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platonic a  作者: いづくにか
friendship
7/11

6

コロッセウムを訪れてから4日が経った。

失踪事件は未だにとっかかりすら得られていない。コロッセウム近辺の監視カメラも確認したがなにしろ人が多すぎる。

夜とはいえ、さすが繁華街だ。酔っている人もいれば騒いでいる人も多い。この中から特定の1人を探すのは骨が折れる。この1週間、休憩もほどほどに画面にかじりついていたものだから肩も腰も痛い。

ちらと視線を上げれば21時を少し過ぎたことを無機質なデジタル時計が告げていた。

しばらく前にリファは帰ってしまった。もらったミルクティーはすでに冷め切ってしまっている。彼女も忙しいだろうに退勤時にわざわざコンサバトリーまで行ってくれたのだが、少し口をつけたままに忘れてしまっていた。


明日は休日だ。

もう少し調べようか、それともそろそろ帰ろうかと悩んでいると捜査課の扉が音もなく開くのが見えた。

「まだいたんだ。お疲れ」

ユーゼンは僕がいることに驚いた様子もなく声をかけた。夜も更けたというのに少しの服装の乱れすら見られない。この男、いつ見ても隙がないのだ。

「お疲れ様です。コロッセウムの失踪事件を調べてまして...」

「今週頭にリファと行ってきたんだっけ。どの程度わかった?」

「それが、全然です...失踪したテオドールさんの行方を追って近辺のカメラを確認しているのですが、これといった手がかりはまだ...」

我ながらなんとも情けない進捗である。

そうか、と返事したと思えばユーゼンはコーヒーマシンを操作しはじめた。


ややあって無機質な稼働音ととも部屋にコーヒーの香りが広がった。このコーヒーの匂いもすでに嗅ぎ慣れたものである。(ちなみに自宅用に同じ豆を買おうと思ったのだが値段をみて諦めた経緯がある)

「カメラ映像もいいけど、実際に見てみるのがいいよ。特にヒラギくんは」

ふいに彼が言った。

「実際に、と言いますと現場に行ってということですか?」

「そうだね。愚直ではあるけど古典的なセオリーは役に立つ」


まるですべてわかっているような口ぶりだ。

ひょっとしてユーゼンはすでにこの事件の真相にたどり着いているのではないか。なんとなくそんな気がした。

「もしかしてユーゼンさんは真相がわかっているのですか?」

彼はこう聞かれるのがわかっていたように言った。

「全部はわからない。けどそれほど複雑ではないよ。ヒラギくんの教材にちょうどいい事件だ」

「...実際の事件を教材って危ないですね」


いつの間にか自分がユーゼンの雰囲気に飲まれていることに気づき言葉に詰まった。

そういえば彼とここまでの会話をしたことはなかった。そもそも会う機会も多いわけではなく会っても1言2言のやりとりばかりだった。

ここに来て再び彼の異質さを体感した。

リファとはまた違う。

僕がどう考えているか、次になにをするか、まるですべて知っているような。

尊敬する先輩ではあるがなんとなく背筋が冷える思いがした。


「君には期待してるんだ。局長が連れてきたからっていうのもあるけど、君は優秀だから。対神跡特殊捜査課には優秀な捜査員しかいないんだ」

彼に認められるのはうれしいのだが、なまじ彼の優秀さを知っているために正直プレッシャーである。



「あくまでセオリーの1つだが、ほとんどの事件は人が関わるものだという見方がある」

いつの間にか自らのデスクについていた彼が言った。

「それは、当たり前のことでは...ないでしょうか?...」

「本当に孤独な人は事件なんて起こせないんだよ。人が人と関わって何らかの関係性が築かれた上で事件になるって考え方だね。今回の場合被害者は失踪当日に誰かともめていたようだ。彼のプロファイリングをすればわかることだがこれがおそらく事件の肝だろうね」


なんとなくわかるようなわからないような論ではあるが、テオドールが誰かともめたという情報が重要だとは僕も感じていたことだ。

「テオドールさんについてはあまり誰かと争うような人ではないと聞いてます。チームメンバーや関わりのある人にも聞き込みしたのですがむしろいい話ばかりで、言い争いをしたという人も見つかっていないです...」

「いいね。それも重要な情報だ。捜査の方向性は合っているからその方向からさらに進めていい。小さな噂にも細心の注意を払うことだね」

「ありがとうございます。もう一度コロッセウムで捜査し直してみます」

彼の方を見るとすでに視線はこちらにない。話はこれで終わりのようだ。

結局助言してもらう形になったが今の捜査が間違っていないと認められると安堵を感じた。リファにも人間関係に注意しろと言われていたが調べるほどに先が見えなくなりどうすればいいかわからなくなっていたのだ。


明日からは休日だがコロッセウムに行って捜査を進めよう。そうと決まればさっそく荷物をまとめて帰宅の準備をする。

すでに冷めてしまったミルクティーを口に流し込むと甘いミルクの匂いが鼻を抜けた。


ここまで読んでくださってありがとうございました。

筆が遅い上にすごく短くて申し訳ありません。

もし読んでくださるかたがいらっしゃれば気長にお待ちいただけるとうれしいです。

なるべくがんばります。

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