29.愛のカタチ
節子 「美乃里ちゃん、少し飲まない?」
優しく微笑む節子
美乃里 「お言葉に甘えて…」
濡れた髪を拭きながらお風呂から出てきた美乃里は節子に渡された缶ビールを空ける
美乃里 「いただきます」
節子 「はぁーっ美味しい
今日が素敵な1日過ぎてお酒がとても美味しいわ」
美乃里 「私もとても美味しいです」
2人は微笑み合い、椅子に腰掛けた
節子 「美乃里ちゃん、私の話し聞いてくれるかしら?」
美乃里 「もちろんです」
美乃里はピンッと背筋を伸ばし節子の話しを聞く
節子 「昔ね、結婚を考えてた彼がいたの
その彼は仕事が忙しい方で週に1.2回しかいつも会えなくて…
私はいつも彼に会いたかった
普通のカップルみたいにデートも沢山したかったんだけど会うのはいつも夜中や、日中に会えても外に出掛けるのは嫌がってね、そんな交際が3年くらい続いて…
その彼との間に子どもが出来てね、私は嬉しくて
すぐに報告したわ
子どもが出来たから結婚出来るんだって1人で舞い上がっていたの…今思えば不思議な交際だった…
好き過ぎて、何も見えてなかったわ
妊娠が分かって直ぐに報告したの…そしたら彼がね
俺の子じゃないだろって言い張るの
こんなに貴方を好きでこんなにいつも想っているのに…って悲しかったわ、あの時は…
それで少し言い合いになったの、そしたら彼ね私のお腹を殴ってきたの…私は怖くて、理由が分からなくてその場から動けなかったわ…
その日、彼はそのまま帰ってしまってね
次の日の夜にまた会いに来て、バカな私は浮かれてた
昨日はごめんな、なんて言うもんだから…
その日、彼と身体を重ねてたら急に頭がクラクラしだして…私は眠ってしまったの
多分、睡眠薬を飲まされてしまって
起きたらお腹が凄く痛くて…お腹は…痣だらけだったわ
テーブルの上には置き手紙と封筒が置いてあって
“僕には大事な妻子がいます
君とは一緒になれない
もう会わないし、僕の事も忘れてくれ
僕の大事な家族を壊したら許さない”
って書かれていて、封筒には50万円入っていたわ
慰謝料のつもりだったのかしらね…
もう、驚きすぎて言葉も出なかったわ…妻子持ちだとも知らずに3年もいたなんてね…
ただ、ただ…どん底の縁に立たされて…
その日の記憶はあまりないけど、お腹の痛みと出血があって
怖くなって病院に行ったら赤ちゃんは…
いなくなっていたの…悲しくて悲しくて何度もお腹を撫でながら謝ったわ
産婦人科の人は何となく気付いていて
被害届だす?って聞かれたけど私は出さなかったの
もう、どうにでもなれって思ってた
その日は産婦人科で治療を受けて次の日には退院して自宅に戻ったの
その時の事は凄く覚えていて…
自宅の外に引越しのトラックが止まってて
私の隣の部屋に男性が引っ越してきたの
まあ、ワンルームマンションで独り身の人達ばかりだから引越しの挨拶なんてする人もいなくて…
なのに彼は丁寧にご挨拶の品を持って私のところに来て
隣りに越してきた柏木裕也です
宜しくお願いします
ってキラキラした顔で野球少年みたいで
それにフルネームで自己紹介してきたから思わず笑っちゃったわ」
その時のことを思い浮かべクスクスと笑う節子
美乃里 「かしわぎって…もしかして」
驚いた表情を見せる美乃里
節子 「そう、今の主人との出会いよ」
ニッコリ嬉しそうに笑みを浮かべる
美乃里 「凄い出会いですね」
節子 「そうね、後々考えるとその時、主人に会えてなかったら私は生きて無かったかもしれないわ…
あの人ね、引越しの挨拶をして1時間後くらいに息をきらせながら訪ねてきて
手には大きな袋と、これって差し出した手には大きい保冷剤があってね…もう私の頭の中は、はてなマークでいっぱいだったわ
会ったばかりなのにすみません、目が腫れてる気がして…これで冷やしてください
あと、顔色が悪そうだったので良ければこれ
って持っていた袋を押し付けて、では失礼しますって早々に帰って行って…本当、面白い人だわって
袋には風邪薬やゼリー、お菓子やレトルト食品も入っていて…
美味しく頂いた後に、お礼のお手紙と1万円を入れて渡しに行ったら、しばらくしてまたドタバタと訪ねてきて
受け取れませんってお金だけ返しにきたの
僕が勝手にした事なので気にしないでくださいって
それから彼は毎日チャイムを鳴らしては私の体調を伺ってきてね…
普通怖いじゃない?男性が毎日…って
それがあの人、なんか真面目なのが見え見えで真っ直ぐ過ぎて恐怖は全くなかったのよね…
インターホンを鳴らして来て返事をするじゃない?
