気が置けない
部長「おーい男、この資料間違えてるぞ」
男「あ、すみません。どこでしょうか?」
部長「ここ、『気が置けない状況が続くため』になってるだろう!?」
男「え、なんか間違ってますか?」
部長「『気が置けない』っていうのは"気にする必要がない"って意味で
"油断できない"っていう意味ではないぞ」
男「あ、そうなんですか!? 修正しておきます」
部長「まぁ日本語は難しいよな。でも書類として残すものはちゃんとした日本語でな」
男「そうですね」
部長「最近、日本語のおかしい資料を提出してくる奴が多いんだよなぁ。
そうだ。お前に今から"意味を間違えやすい日本語"を問題として出すから、答えてみろ」
男「お、まかせてください」
部長「おー。じゃあ最初は『姑息』」
男「えーと、"卑怯"みたいな意味ですか!?」
部長「残念。正解は"その場しのぎ"というか"一時的な間に合わせ"みたいな意味だ」
男「へー、ずっと勘違いしてました」
部長「よーし。んじゃ次は『破天荒』」
男「えーっと、なんかこう、"勇ましくて大胆"みたいな」
部長「正解は"誰も成し得なかったことをすること"。前代未聞的な意味だな」
男「おー」
部長「えーと、じゃあ『にやける』」
男「こう、薄ら笑い的な。エロいこと考えた時とかの」
部長「ははっ、それはお前よくやるよな。正解は"なよなよしている"みたいな意味」
男「マジですか!? それほとんどの日本人が間違えてるんじゃないですか!?」
部長「そうかもな。んじゃー、これはどうだろう。『失笑』」
男「"笑いも出ないくらい引いてる"みたいな感じじゃないんですか!?」
部長「"こらえ切れず吹き出して笑う"ぐらいの意味だな。
んじゃ次、似たようなので『爆笑』」
男「!? それ誤用してたら、今までものすごく恥ずかしい人生送ってきたことになりますよ。
"大笑いすること"じゃないんですか?」
部長「正解は『大勢の人が一度に笑うこと』。なんだったんだろうなお前の人生はww」
男「うぐぅ」
部長「まぁ普段使ってる言葉でもこれだけ間違えてるんだ。
書類とか作るときには気をつけてな」
男「はい…」
男 (なんかくやしいなぁ)
男「先輩、『爆笑』って言葉の意味分かりますか?」
先輩「ん、なんだい急に? "大勢の人が一気に笑う"ことだろう!?
それがどうかしたのかい?」
男「なんでもないです……」




