葉巻
男「あ、おはようございます部長」
部長「おう、おはよう」
男「部長吸ってるの、それ葉巻ですか?」
部長「ああ。普通の紙巻たばこと同じサイズの葉巻をシガリロっていうんだ」
男「へー。葉巻を吸ってる人なんて、僕初めてみましたよ」
部長「まぁあんまりいないよな」
男「はい。なんで紙巻じゃなく葉巻なんですか?」
部長「理由はいろいろあるな。でも1番大きな理由は紙巻よりうまいってことだな」
男「そうなんですか。僕は吸わないんでよく分かんないですけど」
部長「フィルターを通さない分濃くて香りがいいんだ。
煙が濃いから肺に入れずに口の中で味わえるんだよ。
体内に入れないから体にもそんなに悪くないし」
男「そうなんですね。でも葉巻なんて高いんじゃないですか」
部長「葉巻は1本を何回かに分けて吸えるから、そんなにコスパ悪くないよ。
特に俺の場合は常用してるわけじゃないから、月に10本くらいしか吸わないし」
男「そんなに少ないなら止めちゃえばいんじゃないですか?」
部長「いや、やっぱこういうのがあった方が休憩している気分になれるし、
コミュニケーションツールとしての役割もあるからな」
男「たばこミュニケーションってやつですね」
部長「そうそう。特に葉巻なんて珍しいから話のタネになって便利だぞ」
男「なるほど。確かに僕も葉巻を見て話しかけちゃいましたもん」
部長「だろ!? 試しにちょっと吸ってみるか!?」
男「はい。少しだけなら」
ゴソゴソ。カチッ
部長「肺に入れないようにして、口に含ませたらゆっくりと吐き出すんだ」
男「ふぅー」
部長「どうだ?」
男「おいしいかどうかはよく分かんないですけど、普段皆さんが吸ってる紙巻みたいに
嫌な感じはしないですね」
部長「そうか、まぁ吸わないにこしたことはないけどね」
男「そうですね、ありがとうございました」
部長「たばこはそのまま灰皿に置いとけばいいよ。葉巻は勝手に火消えるから。
むしろもみ消すのは少し失礼なんだ」
男「はい、分かりました。では失礼します」
先輩「あれ?」クンクン
男「どうしました?」
先輩「なんかコウたんの口から、部長の口と同じ匂いがする」
先輩「もしかして……ッ」
男「違いますよ!!」




