呼び名
先輩「前から不服に感じていたんだが」
男「はい。なんですか?」
先輩「君はどうして私のことを名前で呼んでくれないんだい?」
男「先輩だってそうじゃないですか」
先輩「その通りだ。だからより親密になれるようお互いの呼び名を決めたいと思う」
男「これ以上親密にならなくてもいいんじゃないですかね」
先輩「君は相変わらずのツンデレっぷりだね」
男「先輩も相変わらずの脳内花畑っぷりですね」
先輩「……まぁそれはいいとして、今日の午前中一杯使って君の呼び名を考えたんだ」
男「……仕事しましょうよ」
先輩「うむ。それで君は私の後輩だから『コウたん』と呼ぶことになった」
男「先輩にはネーミングセンスもなかったんですね」
先輩「!? すこし引っかるが今は聞き流してやろう。
それで、君は私のことはなんて呼んでくれるんだい?」
男「ちょっと待ってください! 僕の呼び名は『コウたん』で決まりですか!?」
先輩「うむ、確定だ。先ほど部長にも承諾して頂いた」
男「なにやってるんですか……。ていうか部長もなに承諾してるんですか……」
先輩「そういうわけだ。で、私の呼び名はどうする?
君なら下の名前を呼び捨てでも構わないぞ」
男「いや僕は先輩のことそのまま『先輩』って呼びますよ」
先輩「なぜだ!? それでは距離感が縮まらないじゃないか」
男「だってなんか……名前で呼ぶの照れくさいですし……」
先輩「君はほんとに可愛いなぁ」ニヤニヤ
男「ッ……」




