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Living  作者: 華歌 李夢
2/3

〜起〜

 目覚まし時計がセットされた時間になり、その音が部屋に響き渡った。

 鬱陶しい音で意識がうっすらと帰ってきた。

 そして、目覚まし時計を手で探り当て軽くたたき音を止める。

 なんだか今日は変な夢を見た。ゲームの夢?ちょうどゲームオーバーになって目を覚ましたような気がする。

 障子からは朝が来たこと告げるように光がさしていた。

「はぁ〜そろそろ起きないとな〜」

 僕はそうつぶやくとゆっくりと立ち上がった……ようで布団にもぐった。




 ふと寝返りをうった際に顔に日が当たりゆっくりと目が覚める。

 今度は鳥の声が耳に入ってきた。

 鳥の鳴き声が聞こえ、まさに絵に描いたような朝が心地よい目覚めを演出した。

「ふぅーそろそろ学校行くしたくをするかぁー」

 僕はため息混じりにそう言った。

 起きあがりトイレに入ったところで時計が見えて違和感を覚えた。

——えーと、今が8時ちょうどで……え?

 確か今日は学校集合が8時半だったよな。

 そして普段通りだったら朝ごはんは10分、着替え5分、その他のしたくが10分前後で、家から学校まで走った時の最高記録が13分。

 ん?

 なにかがおかしい。

 目覚まし時計は7時にセットしておいた。

 いつも起きてから学校に着くまで50分前後はかかる。

 残り時間は30分。

 やっと寝ぼけていた頭がさえわたり、同時に血の気がさっと引いて行く感覚が体を駆け巡る。

 今頃、この危機的状況を理解した。

「やばっ!」

 よく見ると妹は今さっき家を出たようだ。

(なんで起こしてくれなかったんだよ⁉︎)

 などと一瞬怒りがこみ上げそうになった。

 しかし、急いでしたくを進めている内に冷静になるにつれて、怒りがむなしさに変換されて行く。

(何をやけになって、八つ当たりなんて真似を……)

