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ピザ

 ―男宅―


先輩「ふぁあ、なんか最近パッとしないなぁ。コウたん、なんかおもしろい話をしてくれよ」


男「なんですかそれ、そんなのは大阪人にでも頼んでください」


先輩「あーあ、11月はなんにもイベントないしなぁ」


男「そうですね、もう20日ですか……。そういえば11月20日はピザの日らしいですよ」


先輩「ほう、そうなのかい? 11月20日にデブがなにかやらかしたのかな?」


男「いや、理由はよく知らないですけど、昔ピザ屋でバイトしていた時に店長から聞きました」


先輩「へー、店長はデブだった?」


男「いや、"ピザ=デブ"の図式にとらわれ過ぎですよ。……デブでしたけど」


先輩「だろう!? やっぱピザあるところにデブありなんだよ」


男「そんなもんですかね」



先輩「じゃあ君はピザを作れるのかい?」


男「いえ、僕は配達しかしてないんでピザは作れないです」


先輩「そうかぁ。あの生地をギュンギュン回すのを見てみたかったんだが」


男「普通のチェーン店はそんなのやってないですよ。

  たいていは工場で作った生地を冷凍して、店に運んできてるだけです」


先輩「!? そんなの……そんなのピザじゃない!」


男「あきらめましょう先輩。現実を受け入れてしっかり生きていくんです」


先輩「いやだ! 私は自分の信じたピザを追い求めるんだ!」


男「先輩……。とまぁ茶番はこの辺にしておいて、ピザハットのパン生地とかは

  ちゃんと店で粉から生地作ってますね。もちろん機械でですけど」


先輩「ほう、じゃあ今晩は君のステマに釣られてピザハットで注文でもしようじゃないか」


男「別にステマじゃないですよ」


先輩「明日デブになってても私のこと嫌わないでくれよ」


男「先輩ならどんな姿になっても僕はこれまで通り接しますよ」


先輩「それは私の外見じゃなく中身を気に入ってくれてるということかい!?」


男「……ご想像におまかせします」


先輩「あら照れちゃって可愛い」

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