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第41話 聖女の魔神軍入り

「さ、着いたわ。皆に2人を紹介するから。」


 凄い……。王様の椅子? 玉座の間ってやつかしら?


「アンリ様。お帰りなさいませ。」


「ただいま、エリゴース。」


 この場所に居るという事は、アンリさんの側近とか?


「こちらの方々は?」


「娘と孫よ。2人ともあなたより強いから、丁寧に接してあげてね?」


「ご冗談を。私は1級悪魔ですよ?」


 フンっと鼻を鳴らすエリゴースさん。


「アンリ様の血筋とは言え、私よりも強いなどと……」


 エリゴースさんがお母さんと私を見て固まっている。


「し、し……」


 し?


「失礼しました!!」


 うるさい人ね。


「あっ。」


 ドギャッ!! っと音がしたかと思えばエリゴースさんが吹っ飛んでいた。


 犯人はお母さんだ。


「こら! 乱暴な娘でごめんさないね?」


 アンリさんはオホホホと外行きの笑い方をしていた。


 近所のおばさんみたい。


 うちの子が悪さしちゃって……みたいな感じで言ってるけど、結構酷いよ?


「い、いえ……大丈夫です。」


 エリゴースさんって頑丈なのね。お母さん結構力入れてたんだけど……。


「ごめんなさい。ちょっとうるさかったから叩いちゃったわ。」


「大丈夫です。」


 最初と態度違わない?


「エリゴースさんっておっしゃるの? あなた、私と遊ばない?」


「い、いえ……仕事がありますので。」


 この人、少し怯えてるよ?


「これで死なない人なんて珍しいわ。どのくらいで死ぬか試してみても良いかしら?」


「こら! 貴重な戦力なんだから痛めつけないで頂戴! それに、可哀想じゃないの!」


 エリゴースさんがアンリさんの後ろに隠れて怯えている。


 確かにお母さんも酷いけど、エリゴースさんも部下失格じゃないかな。


 というか、お母さんっていじめっ子だったんだ……。


「ほら、エリゴース? 幹部達を呼んできて。2人を紹介するから。」


「ははぁ!」


 エリゴースさんはダッシュで部屋を出て行った。


「アリエーン。悪魔は互いの強さを見て格付けするから、叩く必要はないのよ?」


「うるさかったから、ついね。」


「そんな事で叩かないで。あれじゃ1級悪魔以外は即死よ。」


「今度からは気を付けるわ。」


 アンリさんがはぁっと溜息をつく。


「エリゴースさん? 以外にも1級悪魔はいますか?」


「うちはエリゴース以外に3人所属してるわね。後は他の魔神の配下だったり、フリーだったりってとこかしら。」


 へぇー。結構少ないんだ。


「母さんは私達に何をして欲しいの? 他の魔神の配下をぶっ殺す感じ?」


「言葉は悪いけど、それに近いわ。あなた達にはアンリ魔神軍の№2と№3になってもらって、他の魔神配下を抑えて欲しいの。」


「強い人はいますか?」


「たくさんいるわよ? あなた達レベルがいるかは微妙だけど、かなり楽しめると思うわ。」


 私はアンリさんの言葉に嬉しくなってしまった。


 勿論お母さんも嬉しそう。


「全員連れて来ました!」


 エリゴースさんが幹部の人達を連れて来たみたい。


「よし、それじゃあ皆に紹介するわ。娘のアリエーンと孫のアリエンナよ。」


「アリエーンよ。よろしくね。」


「アリエンナです。よろしくお願いします。」


「2人は皆よりも大分強いから怒らせないようにね? アリエーンは特に……人を引きちぎろうとするから。」


 お母さんの紹介の仕方が酷い。確かにそういう所あるけど……。


「2人には№2と№3になって活躍してもらう予定なの。皆も自己紹介してあげて?」


「俺はアスタだ。」


 この人筋肉が凄い。


「私はシトリーよ。」


 この人はおっぱいが凄い。


「イブリス。」


 この人は手が燃えてる。何か凄い。


「エリゴースです。」


 この人はさっき聞いた。


「アンリ様よぉ。」


「どうしたの? アスタ。」


 アスタさんは不満そうだ。もしかしてご飯食べてる最中だったとか?


「この2人が俺より強いってのが納得いかねぇ。どう見てもシトリーと同じレベルだろ?」


「アスタより強いわよ? 嘘だと思ってる?」


「嘘とは言わねぇが、俺より強そうには見えねぇな。」


 あーあ……。アスタさんはお母さんのサンドバッグ決定かもしれない。


「そんなに弱そうに見えるかしら?」


 お母さんが優しく笑いかけている。アスタさん、大丈夫かな……。


「あぁ、見えるね。そりゃあシトリーと同じくらいには強ぇのかもしれんがな。」


 今は身体強化魔法の出力を抑えてるから、アスタさんは気付かないのかもしれない。


「ふーん?」


「アリエーン! 殺しちゃダメよ!」


「そんな事しないわよ。」


 お母さんがアスタさんの方へ歩いて行く。


「ちょっと手を貸して?」


「なんだ? こうか?」


「力比べをしましょう。」


 お母さんとアスタさんが握手のような形で手を握り合う。


「はい。じゃあ強く握って。」


 良かった。穏便に済みそう。


 お母さんは身体強化魔法の出力を上げ、手を握り込む。


 メキメキと鈍い音を立て、アスタさんの手がグシャリと潰れた。


「っ!!」


「あれ? ダメじゃない。ちゃんと力を入れなきゃ。」


 そう言ってお母さんは、握りつぶしたアスタさんの手を引きちぎった。


「がぁっ!!」


 室内にアスタさんの悲鳴が響く。サンドバッグにするよりも酷い。


「こら!! 何てことするのよ! 謝りなさい!」


 謝るとかそういう問題じゃない気がするんだけど……。

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