギルド)長……」

「(……チッ、うるせぇババァが来やがった)」


「おや、今何か言ったかい? ウェルマスのボウズ?」

「何も言ってねぇよッ!」


 ……見た目に派手な集団を先にしたからだろう、『ライオン頭』とシャク男の集団に声を掛けているのが見える……いや、見た目の派手さ、と言うのなら、新しく現れた人影の方がよほど『派手』だと言えるだろう。



 たおやかなその手に持った、魔法少女風のキラキラした十字架に丸を足したような先端が付いた〈杖〉を。まるでバットを持ったチンピラの如く肩に乗せて。


 その均整の取れた肢体を、やたら露出の多い肩と腹と腋は全露出。ゴスゴス・ロリロリ・フリフリした、ピンクと白と黄色で構成された魔法少女チックな〈ミニスカローブ〉と、半分透けた白い〈ハイニーハイソックス〉に包まれた足を15cmはあるピンクの〈ピンヒール〉に包み。


 自身の艶やかな濃褐色の肌を惜し気も無く晒したスタイルは、正に字の如く『ボンッキュッボンッ(若干ムチッ)』を体現していて。


 まるで銀糸の様なフワフワの髪を、腰まで届く長いツインテールにまとめ。それによりよく見える柳葉型の綺麗な耳の上に、赤いアンダーリムの〈メガネ〉をかけた。


 人目を引く事間違いなしの、『ダークエルフ』の姉御(アネゴ)系美女。



 普段の俺であれば、テン爆上げで騒ぎ立てる事間違いなしの相手なのだが……今の俺は、正直それどころでは無かった。


 ……何でかって?


 そりゃあ……俺が……そう、『()()


 この、『派手なダークエルフの(・・・・・・・・・)美女(・・)の事を見た事があるか(・・・・・・・・・・)()、に他ならない


 自暴自棄になった『俺』が脱退した。『ゲーム』の中の『ギルド』に所属していた、面倒見の良い先輩プレイヤー。


 いや、これだけ特徴的な見た目をそうそう忘れられるものじゃないが。

 俺もハッキリ覚えている。


 『〇〇ダム(プッピガン)』の中でも、ワンイヤーウォーが大好きで。その上、特にえすえむよりもえーえむが大好きで。

 ついでに、『魔法少女』も『ダークエロフ』も『姉御』も大好きだからって、全部一緒くたにまとめた寄せ鍋みたいなキャラを使っていた、『ギルドメンバー』の事を。


 忘れる、もんか。



「──び、【美黒(ビグロ)】、さん……」


「……? メルカ、今名前を?」

「え、あ。わ、ワタシ何か言ってましたかッ?」


「ん、しっかりと」


 し、しまったぁぁッ!?

 懐かしさのあまり、ついポロっと『ギルメン』の『名前』を口に出していたッ!

 『メルカ()』は『記憶喪失』だってのに、名前を知ってるなんて矛盾がゴイスーになってしまう……ど、どうしたら良いッ!? だ、誰か助けてへぇぇるぷッ!?


 そんな俺の心の声が聞こえた訳でも無かろうが。


 前方から、助けの手が伸ばされる……個人的には、出来れば助けて欲しくない相手からだったが。


「──おい、そこのイイ乳をした嬢ちゃん」

「え……あ、は、はい?」


 気付けば、すぐ近くに『ライオン頭』が立っていて、エルネたんに声を掛けているではないか!

 謎の赤面状態だったエルネたんだが、この変態『ライオン頭』から守らない理由は何処にも無いッ!


 慌てて間に割って入った俺だった……のだが。


「ヤベェ美人のエルフの嬢ちゃん、別に取って食う訳じゃ……いや、食えるんなら別の意味では食いたいが、今スグそうする訳じゃねぇ」


 ……な、何なのコイツ!? 普通、そこは取り繕うトコでしょッ!? 何で性的に食うとか明言してんのバカなの逝くのッ! むしろ逝ってヨシッ!!


「……なら、何?」


 さ、流石はレイフェちゃん! さすレイッ! 常人ならばその圧倒的威圧感の前に動けなくなる事請け合いな『ライオン頭』を前にしても、一歩も引かずに用件を問えるそのメンタリティに痺れる憧れる抱きたいむしろ抱いてッ! ハァハァ……ん?


「あそこのバカ共……『餓狼(ガロウ)傭兵団』っつう、名前負けのチンケな野郎どもだが。そこのイイ乳をした嬢ちゃん──」

「え、エルネの名前はエルネ、です!」


 真っ赤な顔をしたエルネたんが、食い気味に名前を訂正している。そりゃあ確かに訂正するわな……名は体を表すとは全然違う意味で、分かりやすい表現ではあったが。あと、真っ赤になってるエルネたんクソカワイイ……尊い。尊みが深い。日本海溝。


「おう、エルネな。覚えたぜ。そのエルネの嬢ちゃんから連中が巻き上げた金額ってのは、小金貨3枚で間違いねぇか?」

「え? あ……うん、3枚だよ?」


「じゃあ、ほれ。受け取れ」


 キィン  ヒュッ


 無造作に放り投げられた『光るモノ』が3つ、エルネたんに向かって山なりで飛んでいくのを──無意識に片手で全てインターセプトする。

 ……あ、しまった。別にエルネたんが取れない速度でもなかったな……ま、イイか。

 手を広げてみれば、中には昨日レティシアさんたちに教えて貰ったばかりの『小金貨』が3枚。確かに入っていた。


「ッ……」

「ほぉ……」

「メル……ん。これは?」


 俺の手の中の物を見たレイフェちゃんが、『ライオン頭』に確認してくれた。レイフェちゃんの以心伝心が過ぎる……実は相思相愛なんじゃなかろうか?


