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15.動き出した救いの手

雅紀 「やっぱり美乃里は俺のだ」

雅紀は美乃里を力強く抱きしめる

美乃里 「雅紀くん…」

(雅紀くんが背負ってるものは大きいのかもしれない…

でも…だからって…誰かを巻き込むのは違うでしょ

私は…私だってたくさん…)


雅紀 「美乃里…」

美乃里 「ん?」

雅紀 「俺は美乃里が欲しい…」

美乃里 「私も」

照れながら雅紀を見る美乃里


雅紀は美乃里の返事に優しく微笑むと美乃里に優しくキスをする


美乃里 「ちょっと待って!」

雅紀 「ん?恥ずかしい?」

美乃里 「ち、違うけど…ここじゃ嫌…かな」

雅紀 「分かったよ

じゃぁ、一緒にこれを運んでからそのままホテル行こ」

美乃里 「うん、分かった。ありがとう」

美乃里は優しく微笑む


雅紀 「じゃぁ今から裏に車持ってきてもらうね」

美乃里 「うん」


雅紀は電話を掛ける

雅紀 「チッ、出ねぇな…

運転手が出ないから代わり探してくる」

美乃里 「すぐ戻ってくる?」

美乃里は寂しそうに雅紀を見る

雅紀 「ああ、すぐ戻るよ」

雅紀は美乃里の頭をポンと撫で、ドアへ向かう

美乃里 「やっぱり!」

美乃里は雅紀を追いかけ手を掴む

雅紀 「どうした?」

美乃里 「待ってるの寂しいから一緒行く…」

雅紀 「大丈夫だ。すぐ戻るから待っててな」

雅紀は優しく微笑み出て行った


雅紀は美乃里に落ちていた

そして美乃里も同じように自分を求めてくれていると


しかし、美乃里は違った…この時を待っていた

美乃里は雅紀に落ちたフリをしていた

美乃里はドアに耳をつけ、雅紀の足音が遠ざかるのを確認した

急いで鞄から携帯を取り出し、連絡した


助けて

奥に個室がある華の部屋

その奥に隠し扉の葉の部屋

仲間は金髪のホールにいる女性と

黒髪短髪の男左手首に英字の刺青で目の下にほくろ

絶対に警察呼んであんた1人はダメ

電話も返信も絶対しないで


美乃里はメールを打つと履歴を消し、急いで鞄に閉まった

ガチャ…


洋平 「あれ?雅紀は?」

美乃里 「なんか、運転手を探しにとか…」

雅紀 「おい、電話出ろよ」

戻ってきた雅紀が後ろから洋平に声を掛ける

洋平 「ごめん、事務所に置きっぱなしだわ」

雅紀 「美乃里連れて運んでから今日は戻らねぇわ」

洋平 「お前、一緒に行くのか?」

雅紀 「違ぇよ近くで待っとくから大丈夫だろ」

洋平 「録音は?」

雅紀 「してねぇ」

洋平 「何でたよ、約束だろ?」

雅紀 「こいつは他とは違う」

洋平 「違うってなんだよ?落としたつもりがお前が落とされたか?」

洋平の口調はどんどん荒く、声は低くなる


雅紀 「洋平、落ち着けって」

洋平 「親父が落ちなかったからか?

弱気になってんのか?それともお前がクソジジイに落ちてんのか?」

雅紀 「洋平」

雅紀の顔色が変わる

洋平 「そうだ、そうだ〜その顔だよお前〜」

洋平は嬉しそうに雅紀の肩を叩く


(狂ってる…この人達…

早く早くお願い早く…涼介お願い)

美乃里は震える手をバレないように必死に隠す


洋平 「この女、俺は反対だ

バカな女じゃねぇ」

雅紀 「でも落ちたろ?」

洋平 「お前がいない間何してたか分かんねぇだろ

警察でも呼ばれたらどうすんだ?

