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11 ノーパン幼女型古代兵器。


「うふふふ、いつもお買い物は一人だったので、大勢でのお買い物はテンションが上りますねぇ〜」


 お外は快晴良い天気。それも相まってか、魔王は鼻歌何かを歌いながらウキウキ気分を全開にしていた。

 真ん中にイクを置いて、その左手を太平、右手を魔王が繋ぐようにしてるその姿は、知らぬ人が見れば仲の良い家族がお買い物に出かけているように見えることだろう。

 目的地のアパートまでは徒歩二十分程度。

 

「スキップなんかしちゃったりしますよぉ〜」


 魔王がスキップを始める。イクがそれを真似てスキップをしようとしだしたのを、太平が大慌てで止めた。


「駄目ェェェ! 今は跳び跳ねる系の動きをしちゃ駄目ぇェェェ!」


 半狂乱状態になりながらイクのワンピースをスカートをガードするのは、イクがパンツを履いていないためである。

 ノーパンツ状態でスキップなどしようものならば、何時何時見えてはいけないものが見えてしまうとも限らないのだ。


「太平の目が血走っている。充血したのか? 目に異物混入か?」


 爪先立ちで太平の瞳を覗きこむ仕草は、傍目から見ても普通の幼女にしか見えないことだろう。ところがどっこいノーパン幼女、もといノーパン幼女型古代兵器なのだ!?

 

 ――ノーパン幼女型って一体なんだろうか……。


 そんな事にいちいち悩んでも答えなどありはしないのに、ついつい悩んでしまう、そんな多感なお年ごろの太平だった。

 なんとかイクにスキップをさせることを思いとどまらせ、パンチラの危機を防ぐことに成功した太平だったが、その後にもう一仕事が待ち構えていた。一緒にイクとスキップを出来なかったことに、不満顔な魔王をなだめるという仕事である。


「はぁ、何やってんだろ……」


 青空に向けてため息を付く二十一歳無職だった。



 ※※※※


「はぁ〜い、デパートに到着ですよぉ〜」


 魔王はまるでバスの添乗員のように、手を振りかざしてデパートを紹介してくれた。

 駅前の商店街のど真ん中にそのデパートはあった。八階建てのこのデパートは、この周囲の建物の中で一番高い建物であり、『マッチ棒から戦車まで何でも揃えるデリシャスデパート!』という謳い文句で通っている。

 本当に戦車が売っているわけがないだろ……と、皆が思うのだが、ところがぎっちょん! 噂によると闇の受付カウンターを通すと、闇の軍事物資の闇の横流し闇物資が手に入るとかどうとか……。


 ――どんだけ闇なんだよ! 


 その噂を耳にした太平はツッコミを入れたものだった。

 

「これがデパート……なるほど」


 何に納得したのかさっぱりわからないが、イクは魔王の説明を受けてコクリコクリと頷いていた。


「ちなみに、このデパートの中にある洋菓子屋さんのケーキはとっても美味しいので〜す」


 聞き入ってくれるイクに気を良くしたのか、魔王はデパートの中に入ってからも、全く不必要な情報をペラペラと得意気に語り続けていた。


「ケーキ……なるほど」


 これまた頷くイクだったが、果たしてこの古代兵器は食事を摂るのかどうか謎なところだった。

 普通の幼女ならばケーキなんてものは大好物であるのが普通であろうが、このノーパン幼女型古代兵器はどうなのか? それ以前にケーキが何であるのか知っているのか? 

 

「ケーキもいいですけど、一番の目的はそれじゃないんですから……」


 太平は上機嫌で説明を続ける魔王の言葉を遮った。ただでさえ魔王は男の目を惹きつける大きな胸をプルンプルンと震わせているのに、さらにこのよく通る朗らかな声で饒舌に語り続けられたのでは目立ってしかたがないのだ。


「ああ、そうでした! 太平さんの目的は幼女のパンツですもんねぇ〜」


 その魔王の言葉に、デパートの中の人が一瞬足を止めてこちらを振り向いた。


「太平さんは、幼女のパンツが急いで欲しいんですもんね。ケーキなんて買ってる場合じゃありませんよねぇ〜」


 その言葉に周囲が一気にざわめきだす。


「な、何を言っているんですかぁ! そ、それじゃあ僕が幼女のパンツが大好きなヘンタイみたいじゃないですかぁ、あ、あははははは。幼女のパンツはこのイクちゃんのためのものであり……あ、あれ?」


 額に冷や汗を浮かべながら必死に弁明をする太平が、イクの方を振り向くと……そこに行くの姿はなかった。


「あ、あれぇぇぇぇ?」


 大慌てで周囲を伺うのだが、視認できる範囲にイクの姿は見えなかった。

 こうなると、太平は完全に言い訳が効かなくなるわけで……。


「あらまぁあの男の人、彼女と一緒に幼女のパンツを買いに来てるんですって……」


「あらいやだわ、どんなプレイする気なのかしら……」


「まさか、あの男が自分で履くんじゃ……」


「違いますよ、頭にかぶるんですよ!」


「いやいや、食べるに決まっている!」


「まてまて、食べる前に嗅ぐだろ!!」


 最初は普通のおばさん同士の会話だったのだが、途中からその筋の人は加わってきたようで、太平を取り巻く人だかりは異様な盛り上がりを見せだしていた。


「何なんだ、このデパートの客は、おかしなやつばっかじゃねえか……」


 ご多分に漏れず、太平もお菓子や客の中に含まれているわけなのだが、こういう時の人というものは

自分を除外してしまうものなのである。


「兎に角、イクを探しにいかないと!」


 この文面の中には、イクを探しに行くだけでなく、この場からエスケープしないと! と言う意味も含まれいてる。


「はいは〜い! わたしイクチャンの居場所に心当たりありますよ〜!」


 魔王が元気よく手を上げると、太平に向けて満面の笑みを浮かべた。



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