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クリスマスイブの人々5

先輩「ハァー。さむさむ」


先輩「コウたんちゃんと渡せたかな……」


先輩「モリシー喜んでくれたかな……」


先輩「使い心地も気に入ってくれるといいな」


先輩「ふぅー、やっぱ冷えるな。ちょっとそこの自販機でコーヒーでも買おう」



 チャリンチャリン、ガコン

 パキョッ

 ゴクゴク。ハァっ


先輩「今日は……少し冷えるね……」


先輩「……」


先輩「コウたんとモリシーは楽しく帰ってるかな……」


先輩「モリシーは告白したりするのかな……」


男「なにブツブツ一人で言ってるんですか?」ハァハァ


先輩「わーッ! なんだコウたんか。ビックリさせないでくれ。なんでここにいるんだい?」


男「だって、クリスマスの夜に女性が一人で歩いたら危ないんでしょう?」ハァ


先輩「……。モリシーはどうしたんだい?」


男「途中で『ここまでで結構です』って言って、走って行っちゃいました」


先輩「そうか……。それでプレゼントは?」


男「はい。ちゃんと渡しましたよ」


先輩「喜んでくれたかい?」


男「泣いてました」


先輩「え? な、なんで? そんなに嫌だったのかい?」


男「いえ、嬉しくて感動して泣いたみたいですよ」


先輩「なんだ、そうか。それなら良かった。そんなに喜んでくれたならミスサンタ冥利につきるね」


男「はい」


先輩「今年はモリシー頑張ってくれたからね。あのくらいは当然だよ」


男「そうですね」


先輩「君も十分頑張ってるよ。彼女の直属先輩としての指導もよくやってるし。

   あの娘があそこまで伸びたのも君のおかげだ」


男「彼女の飲み込みがいいんで、どんどん難しい案件に挑戦させただけですよ。本当に理解が早い」


先輩「君の教え方もいいのさ。指示するときにやることだけじゃなく、ちゃんと目的と相場感を与えている。

   常に期限も指示して、日程感も鍛えてあるし」


男「全部あなたに教わったことですよ」


先輩「おや、そうだったかな?」


男「またまた」


先輩「いずれにせよ、1番頑張ったのはあの娘さ。仕事に慣れないうちから、

   この人手の足りない部署でちゃんと戦力になってくれた」


男「そうですね」


先輩「うん……」


男「……」


先輩「……」



男「先輩って子供の頃サンタクロース信じてました?」


先輩「信じてたよ。そしてたぶん今でも信じてる」


男「夢がありますね」


先輩「というか私はサンタクロースになりたい」


男「子供達に夢を与えたい?」


先輩「子供だけじゃなく、全ての人に夢を与えたい。そしてみんなが幸せな優しい世界を作りたい」


男「ミスサンタクロースは大変そうですね」


先輩「私はみんなから優しさを貰って、充分幸せだからそのくらいなんてことないさ」


男「そうですか」


先輩「うん……」


男「……うん……」


先輩「……」


男「ミスサンタクロースさん。なんとミスターサンタクロースからプレゼントがあります」


先輩「奇遇だね。ミスサンタクロースからもミスターサンタクロースにプレゼントがあるよ」


男「ほんとですか? じゃあせーので交換しましょうか」


先輩「いいよ」


男「じゃあいきますよ」


男&先輩「せーの、はい」



 ガサガサ


男「これは名刺ケースですね」


先輩「うむ。やっぱりできる男をアピールするならボールペンだけじゃもの足りないと思ってね。

   仕入先の人と名刺交換するときに見られるだろう!?」


男「ありがとうございます。ものすごく嬉しいです。極控えめに表現して」


先輩「これは……ピアスかな?」


男「はい。先輩に似合いそうだと思って」


先輩「ありがとう、嬉しいよ。つけてくれないかな?」


男「えっ!? 僕がつけるんですか!?」


先輩「嫌かい?」


男「いえ、つけさせて頂きますよ」



 チャカチャカ


先輩「コウたんの手、温かいね。なんか少しドキドキしてしまう」


男「ドキドキしてるのはこっちですよ。先輩、耳の形すごくキレイですね」


先輩「なんか恥ずかしいね。でもありがとう」


男「いえ……」


先輩「……」


男「……」


先輩「……」


男「……」


先輩「なんか言ってくれよ。ドキドキしちゃうじゃないか」


男「……」


先輩「……」


男「……」


先輩「……」


男「はい、できましたよ」


先輩「ありがとう。どう? 似合うかい?」


男「はい。とってもステキです」


先輩「まぁ私ぐらいになればなんでも似合うからな」


男「ホント、そうですね」


先輩「ふふふ」


男「ふふふ」



先輩「さて、だいぶ冷えちゃったしそろそろ帰ろうか。

   それともオシャレなシティーホテルで野獣のように貪り合うかい?」


男「あれ? 聞いてたんですか?」


先輩「聞えてきたんだよ」


男「彼女はときどきおかしな暴走しますよね」


先輩「そうだね」クスクス


先輩「でも、実際どうなんだい? あの娘のこと結構気にいってるんじゃないのかい?」


男「なんとも思ってないです」


先輩「またまたー。言っちゃえよ。正直に言っちゃえよ。

   好きなんだろー!? 送りトナカイしたかったんだろー!?」


男「そんなことないです」


先輩「あ、ていうか告白とかはされなかったのかい?」


男「されませんね。でもいつか先輩に勝ったらちゃんと告白しますって」


先輩「なんだいそりゃ? よくわかんないけれどとりあえず負ければいいのかな」


男「うーん。僕もよく分からなかったです」


先輩「最近の若い子は難しいねぇ」


男「そうですねぇ」


先輩「……」


男「あ、月が出てますね。満月ですかね?」


先輩「いや、満月は明日だそうだよ。クリスマスの満月は38年ぶりだそうだ」


男「へー、でも今夜の月も綺麗ですね」


先輩「おや、それは告白のつもりかい?」


男「いえ、ただの月を見た感想ですよ」


先輩「そうかい……」


男「そうですよ……」


先輩「……」


男「でも……、先輩が優しい世界を作るっていうなら、しばらく僕もお付き合いしますよ」


先輩「うん。ありがとう」

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