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【完結】人々に魔女と呼ばれていた私が実は聖女でした。聖女様治療して下さい?誰がんな事すっかバーカ!  作者: 隣のカキ
聖女の暴力編

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第63話 聖女の遠征準備

 あれから業務をこなしては悪い悪魔を躾て回る日々を過ごし、とうとうベーゼブの魔力が全回復した。


 アドンは最大値の30%くらいまでしか回復していないけど、これ以上は悪戯に時を浪費するだけ。


 現在、聖女軍の上位メンバーは揃って会議を行っていた。


「さて、先ずは魔神ルシーフを攻めるんだけど……。」



 どうやらルシーフとバルバスは小競り合いを幾度となく繰り返しているらしく、必ず幹部級が戦場に何体かは出ているそうだ。


 情報通りなら、残り二体の魔神は常時守りの戦力が手薄になっているという事。



「なら攻めやすいですね。」


「そう思うでしょ?」


 そうとしか思えないけど……何かあるのかしら?


「奴の領土ではフリーの1級悪魔が徒党を組んで悪さをしているの。闇雲に攻め込んだりすると、そいつらと鉢合わせる可能性もあるわ。」


 どうやらルシーフの領土では政治が上手く機能していないらしく、実力のある悪魔があちこちで悪事を働いているみたい。


 なんでも、徒党を組んだ悪魔たちは山賊紛いのような事をして好き放題暮らしているのだとか。


「だったら、皆ブッ叩いてしまえば解決ですね。私とお母さんは交渉が得意なんです。」


 是非任せて欲しいな。私達は人間の血が入ってるから魔力も回復しやすいみたいだし。


 適材適所って奴よね。


「……まぁ、二人のそれが交渉と呼べるかどうかにについては置いておくとしてだ。味方陣営の魔神の魔力を消費するわけにはいかん。そいつらとの戦いは避けるべきだ。」


 ベーゼブったら、ちゃんとお話するんだから交渉に決まってるじゃない。


「一部分は賛成するよ。ルシーフとの戦いの後はバルバスだっているんだ。フリーの1級悪魔に魔力を割くわけにはいかない。かといって、放置しても後顧の憂いになる。僕は積極的に狩るべきだと思うな。」


 流石アドンね。ちゃんと私達のストレス解消も考えてくれている。


「私もアドンの意見に賛成。アリエーンとアリエンナちゃんは人間の血が入ってるから魔力回復も早いし、何よりも……」


 何よりも?


「いちいち魔神形態に変化しなきゃいけない私達と違って、本気で戦闘する時の魔力消費も少なくて済むわ。」


 そっか。確かに言われてみればそうだよね。


 私達は形態変化をしない分、一回の戦闘における魔力消費の割合が魔神よりも少ないのだ。


 魔神達は本気で戦闘を行えば、受けるダメージにもよるが1~2時間くらいしか戦闘出来ないみたい。


 対して私やお母さんは、半日くらいなら全力戦闘を行える。


「フリーの1級悪魔達の相手は聖女軍ツートップに任せれば良いのよ。というか、これから先の戦いは全て任せます。私達魔神組は守りの戦力として運用した方が効率良いわね。」


「そうか。二人は純粋な悪魔ではないのだった。完全に失念していた。」


 ベーゼブはうっかりさんね。


「なら決まりね。アリエンナちゃんとアリエーンに全ての戦闘を任せ、私達魔神組は守りに入る。これで良い?」


「一人くらいは誰か付いて行った方が良いんじゃないかい? 二人は魔界に不慣れなんだろう?」


「確かにそうよね……。なら、私が付いていくわ。」


「わかった。俺達は待機していよう。」


「僕もそれで良いよ。」


 話しは決まった。私、お母さん、アンリさんでルシーフの領土に攻め入って1級悪魔を狩り、その後ルシーフと戦闘ね。


 アンリさんの役割は基本的に案内だけ。


 魔力を消費し過ぎると、最悪戦後の統治が難しくなるかもしれないからだ。


 あれ? だったら……


「じゃあ行くわよ。」


「待って下さい。」


「どうしたの?」


「ルシーフの城に直接転移したら良いんじゃないですか?」


「言われてみればそうね。」


 お母さんもうんうんと頷いている。


「あぁ……。話は簡単よ。ルシーフの城に直接行った事がないから、転移出来ないの。」


 そっか。転移魔法って言った事がない所には行けないんだ。


「だから行ける所まで転移して、そこから先は歩きね。」


「馬車は無いんですか?」


「魔界には馬が居ないのよ。」


「だったらうちの悪魔に引かせれば良いんじゃない?」


 お母さん、流石にそれは……


「それはダメ! 聖女軍で働くメンバーにはきちんと悪魔としての権利を保障しているから、そんなパワハラ全開な事はさせられません。」


 アンリさんの言う通りだ。魔神とこの場に集まった幹部達の顔がことごとく引き攣っている。


「そうだわ。ルシーフの領地にいる悪い悪魔達を馬の代わりに使いましょう!」


「いや、いくらなんでもそれは……。」


 ベーゼブが渋い顔で難色を示す。


「僕もそれはちょっとダメだと思うな。」


「どうしてよ? 悪さをした悪魔を更生させつつ、罪を償わせる為に労働を課す事がそんなにオカシイかしら?」


「ダメって言うか……悪魔の尊厳とか……。」


「大丈夫よ。数発ブッ叩いてあげれば、是非馬にしてくれってきっと自分達から言って来るわよ。それに、アリエンナが失敗した料理をあげれば食費も浮くし経済的だわ。」


 恥ずかしいわ。


 昨日のお料理はちょっと失敗しちゃって、デザートのキャロットケーキを作ろうとしたら何故かカレー味になってしまったのだ。


「アリエンナはここ最近料理の練習で、カレー味の何かを大量に作ったから余ってるのよ。」






 お母さん……




 目から鱗だわ。


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