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【完結】人々に魔女と呼ばれていた私が実は聖女でした。聖女様治療して下さい?誰がんな事すっかバーカ!  作者: 隣のカキ
フェルミト王国編

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第27話 聖女の敗北

「ルディア様はアリエンナを甘く見積もり過ぎだ。多分あいつ、特級魔法も使える気がすんぞ。」


「フフッ。流石にそれは無いんじゃないかしら。」


「……。」


「……まさか本当に?」


「分からん。あくまで俺の勘だ。」


 私もやってみないと分からない……。使った事ないし。


「試してみたいです!」


「ちょっとやってみてくれ。」


「私も興味があるわ。怖いもの見たさって奴かしら?」


 怖いもの扱いは流石にやめて欲しいんだけど……。


「じゃあいきます。なんか超強い魔法出て下さい。」




 ゴオオオオオオッ!!!!




 あっ……出た。


 特大の黒い炎が壁に激突する。


 直後、尋常ではない爆風と地震かと思う程の揺れが起こった。


「震度3くらいですね。」


「……。」


「……。」


「どうしました?」


「……それは特級魔法“獄炎”よ。」


 獄炎って言うのね。覚えておこう。


「やっぱり出来たか。なんとなくそうじゃないかとは思ったがよ。」


「どうしてそんなヘンテコリンな呪文で出来たの?」


「分かりません。魔法名を知らないので、こう言うしかありませんでした。」


「普通はそんなんで魔法は発動しねぇけどな。」


 発動してるんだけどな……。


「二代目絶対暴力の魔女ってところですね。」


 エルバさんありがとう。お母さんの二つ名を継げるのは嬉しい。


「アリエーンさんにはどう教わったの?」


「なんか強い魔法出ろって考えれば魔法が使えると教わりました。」


「そうなんだぁ……。」


 ルディア様は遠い目をしている。きっと私のお母さんに会いたくなってしまったんだわ。


「ルディア様。今度お母さんを連れて来ますからね。」


「え? それは嬉しいけど……どうして?」


「お母さんの事を思い出していたんですよね?」


「……まぁそうと言えばそうだけど。」


「ルディア様もお母さんに教えてもらった事があるんですよね?」


「えぇ。私の時は、とにかく使いたい魔法の事を頭で想像しなさいと教わったわ。」


「俺が教わった時に比べれば大分まともだな。」


 私の時と同じね。流石はお母さん。それでルディア様も特級魔法使いになれたんだわ。


「私が教わった時と殆ど同じですね。」


「全然違うだろ。」


「私も違う様にしか思えない。もしかしたら、親子にしか伝わらない何かがあるのかしら?」


 同じだと思うんだけど……


 あっ……そう言えば。


 私は聖女の祈りで出現した壁を確認する。


「特級魔法でも耐えきれたみたいですね。」


「は?」


「嘘でしょう?」


 壁は相変わらず無傷のまま、キラキラと輝いている。


「まだよ。実は……とっておきがあるの。」


 ルディア様は顔を開いた右手で覆いながら左手は右肘に付け、両足を肩幅以上に開きその場に悠然と立っている。


 超……超恰好良い……。


「私が開発したオリジナル魔法。特級魔法の更に上を行く威力で、日に数発しか撃てない必殺の魔法よ。」


 奥の手ってこと?


「そんなんがあったのか?」


「えぇ。特級魔法轟雷は範囲こそ広いけれど、その分威力は他の特級魔法に劣るわ。それを補う為に、更に上位の魔法を開発したの。」


「世界征服でもするつもりかよ。」


「そんなつもりはないけど、アリエーンさんを追い越してみたくてね。」


 お母さんが目標なのね。


「それじゃあいくわよ。」


 ルディア様は今までに見た事が無いくらい強力な雷魔法を纏っている。


「神雷!」



 幾重にも束ねられた特大の雷が、まるで光線のように高速で突き進み壁に激突する。



 ゴオオオオオン!!!




 それは強烈な光を放ち壁を粉砕した。地面が抉り取られており、魔法の通った跡にはガラス状の物質が形成されている。


「やったわ!」


「ルディア様凄いです!」


 今のはちょっと真似っこ出来そうにない。


「こりゃ驚いた。特級魔法より上とはな……。」


「流石王女殿下。お願いですから、それで世界を滅ぼさないで下さい。」


 エルバさんがわりと本気の顔でお願いしている。


「しないわよ! 失礼な。」


 確かに、お母さんとか魔王がいなければそれも夢じゃないかも。


「魔法対決……しゅーりょー!!」


 ドンドンドンドン…ドン


 その太鼓、どこから出したの?


「勝者……王女殿下!!」


「やったわ!」


 聖女の祈りを突破されたのだから、仕方ないか。


 もうちょっと力を込めればもっと強い壁を作れそうなんだけど……それを言うのは負け惜しみみたいで嫌ね。


「負けてしまいましたね。ですが、第二第三の聖女の祈りが……」


「何で魔王チックなんだよ……。」


「勝負事で負けた時はこう言うのだと習いました。」


「それ、魔王が言うやつだ。」


「そうだったんですか?」


「そうね。」


「では、魔王をブッ叩いた後に魔王に教えてあげましょう。」


「あ、あぁ。そうしろ。」


 ギャモーはなんだか歯切れが悪い。魔王と仲が悪いのかしら?


「アリエンナさんも魔王を抑える仕事をしてるの?」


「何だそりゃ?」


「アリエーンさんはギルドの依頼で、定期的に魔王と戦い人類への侵攻を食い止めていると聞いているわ。」


 お母さんはそういう意味で魔王をブッ叩いていたんじゃないと思う。依頼は受けていたのかもしれないけど。


「そっちではそういう感じで伝わってんのか? 俺が知ってんのは絶対暴力の魔女が魔王をサンドバッグ代わりにしてるって話だが。」


「成る程。アリエーンさんの性格を考えれば、そちらの情報が正しいような気がするわ。結果的に魔王を抑える形になっているだけって事ね。」


 私もそんな気がする。


「人類の為じゃなくて、趣味で魔王と戦ってるワケか……。人には紹介しにくい趣味だな。」


「確かに、趣味で魔王をサンドバッグにしています……だと世間体が悪いわ。」


 そうかな? それも立派な趣味だと思うけど。


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