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異世界召喚のすヽめ  作者: 三上香月
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グレゴリー・サイフォスはハーレムの夢を見る

今後ほぼ使わないであろう設定で一話埋まってしまった……

まだまだぜんぜんハーレムじゃない。ハーレムの灯はまだ遠く……


ブクマありがとうございます!

 我が名はグレゴリー・サイフォス。どこにでもいる普通の魔族である。背丈は平均より少々高い程度。最近の運動不足と不摂生のせいで体重は平均よりもかなり……少し重たいが、見るも無様なほどではない。世に多くある魔族から逸脱しているところがあるとすれば、それは召喚魔法を極めんと研究しているところであろうか。


 諸兄らも知っての通り、召喚魔法というものは、なんというか、こう、魔法の中では「ナメられて」いる魔法である。そも、魔族における魔法の歴史と言うのはすなわち戦い、争いの歴史であり、召喚魔法のような攻撃力に劣ると思われがちな魔法の進展は常に後回しであった。

 有史以来その存在すら怪しまれていた召喚魔法に光があたるのは、アグリアス魔人暦8575年、時の第5次人魔大戦に際して、人間側が切り札として戦線に投入した「勇者」、これが大規模な召喚魔法によるものであると判明した時である。


 当時の戦線で人間側の勇者が果たした戦果はすさまじく、前線で万の魔族を前にして剣の一振りで半数を壊滅せしめたとか、たった4人、先鋭を率いて魔の大地を突き進み、ついには魔王城で我らが恐怖の大魔王と相見え、互いに死力を尽くした一騎打ちの末これを打ち破っただとか、とんでもない逸話が現代まで連綿と受け継がれるほどのものであった。

 それまでかなりの優位に立っていた魔王軍も押し込まれ、第5次人魔大戦では魔族が歴史的大敗。以降表面的な争いは鳴りを潜め、ここから数百年間平和が続くことになるのだが、魔族側も対策を講じなかったわけではない。大戦の敗因が人間側の勇者にあると早々に結論付けた魔貴族たちは、こぞって召喚魔法を調べ始めることとなり、それが民間の間にも伝播した。魔族における召喚魔法の興隆である。

 

 さて、一時の隆盛を誇った召喚魔法であるが、この後50年もたつと魔族間での召喚魔法やその研究はほとんど見られなくなってしまう。寿命が平均で5000年をこえ、種によっては万を超えるものもいる魔族の感覚からすれば、50年という時間はあっという間である。では、なぜこの短時間で召喚魔法が廃れてしまったか。これは魔族の性質から語らねばなるまい。

 

 そも魔族というのは、その生まれからして絶対強者であった。魔獣が長い年月をかけて知恵をつけて進化したとも、原初の人間、その狂人が魔と交わったことにより派生したとも言われる魔族であるが、魔獣や獣、人間に比べてはるかに強靭な肉体を持ち、魔術的な要素に優れ、一般的に長い寿命を持つのである。

 強者の歴史をもつ魔族であるからして、その価値観のほとんどが強さに帰結している。それは肉体の頑強さであり、精神的な強さであり、魔術的な素養であり、持ちえる知力、賢ささえも生き抜くための強さである。荒廃の大地、魔大陸において、そもそも強くなければ生き残ることなど出来なかったのである。


 当然、魔族による魔法は、そのほとんどが攻勢の魔法であり、自身を強化する魔法であった。自在に炎を操り相手にぶつけるだとか、自身の体の一部を岩のように硬くして攻撃に耐えるとか、一陣の風とともに相手をなますぎりにするといった風に。

 強さがものを言う魔族の魔法において、では召喚術はどうであったか。圧倒的に相手を殲滅する攻撃力が足りないのである。生き残るための防御力も足りない。

 召喚術の発動には多くの場合複雑な魔法陣が必要であり、呼び出すものが強力であればあるほど準備には時間がかかる。魔術的要素に優れている魔族にとってすら、ほとんどの場合短縮なしの詠唱が必要であり、その間無防備な姿を相手にさらさねばならない。

 

 元来召喚とは「強者の力を借りる」術式であるからにして、「力を借りる強者」とは自分よりもはるかに強いことになる。強さが価値観のほとんどを占める魔族にしてこの事実は自尊心をいたく傷つけるものであり、また、自身より強い、自身が従うべき存在の力を借りるなどという行為自体、魔族にはたいへん受け入れがたいものであった。


 長くなったが、つまるところ、魔族にとって召喚魔術は「価値のない」魔術と思われているのである。そのような魔術に子供のころから興味を持ち、研究だけではあき足らず実践までしているこの我輩が、一般的な魔族から少しばかり逸脱しているのは、これは仕様である。べつに寂しくなどはない。恋人も妻もいないが、別にぜんっぜん寂しくなんかない。ないったらない。

 両親の迷惑を考え、一人この塔にこもって早200年。魔族としてもいい年である我輩ではあるが、街行くカップルに爆発呪文を唱えたりもしない。そもそも魔族の成熟した女性はわれの好みではないのだ。ロリコン?べ、べつにそそそそんなわけないであろろろう。ちゃんと成熟した女性も好みであるぞ。今代の魔王様とか。あの小さなボディのどこにそんなパワーを秘めてるのかというくらい強く……だからロリコンじゃないって!


 うん。わかった。認めよう。我認めちゃう。我はロリコンです。ロリコンを名乗るには好みが少々成熟してるけど。巨乳もいけるけど。乳に貴賤はない。うらやましいです。我も彼女ほしい。獣人とかの彼女の耳とか尻尾とかモフモフしたい。この際もう人間でもいい。人間は魔族と肌の色くらいしか違わないし、寿命がちょっと短いけど。かわいいは正義。右手でパフパフしながら左手ですべすべしたい。かわいい女の子に囲まれて「サイフォスさまぁ~」とか言われたい。はっはっは。かわいい子猫ちゃんたちだなぁ。

 

 つまるところ……ハーレム、したいです……

以上、「魔族における召喚魔法の歴史」でした。

グレゴリー・サイフォス先生の次回作にご期待ください。


彼が主人公。のはず。たぶん。名前は適当。

次回あたりでヒロイン出る……といいなぁ。ヒロインの設定考えなきゃ……

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