「……あー、同じ傭兵としてあんなチンケな連中を基準に考えられるのも業腹なんでな。目に入っちまったのは仕方ねぇから分捕ってきた」

「え、で、でも『契約』は……」


 不安そうに呟くエルネたんに、『ライオン頭』が鷹揚に首を振りながら答える。


「気にすんな。さっき来た『ババア』が上手い事取りなしてくれたからよ、何の後腐れもねぇ金だぜ」

「……あ、ありがとうございます!」


 ……ぐぬぬ。嬉しそうなエルネたんを見てしまっては、今更『大作戦』をするのもおかしな話になってしまうので、ここは諦めるしかない模様である……うぉぉぉッ!? てめぇゴラ『ライオン頭』ッ!? 何を余計な事しやがってこのヤロウ!? でも金を取り返してエルネたんの笑顔を取り戻した事は褒めてやるよク〇ったれぇッ!!


 事ここに至ってはエルネたんに渡さない訳にもいかず、何で間に入った? 的な視線を向けられるかもしれないなと思いつつも、しれっと笑顔でエルネたんに小金貨を手渡す事にする。


「あ、えっと、その……メルカさん? も、ありがと!」

「……いえいえ! 当然の事ですよ」


 また赤面してるエルネたんからお礼の言葉を言われて、『大作戦』を考えていた身としては若干居心地が悪かったが、エルネたんが笑顔ならそれでオッケーです! の精神でにこやかに返事をする。


「レイフェさんもありがと! あ、そ、そのエルネ用事があるから、失礼します!」


 続けてレイフェちゃんにもお礼を言ったエルネたんが、何度か頭を下げながらその場を離れていくのを見送る。……ふゆんふゆんしてた、はなぢでそう……何がって? 『神』がだよ、キミィ。


「……しっかし、さっき(・・・)といい、今の(・・)といい……ナニモンだ、エルフの嬢ちゃん?」


 エルネたんの余韻に浸っていた俺に、後ろから『ライオン頭』が声を掛けてきた。

 人の『大作戦』を思いっきり潰してくれたコイツには、正直エルネたんが居なくなったのなら話なぞしたくないのだが……この状況で返事をしないのもおかしいだろう。常識人はツラいね全く。


「は? ……何の事ですか?」

「ハッ! とぼけやがる……んで、嬢ちゃんは名前を教えてくれねぇのか?」


 よく分からん事を宣うヤロウなぞ放置しときたいが、俺も礼儀を知る男。さっき名乗ったっぽいし、ここは名前くらい教えてやるか……ところで、コイツ何て名前だったっけ? 『ライオン頭』って呼び過ぎて、名乗りを完全に忘れたんだが……まぁいいや。どうでもいいし。


「メルカ、と申します」

「ボクはレイフェ」


「ヘェ、メルカ、ね。ドワーフの嬢ちゃんは……嬢ちゃん、か? まぁいい、メルカとレイフェな。覚えとくぜ」


 覚えなくて良いっての。


「気が向いたら、いつでもオレ様とガキを作ろ──」

「結構です」


 ……し、しまったあッ!? あまりにアホな事をぬかすから、思わず条件反射が口から出てしまった……だが本音だッ!


 しれっと薄目で『ライオン頭』を確認すると、下を向いてぷるぷると震えている。

 ……お、怒った? えいえいしてないけど、怒った?


「──ダッハッハッハ! お、おもしれー女だッ! これは是非とも(はら)ませてぇな!」


 は、ハァッ!? コイツ……気持ちワルッ!? 通報、通報しなきゃ! (義務感


「……おっと、これ以上ここに居ると厄介事まで押し付けられそうだ。邪魔したな!」


 『ライオン頭』は、言いたい事だけ言うとサッと何処かへ行ってしまった。

 文句と苦情と慰謝料請求をかましてやりたい所だが、下手に関わると襲われそうな気がするし、もう一生関わらないようにお願いしたい今日この頃。


 無駄に力が入って凝った気がする肩を回しながら、レイフェちゃんに声を掛ける。


「何か、色々と起こって気疲れしましたね……レイフェさんは大丈夫ですか?」

「……メルカよりはマシ。用件はほとんど終わったから、最後に受付に寄って帰ろう」

「分かりました」


 歩き出したレイフェちゃんの後をついて行こうと、振り返りながら。


 ……ん? あれ? 『何か(・・)』、忘れてるような(・・・・・・・)



「──そ、そこに居るのは……まさか……メルカ(・・・)、かい?」



 振り返った俺の目の前に立っている、色んな意味で派手なダークエルフの美女。『美黒』さんとご対面を果たすのだった……OH……『ライオン頭』のせいで、ちょっと意識から飛んでたよ。



 ……って、うん? ……あれ?


 なん、で……『メルカ()』の名前……知ってんの?



 まさか……『美黒』さんも……『中身』が居るッ!?



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