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2.不倫現場

私の名前は里美(さとみ)、26歳

結婚2年目のまだまだ新婚のはず

派遣もそろそろ終わって、

「妊活しよっか」

なんて話してたから仕事もそろそろ収め時かな


12月26日

里美 「てことで、残業続きも今日は定時に上がれたし、

あと少し頑張ったらお正月だあ〜」

(クリスマスはひろくんもあたしも残業でクリスマスっぽいこと出来なかったしケーキでも買って帰っちゃおかな)


店員 「いらっしゃいませ」

ひろくんの好きなショートケーキと私はモンブラン

久しぶりの定時終わりに里美の足取りは軽い


里美 「あ!」

(ひろくんに定時に終わったって連絡忘れちゃった

ひろくんもう帰ってるかなぁ〜)


「ガチャガチャッ」ドアを開ける

里美 「ただいま〜あれ?…お客さんかな?」

玄関には女性の靴がある

里美 「ひろくーん?いるのー?」

(寝室から楽しそうな笑い声?なんで寝室から?)


里美 「ふぅ〜」里美は息を深く吸う

(心臓が痛い、ドクドクする、大丈夫だよね

私達まだ結婚2年目で

仲はとても良いし、大丈夫、大丈夫

ただの会社の先輩?後輩?お友達?だよね…)

今にも口から出そうな心臓を抑えて


「ガチャ…」ドアを開ける


里美 「ッッ!」

胸が痛い、吐き気が止まらない…

何かが突き刺さるくらい苦しい

立ってるので精一杯で

声を振り絞って名前を呼ぶ…


里美 「ひろ…くん」


2人は下着姿で私からは2人の背中しか見えなくて

ベッドに座って 楽しそうに話してる

ドアを開けた私には気付かないくらい大きな笑い声だ

わたしが名前を呼ぶと

部屋は一気に凍りついて シーンとなる


ひろくんは青ざめた、焦った顔で振り返った

ひろくんと目が合った瞬間 涙が止まらなく溢れ出た

裏切られたショックと、ひろくんが昔から

「俺って化粧が濃い女性は苦手なんだよね〜」

なんて言っていたのにひろくんの隣には

濃い化粧で派手めな女性がいたから…


何もかもが違って見えた、私の知ってるひろくんじゃなくて

世界がグルグル回ってるのか、あたしの目が回ってるのか分からないくらい頭がクラクラする。


そんな私の思考が追いつかない片隅で

女性はワンピースを身にまとい、小洒落たカバンを肩にかけて


女性 「奥さん、私は誘われただけなので」

と言って出て行ってしまった

シーン

そんな効果音が頭の中では冷静に響いている


弘樹 「あのっ、里美…本当にごめん、少し魔が差して…

たまたま友達がマッチングアプリで可愛い子と遊べたって言うのを聞いて

俺でもできるのかな?なんて興味本位でやってみたら

すぐ会うことになって、最初は会ってお茶する程度だったんだけど

何回か会ってなんか、こんな展開になってしまって…

俺が悪いです

本当にごめんなさい」


ベッドの上で下着姿で土下座する

この気持ち悪い男を見ながら


(土下座するなら普通は床の上でしょ)


なんてことを冷静に思いながら

まくし立てるように早口で話すこの男と

この男か喋ると冷静になってきた私は

なんかよくある展開と決まり文句だなあ〜

なんてことを頭では考えてた

そして私の悲しみは冷静になった事で怒りに変わってきた


外は暗くなり始めてる、明かりのついていなかった

この寝室が真っ暗になってきた

持っていたケーキをベッドに置き

まだ頭をベッドに付けて土下座スタイルのこの男に


里美 「メリークリスマス」


とだけ伝えて家を出た


その足でホームセンターへ行き包丁を眺める

里美 「長い方がいいかな…」

そんな事を冷静に考えている自分にびっくりしたが

当然のことだよね、なんて思う自分もいた

小ぶりのものと長い包丁、2本買ってお店を出る

仕事帰りにも寄ったケーキ屋さんで

ショートケーキを買う

あの男が好きなショートケーキ

公園のベンチでショートケーキを眺めながら

(ひろくんは今頃このショートケーキ食べてるかな)

