懐中時計
男「先輩、その鎖なんですか?」
先輩「ん、これかい!? ほら、懐中時計だよ。死んだおじいちゃんの形見なんだ」
男「……」
先輩「まぁ嘘だけど」
男「ですよね。先輩ってそんなもの持ってましたっけ!?」
先輩「あぁこれは先日リサイクルショップで見つけたんだ。
前々から懐中時計というものに興味はあったんだが」
男「はぁ」
先輩「どうだい!? 素敵だろう?」
男「カッコイイけど、なんか古臭い感じありますよね」
先輩「それがいいんだよ。なんかこう神秘的というか秘められた何かがありそうな雰囲気だろ!?」
男「先輩が持っていると特にそんな雰囲気ですね」
先輩「そうだろう!? ん? それはどういう意味だい?」
男「胡散く……。先輩もミステリアスで素敵な女性ってことですよ」
先輩「もう、君は可愛いなぁ。この時計に二人の時間を刻んでいこうね」
男「はいはい」
先輩「それで二人の子供に形見としてこの時計を受け継がせようね」
男「一人でやっててください」
先輩「もう、つれないなぁ」
男「でもこれで遅刻とかが減りますね。じゃないと時計買った意味無いですもんね!?」
先輩「やっぱり可愛くない……」