そしたら、隣りの柏木ですこのままでいいですって言って体調どうですか?って聞いてくるの
インターホン越しで会話するのよ?面白いでしょ?」
うふふと笑う節子は少女のような顔つきだった
美乃里 「素敵ですね」
美乃里も微笑む
節子 「彼のおかげかしらね、いつの間にか彼が自宅を訪ねてきてくれるのを待ってる自分がいたわ
そんな時、彼が3日くらい訪れなくてね…
気になってしょうがなかった私は自分から訪ねてみたの
そしたらフラフラで高熱の彼が出てきて
びっくりしちゃって直ぐに看病しなきゃと思って
彼の部屋に入ってご飯作ったり掃除したり
看病したの…それなのに彼はベッドに入って布団を頭まで被って早く帰って下さいって、風邪移しちゃったら大変なんでって…本当に真面目な人よね…
そんなところに惹かれたのかな…気付いた頃には好きになっていたわ…半年くらい経って告白されて
一目惚れでしたって…今にも消えてしまいそうな君を守りたかったって…だけどあの時の事は話せなかったわ
それから2年くらいお付き合いしてプロポーズされたの
結婚もして、子どもも出来て…幸せな家庭を…って思い描いていたわ
でもね、3年経っても子どもには恵まれなかったの
今は当たり前になってきたけど昔は不妊治療って…
中々勇気が出せなくて…2人で何度も話し合ったわ
そして私は自分を責めたの…あの時のことが原因だったらどうしよう…って主人の子どもを産めない私なんて…って
私は離婚の決意を固めて主人に言ったの
主人は離婚はしない、って承諾して貰えなかった
お前に子どもが出来なくても愛してるのは変わらない
子どもが出来なきゃ結婚したらいけないのかって
怒っちゃってね…
だけどあの時の事が原因だとしたら私は一生自分を責め続けてしまうから…私のせいでごめんなさいって何度も思ってしまって
他に離婚したい理由でもあるのか?ってあの人に聞かれてね…言えなかったけど…このまま自分のせいと思うのも疲れちゃって、いっその事あの時のことを打ち明けて嫌われた方が楽なんじゃないかって思って
実はあの日…って前の彼の事を話したの
でもすぐにあなたに会えて、あなたがいたから救われたのって
そしたらあの人…まだ救えてないじゃないか、守れてないじゃないか俺は…って泣いたわ
今もお前はあの時の自分を責めてるんだろ?自分のせいでって…お前が自分を責めてるなら
俺はお前をちゃんと救えてない証拠だろ?って初めて泣いたのを見たの、今までもあの人が泣いた姿を見たのはその1度きり…
節子の過去も節子の今も救えないで苦しめてるのは俺じゃないか…ってわんわん泣いて…
ああ、私間違っていたわ、子どもがいる幸せな家庭が人生のゴールであって、正しい幸せの証だと勝手に思い込んでいたんだってあの人の涙を見て初めて気付いたの
この人となら一生二人で歩んで行けるって思ったのよ」
節子は照れくさくも涙ぐみながら笑う
美乃里の瞳も節子と同じように潤んでいた
節子 「それが…歳を重ねるうちに
愛のカタチが変わってしまっていったのね…
私は主人の為に尽くして主人の愛もしっかり感じて幸せだったのに、主人には私の愛が伝わっていなかった…よりも伝えてなかったし、主人の愛に甘えていたのよね
きっかけは些細な事だったわ…私がパートで足を捻って怪我をした時に主人は仕事だと思って
社員の男の人に自宅まで送って貰ったの
そしたらその日、主人は少し体調が悪くて早く帰ってたのよ
私が介抱されて帰っきたものだから…どうゆう事だってなって直ぐに説明したんだけどね
怒ってしまって…少し言い合いになっちゃって
