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24.失いたくない

美乃里 「はぁ…」

夜中、美乃里は頭痛で目が覚める


美乃里 「なんかフラフラする」

キッチンへ立ち水を飲み干す美乃里


冷静になると自分の体の火照りに気付く

ピピッ

美乃里 「うわぁー久しぶりだなぁ」

体温計は38.6℃と表示されていた


(もうすぐで3時か…とりあえずもう1回寝てみよう)

そうして横になるが頭痛と寒気で眠れない美乃里は

苦しそうに布団にくるまり、朝が来るのを待った

AM 6:00


《かれん、起きてる?電話欲しい》


AM 6:25

RRRRRRRRRRRR

電話が鳴る 相手はかれんだ

美乃里 「かれん?」

かれん 「おはよう、どうしたの?大丈夫?」

起きたばかりの様子のかれん

美乃里 「ごめん、熱が酷くて…私のデスクの書類の提出頼んでいいかな?

明日までのは終わらせてたから今日は休ませてもらう」

かれん 「分かった、帰りに寄るね

欲しいものある?」

美乃里 「ううん、移しちゃうと大変だから大丈夫だよ

かれん、ありがとう」

かれん 「え、待って本当に心配…

誰か来れる人いる?病院は?」

美乃里 「うん、大丈夫だから本当に

書類だけお願いね…寝たら治るから

朝早くから連絡ありがとう、じゃぁおやすみ」


かれん 「あ、待ってかれん

なんかあったらすぐに連絡してね、絶対だよ」

美乃里 「はいはい、ありがとう」


美乃里は電話を切ると会社へ休みの連絡をし、少し寝ることにした

だが1時間程ですぐに覚めてしまった

美乃里 「あー頭痛が酷い…」

ガンガンと痛む頭を抑え、体温を計る美乃里

体温計は39℃と表示された


美乃里 「これはヤバイ…」

美乃里は保険証を探し、ラフな格好に着替え

病院へ行く準備をする、時刻はAM8:05


美乃里 「はぁ…」

マスクをし、帽子をかぶる

かかりつけ医に電話をして家を出る美乃里

足取りはフラフラだ

ブーブーブー

マナーモードにしていた携帯が鳴る

画面には守さんと表示されている


美乃里 「今は出れないなぁ…」

美乃里は電話を無視してエレベーターに乗り込む

(あー守さんからメールきてたけど見てないな…

急用かな…とりあえず今は病院に先に行きたい

守さんすみません…)

美乃里はフラフラする頭で守のことを考えていた


美乃里 「あ、タクシーに電話するの忘れてた…」

(今から電話して先のコンビニまで来てもらおうかな…)

美乃里は1階へつき、エントランスを抜ける

タクシーの電話番号を調べながらフラフラな足取りで歩く


急に目の前に見覚えのある車が止まる

バタン

車から降りて来た男性は直ぐに美乃里だと気付いた


守 「美乃里さん」

美乃里 「守さ…ん?」

フラフラの美乃里は守の名前を呼んだ


守 「早く乗ってください」

肩を借りながら助手席に乗せられる美乃里


美乃里 「なんで守さんが?」

美乃里は少し荒い息遣いで話す

守 「何度も連絡したんですが美乃里さん連絡がつかなくて

これ、車に落ちていたみたいで…

社員証がないとお仕事大変かなと思いまして

仕事前に届けようと思って来ました

ってそんな事より今は病院が先ですね

診察券ありますか?」


美乃里はカバンから診察券を取り出す

美乃里 「ごめんなさい…守さん」

守 「大丈夫、すぐ着きますよ」

守は美乃里にブランケットを掛け、車を出発させた


病院に着くと守は受付をして、名前を呼ばれるまでずっと待っていた

美乃里 「守さん、ありがとうございます

もう大丈夫ですのでお仕事行ってください」

守 「生憎、今日は遅番でまだ出勤時間じゃないんです

自分がしんどい時くらい甘えるんですよ」

守は美乃里を優しく見つめる

美乃里 「すみません…」

美乃里は荒い息遣いで背もたれに身を預ける


診察が終わると守は車に美乃里を乗せた

守 「薬を貰ってくるので待っててください」

守は薬を貰いに薬局へ行き

美乃里は車で守を待っていたがいつの間にか寝てしまっていた


「はぁはぁはぁっ」

「やめて、やめて、お願いだからやめて」


ガバッと起き上がった美乃里


美乃里 「はぁはぁ…はぁはぁっ」

目の前はコンビニで、車は美乃里の自宅近くのコンビニに止まっていた

(私、寝ちゃったんだ…守さん…)

