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クリスマスイブの人々1

森島「男さん、ちょっとこの書類確認頂けますか?」


男「はいはい。うーん、よく調べているけれど、新規技術を検討する際には

  常に将来シナリオを考慮に入れてメリット/デメリットをまとめないとダメだね。

  現号で効果があってもモデルチェンジしたときにそのまま展開できなきゃ、

  また開発しなきゃならなくなる。視点を高くして効率の良い開発を目指さないと」


森島「分かりました。ちょっと確認してストーリーを組み立て直してみます」


男「うん。よろしく頼むよ。とりあえず年明けくらいにもう一度見せてね」


森島「年明けですね。分かりました」


男「がんばって」


森島「はい。ところで男さん、今日はクリスマスイブですね」


男「そうだね」


森島「今日は仕事が終わったらどうされるんですか?」


男「先輩と買い物行く約束になってるんだ」


森島「どどどどどど、どういうことですか!?

   ま、まさかデート?デート?デートなの?

   街のイルミネーションを眺めながら、2人で手を繋いで歩いて、

   粉雪が舞い出したのに気づいて『ホワイトクリスマスだね』なんてほほ笑むと、

   ふと目が合い、どちらともなく寄り添って抱き合いながら『あったかい』とか言って、

   体温が溶け合う頃に彼女がそっと目を閉じると、男さんが優しく唇を重ね……


男「ちょっとちょっと」


森島「そしてオシャレなシティーホテルのスイートなんかで、

   性の6時間どころか10時間でも100時間でも狂った野獣のようにむさぼり合って……


男「森島さん! 森島さん!」


森島「ファーー!!あれ? 男さん!? どうしたんですか?」


男「いや、どうしたって、今日先輩と買い物に行くって行ったら、森島さんが

  急におかしくなったから」


森島「あ、そ、そうでしたね (つい願望が)」


森島「えーっと、つまりですね、その、ダメです!」


男「え?」


森島「行ってはいけません」


男「いや、でももう先輩と約束してるし」


森島「お断りするべきです」


男「さすがに今から断るのはちょっと……」


森島「……。何を買いに行かれるんですか?」


男「えーっと、ボールペンだよ」


森島「ボールペン?」


男「そう。ちょっといいヤツが欲しくてさ。先輩が詳しいからアドバイス貰おうと思って」


森島「いやー偶然ですね! ちょうど私もちょっといいボールペンが欲しかったんですよ!

    だから私もついていきます」


男「うーん、とりあえず先輩に聞いてみないと」


森島「そ、そうですね。じゃあ聞きに行きましょう」

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