表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/37

7.偽り


美乃里 「あーちょっと遅れちゃった」

美乃里は小走りで雅紀との待ち合わせ場所へ走る

待ち合わせ場所が近付くと反対側からも小走りで来る雅紀の姿が見えた

雅紀は美乃里に気付き、手を振る


雅紀 「あー良かった、美乃里ちゃん待たせちゃってるかと思って焦った〜」

美乃里 「あたしも遅れちゃって、一緒のタイミングで良かったです」

雅紀 「元彼くんは来てない?」

雅紀はからかうような顔で辺りを見回し、探す素振りをする


美乃里 「やめてくださいよ〜」

雅紀はニカッと笑って意地悪な顔を見せる

雅紀 「よし、行くか

俺たちそんな歳変わんないし、敬語やめてね」

歩き出す雅紀は爽やかな笑顔で美乃里に微笑む

一瞬その笑顔にドキッとなる美乃里


(なんか2人で会うと調子狂うな〜)

美乃里 「そー言えばまさきくん何歳でしたっけ?」

雅紀 「1つ上だよー」

美乃里 「 そうなんですね!あ、そうなんだ〜」

雅紀 「それでよろしい」

雅紀は美乃里の頭を撫でる


(キュン…

あ〜これはやばい、雅紀くんのペースだ…平常心)

雅紀 「美乃里ちゃんってなんか謎だよね?」

美乃里 「そうかな?私は雅紀くんの方が謎な気がするけど」

雅紀 「えー?そうかな?」

美乃里 「うん、謎!

そー言えば昨日の飲み会 楽しかった?よく合コンとかするの?」

雅紀 「合コンは人数合わせで和樹からよく誘われる…

楽しかったか?って聞かれると

美乃里ちゃんとの話しは楽しかったかな」

美乃里 「えー?そんな楽しい話ししたっけ?」

雅紀 「え?逆に俺との話し楽しくなかったの?」

「プッ、ハハハハ」

美乃里と雅紀は笑いながら楽しそうに歩を進め、

雅紀は1件のお店の前で足を止める


オシャレな夜のカフェだ…

BGMは大きめで流行りの曲が流れてる

客層も若めでカップルや女子会で盛り上がっている

美乃里 「素敵なお店だね〜 雅紀くんって意外と女の子が好きそうなとこ知ってるんだね〜

なんか勝手にこうゆう所 苦手なイメージだった」

雅紀 「さすが美乃里ちゃん!よく分かったね

こーゆう店は苦手だけどここのご飯は本当美味しい」

美乃里 「そうなんだぁ、楽しみ」


「いらっしゃいませ〜」


お店に入ると店員さんが近付いてきて

店員 「雅紀!最近連絡無いから…」

「…」


2人は小さい声で話だし、少し大きめのBGMが流れる

お店では2人の会話はあまり聞こえなかった

(深い知り合いなのは見て分かる

そして女性の方は雅紀くんの事が好きなのも見て分かる

好きだけど何だかそれ以上の関係な感じもする

うーん元カノか…な?)


店員 「こちらにどうぞ〜」

綺麗な多分元カノ店員さんに案内され、

少し奥の部屋の更に奥の個室に進む

表のガヤガヤと賑わう感じとは変わって、

BGMもちょっと小さめで落ち着いた雰囲気だ

普通の話し声でも聞こえるから声を張らなくてもいいのはありがたい

(こんな奥にも席があるんだぁ…)


雅紀 「はい」

雅紀はメニュー表を美乃里に渡す

美乃里 「ありがとう」

さっきの女性の事は気になったけど別に私は彼女じゃないし、彼女でも無い人にそんな探索されても嫌だろうし聞かない事にした


美乃里 「これ美味しそう〜あとこれも」

雅紀 「昨日もそうだけど美乃里ちゃんってよく食べるよね」

美乃里 「確かに…雅紀くんより食べれるかも」

雅紀 「ハハハハハッさすがに女の子に負けるのは勘弁」


2人は楽しい時間を過ごす

ご飯も食べ終わり、時刻は22時


雅紀 「そろそろ行く?」

美乃里 「うん、行こっか〜美味しかった〜」

雅紀はそのまま慣れたようにお店を出る

美乃里 「あれ?お会計…」

雅紀 「あ、もう払ったからいいよー」

美乃里 「え?いつのまに?」

(私は帰り際トイレにも立ってないし…なんか変な感じ

お知り合いのお店だとしてもお金は払うべきだ)