汗だくで荒い息遣いの美乃里

美乃里は隣りに目をやるが守の姿はない

美乃里 「コンビニの中かな…」


コンビニの入口付近に目をやると急いでコンビニから

出てくる守の姿が見えた運転席のドアを勢いよく開ける守

守 「美乃里さん、これ飲んで」

守は水やスポーツドリンクを大量に買ってきていた

美乃里 「あ、ありがとう」

守 「美乃里さん少しうなされてたから…心配しました

お家に帰ってゆっくり休もう」

守は心配そうに美乃里を見つめていた

美乃里 「ご心配お掛けしました

守さん、ありがとう」

美乃里は熱の火照った顔で優しく微笑む


守 「……/////反則です

はい、行きますよ」

(あー可愛い、抱きしめたい…)

守は照れたように自分の顔を隠し、美乃里に見られないように美乃里の被っていた帽子を少し下げる

美乃里はなんの事か分からずされるがままだった


守は美乃里の自宅まで車を走らせた

守 「駐車場ありますか?」

美乃里 「ありますけど…」

守 「荷物、運びますね」

美乃里 「熱も下がってきて朝よりは少し楽になったので大丈夫です家の前でいいで」

守 「ダメです」

守は被せ気味に美乃里の言葉を遮った

美乃里 「…はい

すみません、お願いします…」


守は車を駐車場に停め、荷物を持ちマンションに入る

美乃里は部屋の鍵を開け玄関に入る

美乃里 「本当に朝からすみません、病院も守さんが付いてきてくれて本当に助かりました

あの、これ…飲み物や食べ物ありがとうございます」

美乃里はお金を差し出す


守 「僕がしたくてした事は有難く受け取ってください」

美乃里 「でも、」

守 「本当は1日看病したいくらいなのを我慢してるんでこれくらいさせてください」

美乃里 「分かり…ました…ありがとうございます…」


守 「とりあえずこれ、部屋まで運んでもいいかな?」

守は持っていた袋を持ち上げる

美乃里 「あ、すみません持たせていて…どうぞ」

守 「お邪魔しまーす」

美乃里 「テーブルの上で大丈夫です」

守 「はーい、美乃里ちゃん何か食べれる?」

守は買ってきた袋をガソゴソとあさりながら声を掛ける


(急にちゃん呼び?)

美乃里 「あ、えーっと…お腹は空いてきました」

美乃里は急な守の呼び方に驚きつつも照れていた

守 「キッチン借りて作っちゃってもいい?

うどんとかなら食べれる?」

美乃里 「えー、そんないいです守さん

お仕事前に…私のせいで午前のお休みが…」

守 「さっきも言ったでしょ?

僕がしたくてしてるんですよ」


美乃里 「はぃ…じゃぁお願いします」

守 「よし、美乃里ちゃんはゆっくり休んでてね」

守は美乃里の頭をポンと撫でるとキッチンへ行き手際よく料理をする

守 「美乃里ちゃん嫌いな食べ物ない?」

美乃里 「ないです」

守 「了解、俺も一緒に食べちゃっていい?」

美乃里 「あ、はい…///」

(守さんのたまに出る男っぽさなにー?

え?無意識?どれが本当の守さんなの?)


守 「ありがとう、待っててね」


美乃里は守のことをボーッと考えていた

(かっこいい…な…

なんで私なんかにこんなに優しくするんだろ…

やっぱり涼介のこと可哀想って思ってるのかな…

守さんって紳士な警察官の時とプライベートの感じ少しギャップあるよな…

素が出てるって事なのかな…

作ってる感じはしないし…とにかく良い人には変わりないんだけど…

友達?でいいんだよね?友達の距離感ってどんなの?

えーわかんない!だって守さんが私の家にいるって事にドキドキしちゃうし…

え、でも守さんは普通ってことは友達だから別に女の子の部屋だろうが気にしないって感じ?