私、そんなに信用出来ないなら離婚したらいいじゃないって私もカッとなって言ってしまったの
その瞬間、殴られてね…頭が真っ白になったわ
だけど私も言っちゃいけない事だったなって凄く反省したの…だけど遅かったわ
その日をきっかけに主人は不安になると手を出すようになってね…日に日に外に出るのも億劫になって
いつも悩んでいたわ
そんな時に私の痣を見てパート先の若い女の子に
SNSを教えてもらって…美乃里ちゃん、貴方を見つけたのよ…投稿画像から近くなのかな…とは思ってね
本当は直接会いたいなんて言いたかったけど
急に怖いわよね、ふふふ
ああ、この子素敵な子だなぁっていつも見ていたわ
そんな日が続いて遂に私も疲れちゃって
不思議と美乃里さんだったらなんて言ってくれるのかなって思ってダメ元で相談してみたの…
恥ずかしい事に
美乃里ちゃんに言われるまで気付かなかったわ
返信が来た時には…目の前でぐったりと倒れる主人を見て一気に今までのことが溢れ出してきて
私はこの人を愛してるからずっと一緒にいたの
この感情は情なんかじゃないわ
この人は私をどん底から救ってくれた人で
私の愛してる人なのに…私ったらなにしてるのよ…って」
節子は天井を見ながら静かに涙を流す
あの日のことを思い出すかのように…
美乃里 「節子さん…」
節子 「ふぅ…」
深く深呼吸をする節子
節子 「美乃里ちゃん、あなたの言う通り
主節子 「彼のおかげかしらね、いつの間にか彼が自宅を訪ねてきてくれるのを待ってる自分がいたわ
そんな時、彼が3日くらい訪れなくてね…
気になってしょうがなかった私は自分から訪ねてみたの
そしたらフラフラで高熱の彼が出てきて
びっくりしちゃって直ぐに看病しなきゃと思って
彼の部屋に入ってご飯作ったり掃除したり
看病したの…それなのに彼はベッドに入って布団を頭まで被って早く帰って下さいって、風邪移しちゃったら大変なんでって…本当に真面目な人よね…
そんなところに惹かれたのかな…気付いた頃には好きになっていたわ…半年くらい経って告白されて
一目惚れでしたって…今にも消えてしまいそうな君を守りたかったって…だけどあの時の事は話せなかったわ
それから2年くらいお付き合いしてプロポーズされたの
結婚もして、子どもも出来て…幸せな家庭を…って思い描いていたわ
でもね、3年経っても子どもには恵まれなかったの
今は当たり前になってきたけど昔は不妊治療って…
中々勇気が出せなくて…2人で何度も話し合ったわ
そして私は自分を責めたの…あの時のことが原因だったらどうしよう…って主人の子どもを産めない私なんて…って
私は離婚の決意を固めて主人に言ったの
主人は離婚はしない、って承諾して貰えなかった
お前に子どもが出来なくても愛してるのは変わらない
子どもが出来なきゃ結婚したらいけないのかって
怒っちゃってね…
だけどあの時の事が原因だとしたら私は一生自分を責め続けてしまうから…私のせいでごめんなさいって何度も思ってしまって
他に離婚したい理由でもあるのか?ってあの人に聞かれてね…言えなかったけど…このまま自分のせいと思うのも疲れちゃって、いっその事あの時のことを打ち明けて嫌われた方が楽なんじゃないかって思って
実はあの日…って前の彼の事を話したの
でもすぐにあなたに会えて、あなたがいたから救われたのって
そしたらあの人…まだ救えてないじゃないか、守れてないじゃないか俺は…って泣いたわ
今もお前はあの時の自分を責めてるんだろ?自分のせいでって…お前が自分を責めてるなら
俺はお前をちゃんと救えてない証拠だろ?って初めて泣いたのを見たの、今までもあの人が泣いた姿を見たのはその1度きり…
