回転寿司
先輩「おー今日も景気よく回ってるねぇ」
男「回転寿司なんだから当然ですよ」
先輩「じゃあお茶を淹れようじゃないか。コウたんは何杯?」
男「僕は濃いめで3杯くらいお願いします」
先輩「了解」
お茶「コポコポ……」
先輩「はい。あ・な・た」
男「ありがとう」
先輩「どうだい? 気を利かせてお茶を淹れるなんて私はいい嫁になると思わないかい?」
男「お茶だけに茶番ですね」
先輩「……」
男「で、でも結構手慣れてますね。回転寿司よく来られるんですか?」
先輩「ああ。昨日も来たぞ」
男「昨日!? 昨日も来たのにまた今日も僕を誘ったんですか?」
先輩「なんかカニのお味噌汁が飲みたくなったんだよ」
男「まぁいいですけどね……。僕もお寿司好きですし」
先輩「じゃあ頼もうか。初めは何にする?」
男「えーとじゃあサーモンと玉子ください」
先輩「お、最初に玉子を頼むとは君はもしかして通なのかい?」
男「通は玉子を最初に頼むんですか?」
先輩「玉子焼きっていうのはだいたいその店で作るから、その店の腕を判断するのに頼んだりするんだよ」
男「へーそうなんですね」
先輩「でもこんなチェーンの回転寿司では既製の玉子焼きを仕入れてるから判断はできない」
男「ダメじゃないですか。というかこんな機械で寿司を作ってる店で腕もクソもないですよ」
先輩「こら、食事中にクソとか言っちゃいけません」
男「ごめんなさい」
先輩「よろしい。お、注文が来たみたいだよ」
男「先輩は何頼んだんですか?」
先輩「エンガワとアナゴだね」
男「おーいいですね。僕も次はアナゴ頼もうかな」
先輩「じゃんじゃん頼んでくれたまえ。今日は私のおごりだ!」
男「ほんとですか? ありがとうございます」
先輩「そのかわり回らないお寿司さんに行ったときは頼むよ」
男「その場合先輩はガリとシメサバのみになりますけどね」
先輩「せめてカッパ巻きも頼む」
男「しょうがないなぁ」
先輩「次は何を食べようかな。コウたんアスパラの天ぷらいる?」
男「いやいらないです。アジください。あとタイ」
先輩「おーいきますねぇ。コウたんはまだ若いんだから20皿くらいはいくよね!?」
男「さすがに無理ですよ」
―食後―
先輩「ふぅ~。お腹いっぱいだ」
男「僕もです」
先輩「結局何皿食べたんだい?」
男「えーっと、13皿ですかね」
先輩「なんだよ全然じゃないか。遠慮しなくていいんだぞ!?」
男「いや、もう結構お腹いっぱいです」
先輩「そうかい!? んじゃそろそろ行こうか」
男「そうですね」
先輩「ところでコウたん1つお願いがあるのだが」
男「はい、なんでしょう?」
先輩「財布忘れた」




