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明日の月は綺麗でしょうね。

真冬の蝉は一週間に七度死ぬ

作者: 都夢



蝉の鳴き声が燦々と降り注ぐ、夏の日


二人、屋上で昼食を取り終え、そこからの風景をぼんやりと見つめていると…

隣のアイツはこう言った




「……雪だ!」


「えっ…」



嬉々とした顔で、日光の反射で白く見えるコンクリートを指差し、もう一度


「雪だ!」


と叫んだ





あの時、確かにそこには雪があった







晴れた空に大きな入道雲、教師が黒板に書きなぐる入試対策は頭に入って来ない



騒ぐ女子生徒、廊下を駆ける男子生徒


購買のパン、自動販売機のいちご牛乳


一際大きな蝉の声、屋上から見える雪


何もかもが噛み合わない、そんな夏の日






時計の秒針が動く音がした









屋上から見える景色は好きだ



蒼く澄み渡る空


明るいグラウンド


生徒たちの騒がしい声




野球をやっているのを上から見て、二人で実況者にでもなった様に騒ぎ立てた


雨が降る中、屋上に中古の安いテントを張ってキャンプみたいだと笑いあった





そんな「あの日」は戻って来ない



「雪だ!」


あの日、アイツは確かにそう言った









あの時、確かにそこには雪があった



fin.

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