節子の過去も節子の今も救えないで苦しめてるのは俺じゃないか…ってわんわん泣いて…
ああ、私間違っていたわ、子どもがいる幸せな家庭が人生のゴールであって、正しい幸せの証だと勝手に思い込んでいたんだってあの人の涙を見て初めて気付いたの
この人となら一生二人で歩んで行けるって思ったのよ」
節子は照れくさくも涙ぐみながら笑う
美乃里の瞳も節子と同じように潤んでいた
節子 「それが…歳を重ねるうちに
愛のカタチが変わってしまっていったのね…
私は主人の為に尽くして主人の愛もしっかり感じて幸せだったのに、主人には私の愛が伝わっていなかった…よりも伝えてなかったし、主人の愛に甘えていたのよね
きっかけは些細な事だったわ…私がパートで足を捻って怪我をした時に主人は仕事だと思って
社員の男の人に自宅まで送って貰ったの
そしたらその日、主人は少し体調が悪くて早く帰ってたのよ
私が介抱されて帰っきたものだから…どうゆう事だってなって直ぐに説明したんだけどね
怒ってしまって…少し言い合いになっちゃって
私、そんなに信用出来ないなら離婚したらいいじゃないって私もカッとなって言ってしまったの
その瞬間、殴られてね…頭が真っ白になったわ
だけど私も言っちゃいけない事だったなって凄く反省したの…だけど遅かったわ
その日をきっかけに主人は不安になると手を出すようになってね…日に日に外に出るのも億劫になって
いつも悩んでいたわ
そんな時に私の痣を見てパート先の若い女の子に
SNSを教えてもらって…美乃里ちゃん、貴方を見つけたのよ…投稿画像から近くなのかな…とは思ってね
本当は直接会いたいなんて言いたかったけど
急に怖いわよね、ふふふ
ああ、この子素敵な子だなぁっていつも見ていたわ
そんな日が続いて遂に私も疲れちゃって
不思議と美乃里さんだったらなんて言ってくれるのかなって思ってダメ元で相談してみたの…
恥ずかしい事に
美乃里ちゃんに言われるまで気付かなかったわ
返信が来た時には…目の前でぐったりと倒れる主人を見て一気に今までのことが溢れ出してきて
私はこの人を愛してるからずっと一緒にいたの
この感情は情なんかじゃないわ
この人は私をどん底から救ってくれた人で
私の愛してる人なのに…私ったらなにしてるのよ…って」
節子は天井を見ながら静かに涙を流す
あの日のことを思い出すかのように…
節子 「彼のおかげかしらね、いつの間にか彼が自宅を訪ねてきてくれるのを待ってる自分がいたわ
そんな時、彼が3日くらい訪れなくてね…
気になってしょうがなかった私は自分から訪ねてみたの
そしたらフラフラで高熱の彼が出てきて
びっくりしちゃって直ぐに看病しなきゃと思って
彼の部屋に入ってご飯作ったり掃除したり
看病したの…それなのに彼はベッドに入って布団を頭まで被って早く帰って下さいって、風邪移しちゃったら大変なんでって…本当に真面目な人よね…
そんなところに惹かれたのかな…気付いた頃には好きになっていたわ…半年くらい経って告白されて
一目惚れでしたって…今にも消えてしまいそうな君を守りたかったって…だけどあの時の事は話せなかったわ
それから2年くらいお付き合いしてプロポーズされたの
結婚もして、子どもも出来て…幸せな家庭を…って思い描いていたわ
でもね、3年経っても子どもには恵まれなかったの
今は当たり前になってきたけど昔は不妊治療って…
中々勇気が出せなくて…2人で何度も話し合ったわ
そして私は自分を責めたの…あの時のことが原因だったらどうしよう…って主人の子どもを産めない私なんて…って
私は離婚の決意を固めて主人に言ったの