なんて考える

さとみは小ぶりの包丁を取り出し、

上からケーキに突き刺す

何度も何度もショートケーキに突き刺す


里美 「メリークリスマス…ひろくん…」


ボーッと色んなことを考えて時間はいつの間にか

5時間ほど過ぎていて時計はもうすぐ12時だ

包丁が刺さったケーキをそのまましまい、

自宅に向かう外から見る自宅は真っ暗だ

ドアを開けると靴はある

寝室を覗くと大の字で寝てる男を見て

込み上げるものは憎悪だけだった

扉を静かに閉め、リビングへ向かう

暗闇の中、パソコンでひたすら調べる


不倫 征伐

不倫 苦しめ方

不倫 殺し方


…そんなワードでいっぱいになる

どれも同じような事ばかり書いてあって笑えてくる

早まってはだめ

殺しても何も解決しない

不倫ごときで殺すなんてありえない

能天気な奴らが正義を振りかざして人を救った気になって盛り上がってる

当事者でも無いのに

そんな事を思いながら見ていると


「私はどん底から救われました。」


そんな文章が気になって見てみる…


(私は、ダメ彼氏から抜け出せず、いつも大好きで見ているインフルエンサーの方に相談してみました。

自分でもどうしたらいいか分からず

誰かのアドバイスが聞きたくて、

自分の今の状況を洗いざらいお話ししました。

不思議とこの人に話すとスッキリする自分もいて、

何かいい答えを頂けるんじゃないかと期待も膨らみ返信を待ちました。

その日に返信を頂き、私の立場に立って

考えてくれている事が心から伝わり嬉しくて

この人の言う通りだなって自分の中にスっと入ってきました。

それから私はダメ彼氏と別れることができ、

今は新しい素敵な彼氏もでき、とても幸せです。

今何かに悩んでいる方がいましたら

ぜひ相談してみはいかがですか?)


の文とともにSNSのURLが載っていた。

私は気になり、開いてみる。

(フォロワーも結構な数いるんだなぁ…

可愛くて綺麗な人だ。私と年齢も変わらなそう)

相談しても私の気持ちは変わらないけど

どんな答えが返ってくるのか気になって

ただただ質問してみるのではなく、

確実に返信がくる有料の質問コーナーから問い合わせてみた。

料金は1000円~か…みんなお金払ってでも聞きたいことってあるよな…

なんて思いながら早く返信が欲しくて

5000円払って相談をしてみた。


「夫の不倫が発覚しました。今すぐにでも殺してやりたいです。夫とその相手の女性を殺さなければ気がすみません。私は今、人生のどん底です。殺すのだって怖くありません。みのりさんならどうしますか?」


他人に私の今の気持ちなんて分かるはずも無いけど

こんなクソ野郎のことを話してみて

なんだかそれだけでも少しスッキリした気がした

時刻はもう5時、


里美 「はぁ…全然眠れてない…」

急な睡魔に襲われ机に突っ伏す


「里美、里美…」


誰かに肩を揺すられ、目が覚める。

外はまだ真っ暗だ。目の前の携帯を開きながら

起こしてきた誰かを確認し眉をひそめる

心配そうな顔は演技なのか罪悪感からきているものなのかは分からないが

寝起き1番に見たくもない顔だ。憎たらしい

携帯の時刻は5時30分

全然眠れてない。こっちの気も知らないで睡眠時間30分程で起こされてイライラが増してくる。


里美 「なに?」

弘樹 「あ、あの昨日の事なんだけど

あれから色々考えてて、

本当にさとみを裏切るような事してごめんなさい

俺はこれからもさとみと一緒にいたいです。」

と頭を下げてくる

(色々考えて?いやいやいや、普通に寝てたし

考えたって寝る前か朝起きてちょっと考えたくらいでしょ)

この人と話してるとイライラしかしてこない

里美 「はぁ…寝不足のせいかな〜」


さとみは呟きながら冷蔵庫へ向かい水を飲む


里美 「とりあえず昨日の人に連絡して今から来てもらえる?」


今にも殺してしまいたい衝動を抑えて

なるべく柔らかい物腰でお願いする


弘樹「分かった!い 、今から連絡してみる」


日をまたいでも私のこいつを殺してやりたいと言う

気持ちは少しも変わらなかった。

女をここに呼び、とりあえずひろくんから殺して

その後に女だなぁ…

なんてことをぼんやりした頭でぼんやりと考える。

15分くらいどちらも口を開かず時間が経つ

もうすぐで6時か…

「ピコン」携帯が鳴る


弘樹 「あの み、昨日の女の人なんだけど7時くらいに来れるって…」

里美 「分かった」

返事だけして私は脱衣場に向かいお風呂に入る

(笑える

今絶対あの女の名前言いかけたよね?