えーもう分かんない

よめない、守さんがよめない…って熱でちゃんと考えられない…はぁ…いい匂い…)


守 「お待たせ」

守は美乃里の目の前に出来たうどんを置く

美乃里 「美味しそう…守さん料理上手ですね」

守 「上手ではないけど好きなだけ」

美乃里 「ありがとうございます、いただきます」

美乃里はうどんを啜る

美乃里 「ん、おいしっ」

(優しい味…守さんみたいに…って…はぁ)

目の前の守は黙々と食べている

守 「ん?」

美乃里の目線に気付く守

美乃里 「こんな美味しいご飯をありがとうございます」

美乃里は優しく微笑む

守 「この程度なら何時でも作りに来るよ」

と守もまた優しく微笑み返した


守 「食べて、薬飲んで少し寝たらすぐよくなる」

美乃里 「そうですね、守さんのおかげです」

んふふ と笑顔の美乃里


美乃里 「ご馳走様でした、とっても美味しかったです

ありがとうございます」

守 「はーい、俺後片付けだけしてから帰るから美乃里ちゃんはもう薬飲んで寝てな

家出る時、鍵かけてポストに入れといていい?」

美乃里 「そんな事までさせれないです

洗い物とか置いててください私やれるんで」

守 「…」

守は美乃里の言葉を無視してテキパキと後片付けをしていく

美乃里 「守さん?」

美乃里は守の横まで行き声を掛ける

守 「ん?」

美乃里 「あの、後片付け…///」

美乃里が話すと守は美乃里の額に手をあてる

守 「ん、まだ熱あるね

寝ましょうね〜これで治らなかったら明日も看病しに来ますよ〜」

守は意地悪な顔で美乃里を覗き込む

美乃里 「はい…」

美乃里は意地悪な守にキュンとしつつ優しさに甘えてベッドに横になった

布団を被るとキッチンにいる守の気配に心地よくなる美乃里

(なんか凄く安心するなぁ…)

直ぐに眠りについた美乃里


..


守 「よし、終わり〜」

後片付けを終えた守はリビング横のベッドで寝る美乃里の近くへ行く

(ふふっ、ぐっすり寝てる…)

守 「可愛いなぁ…」

(…っっ!今声に出ちゃったよな?やべぇ)


時刻は11時を少し過ぎていた

(あー仕事行きたくないなぁ…このまま一緒にいたい)

守は美乃里の手を優しく握りしめる

(俺が守りたい、この子を…)

守は12時頃まで美乃里の横で手を優しく握っていた


守 「はぁ…」

(そろそろ行くか)


握っていた手を離し、静かに身支度を整えて


“美乃里さん、おはよう

ゆっくり休めましたか?

お粥を少し作っておきました

良かったら食べてください

また、連絡します 守”


置き手紙をテーブルに置き、美乃里の家を出て行く守


ガチャン


美乃里 「ん…」

扉の音で少し目が覚める美乃里

(守さんかな?今何時だろ…凄く心地よく眠れた…

久しぶりだなぁ…夢…見てない…

手…暖かい…)

そんな事を頭で考えながら美乃里はまた眠りについていた


次に目が覚めたのは15時頃だった

美乃里 「はぁ…夢…見たけど…嫌じゃない…」

美乃里はいつもとは違う目覚めに戸惑いながらも

キッチンへ立ち、水を飲む

美乃里 「風邪だから…かな…ん?」


テーブルの置き手紙に気付く

美乃里 「守…さん、優しいなぁ…」

美乃里は手紙を見ながら優しく微笑んでいた


RRRRRR電話が鳴る

美乃里 「はーい」

かれん 「美乃里?体調はどうなの?」

美乃里 「うん、凄く良くなったよ」

かれん 「はぁ…良かった」

美乃里 「かれん、ありがとう」

かれん 「今日もうすぐで上がれるから終わったら美乃里ん家行ってもいい?」

美乃里 「良いけど…風邪が移っちゃ」

かれん 「いいの、大丈夫」

美乃里 「分かった…心配かけてごめんね」

かれん 「また連絡するね」

美乃里 「うん」


かれんとの電話を終えると美乃里は椅子に腰掛けて

ぼーっと今日の事を考えていた

(守さんが来てくれてなかったら…

昨日、車に社員証を落とさなかったら…

偶然って凄いなぁ

私はいつも誰かに助けられてばかりだよな…)


色んな事を考えていたら時刻はPM16:42

美乃里 「ぼーっとし過ぎちゃったな…」


ピコン

《もうすぐでつくよ》

ちょうどかれんからの連絡もきた


(とりあえずマスク付けて、換気して…っと

熱は…もうないね…)