 いつも通り情緒不安定で朝を迎えた。とても良かった目覚めが嘘のようだ。

 したくを終えて外に出る。

 そこには憎たらしいほどの暑さの日差しが、照りつけている。

 だが、よく見ると遠くの空には真っ黒く濁った雲が着々と進んで来ていた。

「行ってきまーす!」

 勢い良く家を飛び出した。

 けれども、あることを思い出しふと足を止める。

 同時に体からは冷や汗がじわじわと出てくるのを感じ、頭の中からは針を進めていく時計の音が鳴り響いていた。

「傘、忘れた〜〜〜‼︎」

 と叫び家に高速リターン。

 30秒後に、何事もなかったかのように家からの超速リスタート。

 風を裂き軽快なリズムでいつも通りの通学路を駆け抜けて行った。




 走っていると友人を発見した。

「あ!おっはよーのぞみん!」

「三輝か。いつも言ってるが俺の名前を女みたいに呼ぶな、あと俺の名前、望って書いてのぞむだから、だいたいお前もなかなか懲りないよな、いい加減やめ——」

「ふぅ、のぞみんが歩いてるってことは余裕で間に合うねー」

 やっと一息ついた。が、

「え……いや間に合わないと思うけど、あと人の話を——」

「え⁉︎じゃあなんで余裕ぶって歩いてるのさ!」

「あーもう間に合わないと思って走るのやめ——」

「いや、まだ間に合う!ワンチャンあるよ!走るよー!」

「え、ちょ、まっ——」




 チャイムが鳴った。

 その時、僕らは息をきらしていたが席についていた。

 その後いつも通り、15分の読書タイムののち朝のHRがはじまった。

 そして、HRが終わると体育館に行って始業式。

 やっと終わったかと思うと今度は司会の先生が

「それでは、続きまして表彰式に移りたいと思います」

 と言い出す。

 でもこの辺りからだんだん体育館がジェットヒーターで暖まり眠気が……

 そして、後ろからつんつんとつつかれた時には、もう式が終わってしまう。

 式が終わると、教室にそのまま移動。

 1時間とちょっとのHRののち放課後を迎えた。

「よし、帰るか」

 剣慈にそう声をかけた。

「おう」

 以外にも簡単な返しが来た。

 細萱剣慈(ほそがやけんじ)は僕を恐らく最も理解できている人間だろう。

 こいつとは小3からの付き合いで僕もこいつのことは理解しているつもりだ。

 親友といえば、そうかもしれない。

 しかし、あなどれない。

 うざい、うるさい、ウケるの3Uを持っているにも関わらず、女子からモテる。

 さらに3回告られたが、すべて断った……事実上断った猛者だ。

 さらにさらにこいつは男友達に、

「非リア同士仲良くしようぜ」

 と言われた時、こんな事を言っていた。

「お前は非リアしか選択肢がないから非リアだが、俺は非リアを選択したから非リアなんだ」

 言われた相手も話にまざっていた僕も正直これには苦笑いだった。

 まぁこいつの性格は最悪かもしれないが、なんだかんだ友達である。

 帰り道、夏休み前と同じように2人で歩いていた。

「そういえば、もうすぐ学園祭だね」

「どうせ学年委員で仕事だらけだろ」

「思い返せば僕みたいな奴がクラス委員長兼学年委員長でお前みたいな奴が副委員長で、よくこのクラスも、学年もまとまりあるよな」

 僕は軽く笑いながら言った。

「それな、女子の副委員長が優秀に仕事をこなすからだろ」

「いや!僕は仕事してるから!修学旅行のため学年委員会総動員で千羽鶴折ってた時、机の上で寝ながら文句ばっかり言ってたのお前じゃん!」

「ん?なんの話?」

 ——ちっ、そういえばこいつにはこいつにとって都合の悪い事は全然聞こえないんだった。

「まぁそんな話はさておき、どうするよ」

「なにが?」

「先生が言ってたじゃん、学年劇やるかやらないかって。それについてまた次の学年委員会で話すらしいし」

「あーそんな話あったねー。俺は無しでいいと思うよ」

以外と簡単に答えた。

「えっ、なんで?」

「だって練習面倒だし。どうせ役者は学年委員だろ」

吐き捨てるようにそう言った。

「死んだ魚のような目で面倒とか言うなよ」

「目は別にいつも通りだ!」

「僕は別に劇をやってもいいと思うけどねー」

「じゃあやればいいんじゃね」

「随分適当だなおい!」

「ほっとけばどっちかに決まる。ただ俺は役者はしたくない。ただそれだけだ」

 無駄にむかつくキメ顔でこちらをみてくる。

 それに対する怒りを心の中で液体窒素に沈めつつ、つぎの話題に移った。

「話は540°変わるけど、もやっしーは今好きな女子とかいないの?」

「もやっしーじゃねーよ!」

「いやだって細長いから……」

 僕の身長は162cm、もやっしーは172cmもあるのだ。

「あと、俺、誰とも付き合う気ないから。だって面倒だし。金は無駄に使いたくないし」

「うわぁ、少子化問題の加速が見える」

「DA☆MA☆RE」

「むむっ!あなたの未来が見えます!そう、破滅です」

「女子の何処がいいんだよ?別にホモじゃないけど」

「かわいいし、優しいじゃん!」

「うへぇ」

「哀れみの目で見んな!」

「だから!目はいつも通りや!」

それから謎の沈黙の後こう切り出した。

「じゃあもうとっくに家通り越してるから帰るね」

「おう、じゃあな!」




 この日は夏休み明けの始業式。

 なんとか間にあった。

 2学期初日から遅刻はまずいだろうと思っていそいだ甲斐があった、そして何より人助けにもなったのだ!

 今日は朝、のぞみんと話した。

 のぞみんの笑いのツボはおかしいらしいと聞いた、研究しておこう。

 放課後は、ナルシストもやっしーとも話した。

 相変わらずゲスだった。

 でも、体育館で僕の後ろに座っていたのはもやっしーだったな。

 そういえば先生も朝のHRで言っていたが、もうすぐ学園祭を控えている。

 学年委員会が中心となって2日ある学園祭の1日目の文化の日の練習をすると考えるとどうも頭が痛くなる。

 そういえば、今日の朝の夢はなんだか変な感じがした。

 “大切なことは以外なところに隠れていることが多い”と夢の中で言われたような……

 などと今日の出来事を振り返りながら日記を書いていると日記の隅にこんな事が書かかれていた。




 運は多分ある。

 命をかけて頑張る……多分

 はじまりは今だろう!

 選ばれた以上、委員長として頑張ろう。

 択ぶ、選ばれることは大切だ。

 しかし、面倒だ。

 だれでもいいというわけにはいかない。

 いい加減には出来ない。これからも頑張ろう!


 杞憂 三輝



 

 はたしていつ書いたのだろう。

 全く身に覚えがないんだが……まぁとりあえず、明日も頑張ろうってことだな。うん。

もうすぐ、冬休みが終わってしまう。

なのになんで宿題は終わっていないんだ⁉︎

おかしい。

確実におかしい。

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