どうせ、みかとかみおとかそこら辺の名前でしょ

そしてさっきからどもりすぎ

なにあいつ本当気持ち悪い。絶対2人とも殺してやる)


さとみの中には憎悪しかなかった。

時刻はAM 7:05

「ピンポーン」

里美 「鍵空いてるのでどーぞー」

女はなんの悪びれもなく、自分の自宅のように

リビングへ入ってきた

女 「何の用ですか?夫婦の揉め事に巻き込まないでくださいよ、私も仕事があるので朝からこんなとこ呼ばれて本当に迷惑なんですけど」

里美 「お時間取らせませんので少し座ってお話し聞かせてください。」

今にも襲い掛かりたい気持ちを抑えてお茶をだす。


里美 「あの、お名前伺ってもいいですか?」

女 「みか」

(おお、ドンピシャ!さっきあの男が言いかけた名前)

里美 「どこでお知り合いになられたんですか?」

みか 「マッチングアプリ」

里美 「この家に来たのは今で何回目ですか?」

みか 「3回」

里美 「私の存在って最初からご存知でしたか?」

みか 「はぁ…

めんどくさいんだけど。何なのよ

この尋問みたいなの…

全部あんたの旦那に聞きなよ。

何で私にわざわざきくわけ?」


プッチーン

里美 「はぁ〜?

なんでお前がごちゃごちゃ言ってんの?

悪いのお前ら2人じゃないの?」

ずっと黙っていたクソ男も、

偉そうにふんぞり返っていた女も

固まってこっちを見ていた

私が何にも言わなそうな

弱々しい女に見えたのだろうか。


付け上がって本当にバカ2人

謝れば許されると思ってるバカ男と

私は悪くないわよと高嶺のバカ女


里美 「声を荒らげてしまいすみません

そうですよね、尋問みたいに聞いてしまいすみません

下までお送りしますね、

お仕事前にすみませんでした。」


私は準備していた包丁の入ったバックを取り

里美 「ひろくん、ついでに下のコンビニでコーヒーでも買いに行こ」

と誘い、私は玄関へ向かう

その後ろを女が、そしてひろくんの順で家から出る

マンションの下に着くとコンビニが近くにある


里美 「わざわざ朝からすみません、あの、コーヒーかお茶どっちがいいですか?来て頂いたお礼に買ってきます」

みか 「じゃ、コーヒーで」

さっきより物腰が柔らかくなってるみか

さとみの反応を伺っている


里美 「ひろくんのも買ってくるね!待ってて〜」

さとみは1人コンビニへ入って行く


里美 「ふぅ〜」


深く息を吐く

私は今から人を殺す、通勤ラッシュで人も多いけど人に見られて死ぬ、この2人への罰には相応しい

もっと謝罪の誠意を見せてくれたら私の気持ちも変わってたかもしれないのに…

不倫しといてあの女の態度、ほんと腹ただしい

コンビニを出て、まず女から刺し殺して…

その後にあのクソ男だな

そんな事を考えながらコーヒーを3つ持ち

レジに並ぶ…

きっとこのコーヒーを飲む人は1人もいないのに

人を殺すというのに私は至って冷静だ

どん底だし何しても怖くないって感じか…

このままあの男と生きていく方が地獄だ

袋に入った缶コーヒーを腕にぶら下げて肩に掛けたカバンの中に手を入れる

スタスタとまずは女の方へ足を進める


里美 「殺してやる…」

里美は小さな声で呟く

包丁を手に持ち、駆け足になる


「ピコン」

ぶら下がる携帯からパソコン転送メールの音がした

(ああ、相談したみのりさんが返信くれたのかなぁ)

そんな事を思ったけれど、もうどうでもいい

私の的は変わらず、足は女の方へ向かう

女を刺す瞬間、声と衝撃がした


弘樹 「里美ー!」


「ドンッ」


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