心のアクセサリー
美百合は自室に戻ると、「瑠々美は何も知らなくていい…あの子は私の宝物なのよ」と心の中で呟いた。あの男、どうしてくれるの。瑠々美に汚いイメージが付いたら、どうするつもりなの?という苛立ちが募った。美百合は仁のことを思い出した。
仁がある日、美百合に大きく成長した善と潤海の写真を見せてきた。彼女はその瞬間、二人の顔をじっと見つめた。潤海の柔らかな笑顔は心を惹きつけたが、美百合は胸に何か引っかかる感覚を覚えた。仁が潤海について語るとき、その目は特別な輝きを帯びていた。
「これが潤海と善だよ。血は繋がっていないけど、大切な子達だ」と仁は無邪気に話す。その言葉に、美百合は仁が潤海を特別に思っていることを敏感に感じ取った。潤海への自分の感情が、ただの嫉妬であることを認めたくなかった。
美百合は潤海の名前を耳にするたびに、彼女の魅力を否定するようになった。潤海の持つ温かさや優しさは、仁にとっての大切さを示すものであり、それが彼女にとって脅威でしかなかった。仁の目に映る潤海を見ていると、瑠々美の価値が下がっていくように感じられた。
「どうして瑠々美は大切だと言われないの?瑠々美の方が可愛いのに!」美百合は心の中で叫んだ。瑠々美は自分の理想の姿であり、まるで自分のアクセサリーのように感じていた。彼女の存在が美百合の価値を高めるものであってほしかった。自分の存在を証明するために、潤海を貶めたいという衝動に駆られた。