お前甘いんだよ」

雅紀 「大丈夫だって、2.3分で戻ってきたんだから」

洋平 「おい、携帯見せろ」

美乃里 「携帯ですか?」

鞄をゴソゴソと探る美乃里

雅紀 「こんな短時間で連絡出来ねぇだろ」

美乃里 「はい、どうぞ」

洋平はぶっきらぼうに美乃里から携帯を奪い取る

雅紀 「美乃里、ごめんな?後で埋め合わせするからな」

洋平 「ねぇな…」

洋平は美乃里に携帯を手渡しソファにドカッと座る


雅紀 「ほらな、美乃里は俺が選んだ大事な女なの」

洋平 「チッ

運ぶ前に1本打たせてくれ」

雅紀 「お前、今日は打ったんじゃねぇのか?」

洋平 「イライラしてんだよ、さっきの奴が失敗した」

雅紀 「おい、マジかよ」

洋平 「職質受けて、そのまま」

雅紀 「言わねぇよな?」

洋平 「よっぽど大丈夫だ」


雅紀 「はぁ〜」

雅紀もソファに座り込む


洋平 「それで?いつ出る?」

雅紀 「30分後に車回すって」


涼介 「後藤さん…俺もう無理っす」

健太 「何がだ?」

涼介 「待てないっす」

健太 「…」

涼介 「ねー健太さん!」

健太 「お前が健太って呼ぶとろくな事ねぇからやめろ

あのなー、簡単じゃねぇんだよこーゆうのは」

涼介 「美乃里探すだけっすよ」

健太 「お前薬使うやつの変貌ぶりを知らねぇだろ?」

涼介 「同じ人間じゃないっすか」

健太 「いや、違うね

1度スイッチ押したら止められねぇバケモンだ」

涼介 「はぁー、そもそもなんで後藤さん知ってるんすか?こんな事」

健太 「昔、良く遊んで貰ったおっさんとたまたま会って

話聞いた」

涼介 「じゃぁそのおっさんにどうやって接触出来るか聞いてくださいよ」

健太 「…あ、お前ビールもツマミももう無いじゃん

まだいるか?」

涼介 「話しそらさないでくだ…」


ピコン

テーブルにある涼介の携帯が鳴る


涼介 「…」

涼介は携帯を見るなり顔つきが強ばり、表情からは悔しさ、怒りが滲み出てる


涼介 「後藤さん、俺どうしたら…」

涼介は後藤にそっと携帯を差し出す

健太 「まずいな…」

涼介 「俺、とりあえず警察に連絡してきます」

健太 「待て」

涼介 「なんでですか!早くしないと美乃里が」

健太 「涼介、後ろだ」

涼介 「後ろ?」

涼介は後ろをチラッと確認する

健太 「警察だ」

涼介 「なんすか?分かるように言ってくださいよ」

健太 「お前の後ろに座ってる男2人組だよ

あれ刑事だ、前に現場で見た事がある

多分あいつらもこの事探りに来てるんだろ

俺の事も記者だって気付いてるはずだ」


健太は後ろの席を笑顔で除く


悟 「??」

悟も同じく笑顔で返す

守 「どうした?」

悟 「俺らのこと気付いてる」

守 「そうか」

健太 「こんばんは、ちょっとこっちの席いいっすか?

動きがありました」

守 「分かった」

守と悟はすぐに察し、

守は店員さんに声を掛け、仲良くなったと言い2人の席に移動した


健太は2人が座ると自分と涼介の名刺をテーブルに置いた

悟 「健太さんに、涼介さんですね」

健太 「まず、あの金髪野郎を探ってるので間違いないっすか?」

守 「そうだ」

健太は涼介の携帯をとり画面を2人に見せた

健太 「この子は美乃里って子でこいつの元彼女」

守 「分かった」

健太 「早くしないと時間が無いかもしれねぇ」

涼介 「俺もう待てねぇ」

涼介は立ち上がる

守 「待ってください、感ずかれます」

涼介 「じゃあどうすんだよ早く考えろよ」

守 「悟、智さんに連絡して応援頼む」

涼介 「もうここにお前ら警察がいるんだから助けに行けばいいだろ

手遅れになったらどうすんだよ」

守 「涼介さん、気持ちは分かります

ですが、逆に私たちが動くことによって通報を疑われるのは美乃里さんです

美乃里さんに逆上して危害が加わることも考えられます」

健太 「涼介、警察に任せとけ

薬は怖ぇぞ

あんたら刑事さん達はどうやってこの話しを?」

守 「詳しい事は言えないですが匿名の通報です」

健太 「俺と警察が一緒くらいにこの場所を探ってるって事は…間違いない。おっさんだな」

守 「健太さんが持ってる情報を伺ってもいいですか?」


健太 「今回は涼介の為だから特別だぞ

あの金髪の男は中根(なかね) 雅紀(まさき)

そしてもう1人はこの店のオーナー服部(はっとり) 洋平(ようへい)

美乃里ちゃんが言っていた刺青と目の下にホクロの男だ

この2人が大元で、従業員のほとんどがコマにされてる

らしい…そこは正確な情報ではないが…

後、あの金髪の女が見張りとリーダーで間違いなさそうだな

この3人以外はただのコマだな

後は…はなって言うキーワードは聞いていたが

部屋のことだったのか…華と葉…

どちらかにいるということだよな…

俺が知ってるのはそれだけだ」


RRRRRR

健太が話し終えた所で丁度、守の携帯が鳴る


守 「はい」

智樹 「突入の準備は出来てる」

守 「今聞いた情報を送りました」

外で智樹達は作戦を立てている

智樹 「とりあえずそのリーダーを先に引きつけるぞ

その後、悟と守とこちらの応援3名で部屋に入る

ただし、隠し扉の部屋にいるとしたら…

直ぐには突入出来ないかもしれない…

華の部屋に突入する時は

外の音を聞かれないように慎重に入れ

守は部屋への入口場所は大体分かるな?