主人は離婚はしない、って承諾して貰えなかった
お前に子どもが出来なくても愛してるのは変わらない
子どもが出来なきゃ結婚したらいけないのかって
怒っちゃってね…
だけどあの時の事が原因だとしたら私は一生自分を責め続けてしまうから…私のせいでごめんなさいって何度も思ってしまって
他に離婚したい理由でもあるのか?ってあの人に聞かれてね…言えなかったけど…このまま自分のせいと思うのも疲れちゃって、いっその事あの時のことを打ち明けて嫌われた方が楽なんじゃないかって思って
実はあの日…って前の彼の事を話したの
でもすぐにあなたに会えて、あなたがいたから救われたのって
そしたらあの人…まだ救えてないじゃないか、守れてないじゃないか俺は…って泣いたわ
今もお前はあの時の自分を責めてるんだろ?自分のせいでって…お前が自分を責めてるなら
俺はお前をちゃんと救えてない証拠だろ?って初めて泣いたのを見たの、今までもあの人が泣いた姿を見たのはその1度きり…
節子の過去も節子の今も救えないで苦しめてるのは俺じゃないか…ってわんわん泣いて…
ああ、私間違っていたわ、子どもがいる幸せな家庭が人生のゴールであって、正しい幸せの証だと勝手に思い込んでいたんだってあの人の涙を見て初めて気付いたの
この人となら一生二人で歩んで行けるって思ったのよ」
節子は照れくさくも涙ぐみながら笑う
美乃里の瞳も節子と同じように潤んでいた
節子 「それが…歳を重ねるうちに
愛のカタチが変わってしまっていったのね…
私は主人の為に尽くして主人の愛もしっかり感じて幸せだったのに、主人には私の愛が伝わっていなかった…よりも伝えてなかったし、主人の愛に甘えていたのよね
きっかけは些細な事だったわ…私がパートで足を捻って怪我をした時に主人は仕事だと思って
社員の男の人に自宅まで送って貰ったの
そしたらその日、主人は少し体調が悪くて早く帰ってたのよ
私が介抱されて帰っきたものだから…どうゆう事だってなって直ぐに説明したんだけどね
怒ってしまって…少し言い合いになっちゃって
私、そんなに信用出来ないなら離婚したらいいじゃないって私もカッとなって言ってしまったの
その瞬間、殴られてね…頭が真っ白になったわ
だけど私も言っちゃいけない事だったなって凄く反省したの…だけど遅かったわ
その日をきっかけに主人は不安になると手を出すようになってね…日に日に外に出るのも億劫になって
いつも悩んでいたわ
そんな時に私の痣を見てパート先の若い女の子に
SNSを教えてもらって…美乃里ちゃん、貴方を見つけたのよ…投稿画像から近くなのかな…とは思ってね
本当は直接会いたいなんて言いたかったけど
急に怖いわよね、ふふふ
ああ、この子素敵な子だなぁっていつも見ていたわ
そんな日が続いて遂に私も疲れちゃって
不思議と美乃里さんだったらなんて言ってくれるのかなって思ってダメ元で相談してみたの…
恥ずかしい事に
美乃里ちゃんに言われるまで気付かなかったわ
返信が来た時には…目の前でぐったりと倒れる主人を見て一気に今までのことが溢れ出してきて
私はこの人を愛してるからずっと一緒にいたの
この感情は情なんかじゃないわ
この人は私をどん底から救ってくれた人で
私の愛してる人なのに…私ったらなにしてるのよ…って」
節子は天井を見ながら静かに涙を流す
あの日のことを思い出すかのように…
美乃里 「節子さん…」
節子 「ふぅ…」
深く深呼吸をする節子
節子 「あの人は怖かったの私が離れていくのが…
だけどそんな思いをさせていたのも私だった
私の愛が伝わっていたら主人はなにも怖くないはずでしょ?
