〜ただいま、母さん。〜
実家に帰った俺は、心臓が飛び出そうなほど緊張していた。
なぜかというと、、、
俺はこの実家を捨てたように出て行ったからだ。
「俺は、東京に行きたいんだ!誰に何を言われようと行ってやる!!!」と残して、出ていくように行った。
その後、家族と連絡もしていない。
だから、緊張している。
手をかけようとするが、手汗で滑ってしまう。
だが、このままではどうしようもできない。
この手汗を拭いて、俺は息を飲み扉を開けた。
「ただいま...」
俺は、小さく言った。
「あら、おかえり。」
母は機嫌を悪そうにせず、明るく迎えてくれた。
「どうしたの?帰ってきて。」
「実は...」
俺は、靴を脱いでリビングに行った。
昔と何も変わらないリビングなのに、初めてきた感じがした。
「実は、会社クビになっちゃって...」
母は、驚いていた。
「大変だったわね。帰ってくるのも一苦労だったでしょうに。」
そう言いながら、母は近くにあったバッグから財布を取り出して、現金を渡してきた。
「はい、これ。新幹線代。」
なんで母はここまで優しいんだ。
「母さん、なんで?」
母は、純粋な目でこちらを向いた。
「なんでって。あなたは私の自慢の息子だからよ。息子を放っとく親がどこにいるのよ。」
「母さん、怒ってないの...?」
「なにがよ。」
疑問そうに聞いてきた。
「俺がさ、出ていく時のこと。」
母は、笑いながら言った。
「ああ、あれね。まあ、あれについては仕方ないかなって思ったね。怒りなんかしないわよ、あんなことで。」
母は本当に心が広い。そう感じた。
母と話していると、 「ただいま〜」
「あらお父さん、おかえりなさい。」
俺は、緊張が再び走った。