ピンポーン

美乃里 「はーい開けるね、玄関も開いてるよ」

かれん 「ありがとう」

少しするとかれんが玄関のドアを開けた

ガチャ

かれん 「みのー大丈夫?なんか食べれそう?」

心配そうなかれんが家の中へ入ってくる

美乃里 「うん、もう熱もないし本当に平気だよ

かれん、ありがとうって…

もうっ…こんなに沢山買ってきて…」

美乃里はかれんにお金を手渡す

かれん 「いらないでーす私も一緒に食べたくて色々買ってきたの、だから気にしないで」

美乃里 「もうっ…本当、ありがとう」

かれん 「そう、それでよろしい」

2人は目を細めてあははっと笑い合う


かれん 「病院行けた?」

美乃里 「うん…」

美乃里は少し迷ったが守の事をかれんには話しておこうと思った

美乃里 「実はね…」

美乃里は涼介の死から始まった守との今までの事をかれんに話した

2人でかれんの買ってきたデザートを食べながら

かれんは相槌をうちながら静かに聞いていた

そして今日の事を話終えると


美乃里 「って…まぁざっとこんな感じかな…」

かれん 「ふんふん、あの守さんがね…

いや、かなりいいね…それはかなりいい…」

かれんはおじさんみたいにブツブツと頷いていた

美乃里 「だけど…涼介の事もあったし

守さんに甘えるのは違うのかな…ってそもそも友達?って守さんは思ってるかもしれないし…」

かれん 「あのねー男女の友達なんて簡単に成立しないからそんなのは昔からの腐れ縁だけ

てゆうかね、涼介くんの事は色々思うところはあるかもしれないけど

付き合ってた訳じゃないし、あくまで元彼で

好きだった。てのは事実だけど

恋愛感情じゃなくて大事な人って感覚でしょ?

涼介くんが亡くなったからって美乃里が恋愛しないのはおかしいし、それとこれとは話が別

守さんだって美乃里の事好きって思ってなきゃそんな事出来ないし、看病したいとも思わないでしょ

仮に美乃里が可哀想だとしても、可哀想だけでここまでする?

美乃里が気を遣わせてるんだよ

美乃里には甘えが足りないの

いつもいつも、こんなに仲良しの私にすら甘えないんだからもっと頼りなさい、もっと甘えなさい

もぅっ…」

かれんは少し怒りながらも美乃里に思いを伝える


美乃里 「かれん…」

かれん 「私は友達だから美乃里の入って欲しくないラインとかさ、何となく分かるし私だってそれはある

みんな踏み込んで欲しくないところってあるじゃん?

だけど男女の関係ってやっぱり相手の事全部知りたいし、嫌なことも良いことも一緒に分かち合いたいじゃん?

まぁ、少なくとも私はそう

そう思えないのは多分本気じゃないからか

自分が本気になるのが怖いからストップをかけているか…なんじゃない?

美乃里はもっとさらけ出していいんだよ…

私もたまに寂しいもん

美乃里が遠くに感じて」

かれんは少し寂しそうに美乃里を見つめる


美乃里 「ごめんね、私そんな思いさせてるなんて知らなくて…

本当は誰かを自分のせいで失うのが怖い…

だから友達も恋人も程よい距離がいい…

私が誰かの人生を壊すような事はしたくない」


かれん 「失いたくないか…優しいね美乃里は

失ったものも、失った人も確かに返ってはこないかもしれないけど

みんな大事な人は失いたくないと思ってる

美乃里は失った事があるからその想いが強いんだよね…

だけどさ、起きてしまった事はしょうがないの

起きてしまった事に目を向け過ぎてるんだよ

美乃里のせいじゃない

美乃里を責めてるのは美乃里だけだよ」

美乃里は涙が溢れていた

知らず知らずに流れる美乃里の涙をかれんは優しくハンカチでふく


かれん 「何がここまで美乃里を苦しめてるのか知らないけどさ…大丈夫だよ美乃里

守さんも私もいなくなったりしないから

もっともっとさらけ出して甘えてよ…ね?」


美乃里 「ん…っっ」


美乃里は静かに泣いていた


かれん 「よーしっ、守さんの手作りお粥を頂こうか」

ニコッと笑うかれん

2人は入社式でのことや、上司のこと、美味しいカフェのこと他愛もない話しを沢山した


美乃里は考えていた、過去のこと…

そして今とこれからのことも


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