私はいっぱい愛されていっぱい救われて、守られてきた
色んな愛のカタチを学んだわ
今度は私がいっぱいの愛を主人に注ぎたい
そして救いたい守りたい、私たちの愛を…
こんな事を思える今がとっても幸せでね、
付き合いたての頃みたいに、今は主人に会いに行くのがいつも楽しみなのよ
こんな気持ちも、主人とのこれからの幸せな未来も全部美乃里ちゃんのおかげだわ
本当にありがとう」
節子は赤くなった瞳で微笑み、美乃里も同じように微笑み返す
美乃里 「素敵だなぁ…節子さん
恋する乙女ですね」
ふふふと笑う美乃里
節子 「過ぎた事だから…色んな事を乗り越えられたから素敵に見えるだけよ
私なんて美乃里ちゃんの歳の頃、そんなに立派じゃなかったわ…ふふふ
怖がらないで、気持ちのままで愛しなさい
好き…だけで止まっちゃだめよ
さらけ出してあなたの全てを愛してもらうのよ
きっとあの子は…美乃里ちゃんを救って守ってくれるわ
深い深いどん底だろうと貴方を必ず包み込んで愛してくれるわ…そんな愛のある子だと思うわ…
あなたに似てね
休みながら、たくさん悩みなさい…
自分を許して自分の気持ちに素直でいなさい…
あなたも恋する乙女よ?うふふ」
ニコッと美乃里を見つめる節子
節子 「苦しい過去を話すのは怖いわ
でも、美乃里ちゃんの過去を聞く相手はきっと私じゃないわね
それで嫌われたら私のところに直ぐに来なさい
またあの子をとことん困らせて悩ませてやるわ」
「ぷっ、ぷあはははっ」
2人は見つめ合い大笑いする
美乃里 「節子さん、最高です」
節子 「こんなに可愛くて良い子を傷付けたらただじゃすまないわよ」
節子はフンっと怒った表情で笑っていた
それを見て嬉しそうに笑う美乃里
節子 「大丈夫よ、美乃里ちゃん
さっ寝ましょうか」
節子は優しく美乃里の頭を撫でると立ち上がり
寝室の方へ行く
美乃里 「ありがとう…節子さん」
ニコッと笑い合う2人
節子 「朝ごはんも一緒に作ろうね、おやすみ」
節子は寝室の部屋へ入って行った
美乃里 「はぁい、おやすみなさい」
と返事をしてリビングに用意してもらったソファベッドに横になる
美乃里 「守さん…」
(いつも夜に送ってくれるメール、電話も出なくて心配掛けてるよね…本当は凄く嬉しい
守さんの事が知れて、今日はどんなご飯だったのかな、とか何を見て、どんな事をしたんだろうって…
守さん、今日は唐揚げだったんだね…ふふ
会いたいなぁ…
私も節子さんみたいに守さんを愛せるのかなぁ…
愛していいのかなぁ…
守さん、おやすみなさい)
守を想い眠りにつく美乃里