所々感じる雅紀への違和感

美乃里は少し嫌な気分になってしまった


美乃里 「あ、私お金払うよ

沢山食べたし、どのお料理も美味しかったし」

雅紀 「ほんとに大丈夫だよ!その変わりまた今度もここに食べに来よ」

爽やかな顔でニカッと笑う雅紀

美乃里は雅紀のペースに飲まれていく


雅紀 「まだどっか行く?バーにでも行く?」

(雅紀くんは自分のペースに巻き込むのが得意だ

このまま流れで男女の関係になるのは避けたい

まあ、言っとくけどあたしはそんなに軽くない

だからこそ、今日はこの辺にするべきだ)


美乃里 「明日、予定もあるし今日は帰ろうかな」

雅紀 「そっか、残念!じゃぁ、また近いうちにご飯しよう」

美乃里 「うん」

その後も他愛もない話で盛り上がり

最寄りの駅まで美乃里を送り、2人は別れた


(私は電車に揺られ、うとうととしながら今日のことを考えていた

なんだか、雅紀くんて良い人なんだけど良い人を感じさせない何かがある気がする

まあ、少なからず私には良い人?だからいいか…な)

美乃里はそんな事を思いながら家路に着く


雅紀 「チッ」

雅紀は電話を掛ける

雅紀 「よー、餌捕まえれなかった、今日は

今日は無理だったけどあと2.3回くらいで行けるかな」

「あ?ぁぁ分かってるよ

とりあえず運びで昨日のババア連れてくよ」


雅紀は電話を切るとまた誰かへ電話を掛ける

雅紀 「おい、今からカフェに来い」

「あぁ、カフェまで運べたらとりあえず1回やってやるよ」


雅紀は電話を切ると先程

美乃里と行ったカフェに向かう


「ピコンッ」

雅紀 「美乃里ちゃん、今日はありがとうね

帰りは大丈夫だった?無事に帰りついた?

また近いうちご飯行こうね」


美乃里は雅紀からの連絡に直ぐに返信した

美乃里 「こちらこそありがとう

無事に着いたよ!またご飯行こうね」


RRRRRR 着信画面には涼介の名前


美乃里「はぁー」

美乃里はため息をつく

美乃里 「はい」

涼介 「美乃里、大丈夫か?」

美乃里 「はぁ?何が?」

涼介 「襲われてないか?」

美乃里 「はぁー、止めてよねー」

涼介 「本当に心配で…今どこだ?」

美乃里 「 家に帰ってきましたー何事もなくね

気にかけて頂きありがとうございます〜

それじゃぁ寝るので失礼します〜」

涼介 「なぁなぁ、今日どこ行った?」

美乃里 「あのねーあんたなに?あたしの保護者ですか?」

涼介 「いや、なんか後から思い返したら

あいつ見た事ある気がして…

ちょっと気になっちゃって」

美乃里 「見たことあるって今日 見たんでしょ」

涼介 「いや、それはそうなんだけど」

美乃里 「もうほんと止めてよねー迷惑よ!迷惑!」

涼介 「本当ごめんな、

いつもは気にならないはずなんだけど

なんか気になって…

まあ、何事もなく帰ってこれたなら良かった

ちなみになんだけど…カフェとか行ってないよな?」

美乃里 「あのねー何であんたにそんな詳細報告すんのよ」

涼介 「ごめん、ごめん…

じゃぁ、またな おやすみ」


美乃里 「はぁーなんなのよ、元彼のくせに」



涼介…ごめんね、

この時 私は涼介の話しを聞くべきだったんだよね

何が本当で、何が嘘なのか分からないこの現実で

私はちょっと自分を過信し過ぎていた

私はこの世界を知った気でいた

誰よりもどん底を味わって、誰よりも自分が正しいと

人の苦しみも憎しみも手に取るように分かる

私ならどん底から誰だって救える

そんな気がしてた…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