この間の従業員に場所を割らせろ

今からリーダーを引きつけて確保する

その確保が上手く行けば

装備して突入だ。いいな?」

守 「分かりました」

智樹 「後その2人の記者には外に出るよう伝えろ」

守 「分かりました」

智樹 「その涼介と言うやつは殺気立ってしまうかもしれないが

女性を守るためだ

上手く説得しろ

誰も犠牲者を出さないように尽くすぞ」

守 「はい」

(智さんの言葉はいつも重い…とても重くて

命の重さが伝わって、だから俺はこの人について行きたいと思うんだ…

俺は美乃里さんを救いたい

俺があの時声を掛けていたら…美乃里さんは助けが必要な程、嫌な目に合わなかったはずだ…)


守は電話を切ると早速 涼介をじっと見つめ

守 「涼介さん、貴方の大事な女性を必ずお守りしたいです

その為には勝手な行動が美乃里さん、涼介さん、私たちみんなの命とりになります。

ここは私たちに任せてどうか店の外でお待ち頂け無いでしょうか?」

涼介 「そんなのっ」

べシッ

涼介は頭を叩かれ健太の方を見る

健太 「ここは警察に従うのが美乃里ちゃんを救う近道だ」

涼介 「分かった…美乃里に怪我でもあったら絶対許さねぇ」

守 「最善を尽くします」

健太 「行くぞ」

健太は涼介を引き連れて外に出る


美乃里から連絡が来て20分が経とうとしていた

動き出す


守は急ぎ足で奥へと続く扉付近に進む

その際にこの間声を掛けた従業員を捕まえる

守 「警察だ、華の部屋への扉はどこだ」

店員 「警察…」

店員は後ろを振り返り金髪の女性を確認する

しかし、金髪の女性は智樹達に囲われていた

守 「もう逃げられないぞ」


店員 「はぁ…

奥の赤と緑の印の着いた扉です」


バタバタバタバタ…

悟と応援が来る、金髪の女性は観念した様子で

次々と確保されていく従業員


守 「この子を頼む」

守は応援に来た警察官1人に店員を渡した


その瞬間 店員は走り出した

店員は走り出しながら携帯を取り出した

現場が一瞬にして張り詰めた

次々と応援の警察官達が追いかけ、直ぐに捕らえたが

携帯の画面には

洋平さん

と出ていた…捕らえた刑事が言う

刑事 「いいか?電話に出たら間違えだと言え」

だが、洋平が電話に出ることは無かった


緊迫した雰囲気を智樹が戻す

智樹 「気を引き締めろ

変わらずこのままで行くぞ」

無線から智さんの声が聞こえ引き締まる


守達は装備を装着し、突入の準備をする

守 「智樹さん、入ります」

智樹 「ああ、慎重にな」


守がゆっくりと扉を開けると

そこは廊下のような通路になっており

右側の扉に赤の印がある

そこの扉以外に奥を見ても扉は無い…

情報を思い出した守

(隠し扉か…入口の扉に赤と緑の印…

そしてこの扉には赤の印…って事はもう1つの扉には緑の印がある筈だ)

そして守はゆっくり奥まで進む…


(見つけた、緑の印だ)

守が隠し扉を触ろうとした時だった…


「ガシャンッ」

中から何かが割れたような…壊れたような音がした

守は華の部屋ではなくこちらにいると確信した


守は他の仲間にジェスチャーで

そちらの部屋にはいない、こっちだと合図をする


悟はここを開けると合図し、華の扉をゆっくり開けた

部屋の中は食事をした後の痕跡だけ残っていた

悟は智樹に報告する


悟 「華の部屋、確認OKです

葉の部屋に絞ります」

智樹 「了解、応援を送る」


守 「ふぅ」

守は小さく息をはく

(この先に3人がどんな状態でいるかは分からないが

美乃里さんを助けるのが最優先だ)


守は手に汗をかきながら

行くぞ、とみんなに合図を出した

葉の部屋の前は警察官たちで包囲した


智樹 「守、隠し扉は行けそうか」

守 「行けます開けて突入します」

智樹 「頼んだぞ」


「ガチャ…」

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