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第11話 聖女の才能

 森での狩りを終えたお母さんは、たくさんの御馳走を用意してくれた。


 そろそろギャモーを連れてきても良さそうね。


「ギャモーを呼びに行きましょう。」


「……はい。」

「良く生きてたよな俺ら。」

「本当に死ぬかと思った。」


 騎士達は疲れ切っていた。今度から森に入る時は人を連れて行かない方が良さそう。




「ギャモー。準備が出来たので来てください。」


「おっ。結構時間かけてたみたいだが、そんなに色々準備してくれたのか?」


「たくさん美味しいものを用意しました。」


「そりゃ楽しみだぜ!」


 ギャモーは美味しいものと聞いて目を輝かせる。


 お母さんの料理は美味しいから、きっと喜んでくれるはず。




「お母さん。連れて来たよ。」


「さぁ入って。用意出来てるわよ。」


「邪魔するぜ。」


 ギャモーは全く緊張する様子もなく私の実家に入っていく。


「アリエンナの母です。貴方がアリエンナの言ってた人ね。」


「おう。俺はギャモーってんだ。ちょっと前からアリエンナとはパートナーだ。」


 お母さんとギャモーは互いに挨拶を交わし合う。


「娘をよろしくお願いしますね。」


「任せてくれ。大事なパートナーだからな。何かあっても絶対に守ってみせるさ。」


 ギャモーって男らしいわ。親の前で照れもせずに堂々とこんな事を言えるなんて……。


 私達はお母さんに促され、椅子に座る。テーブルにはたくさんの御馳走が並んでおり、ギャモーは目が釘付けだ。


「どうぞ召し上がれ。」


「こんなに用意してもらっちまって悪いな。」


「ギャモーは大事なお客さんなんだから、遠慮しないで下さい。」


「そうよ。いっぱい食べてね。」


「ありがてぇ。」


 3人で食事をしながらの会話は弾む。


「こいつぁうめえ!」


「たくさん食べてね。足りなければ追加も出来るから。」


「おう!」


 そして食べながら、ギャモーは私に話を向ける。


「お前の言った通り、母ちゃんすげぇ美人だな。」


「はい。お母さんは近所で女神と呼ばれています。」


「確かに…そう呼ばれててもおかしくねぇ。」


「あら? いきなり嫁の母を口説いて大丈夫なの?」


 お母さんはからかうような口調でギャモーに問うと……


「嫁? って何の事だ?」


 ギャモーはきょとんとした顔をしている。


「そっか。今時の子はパートナーって言い方をするのね。」


「ん? おう。アリエンナはパートナーだぞ。」


 ギャモーったら良く分かってるわ。嫁って言われるよりも、パートナーって言われた方がしっくり来る。


 やっぱり心が通じているのね。


「お母さん。ギャモーはブッ叩かなくても心が通じ合った初めての人なの。」


「それは凄いじゃない! 良い人を見つけたわね!」


 ギャモーを見れば顔が引き攣っている。どうしたの?


「そのブッ叩く……ってのは教育方針なのか?」


「娘はね、ずっとこの村でいじめられてきたの。だから、やられたら即座にやり返しなさいと教えて育ててきたわ。」


「そう……か……。」


「でもね、この子は優しい子だから……本気でブッ叩いても良いって言ってるのに、加減しちゃうのよ。」


「いや、アリエンナが本気でやったら村人が死んじまうだろ。」


「ギャモーの言う通りだよ、お母さん。」


「別に良いじゃない。邪魔な相手は滅ぼしても良いのよ? 何かあれば助けてあげるから。」


 何当たり前の事言ってるの? といった風にケロりと発言してみせるお母さん。


 お母さんは時々ヒドい。


「もしかして、お前の母ちゃんも強ぇのか?」


「私よりもずっと強いですよ。以前はストレンジ帝国でSSSランクの冒険者だったと言っていました。」


「……もしかして、絶対暴力の魔女か?」


 ギャモーも知ってたの?


 やっぱり凄く有名なんだわ。


「その通りよ。ギャモーさんも知ってたのね。」


「あぁ。特級魔法士なのに格闘が強いんだろ?」


「そうそう。というより……私って魔法得意じゃないし。」


「はぁ? 特級魔法士なのに魔法が得意じゃないって何の冗談だ?」


 それに関しては私も思った。


「お母さん、どういう事?」


「魔法に関してはね、使ってみたらなんか出た……って感じで、せっかくだし資格試験受けてみたら簡単に取れちゃったのよ。だから別に得意でもなんでもないわ。」


「特級魔法士は実務経験も必要だろ? そんなに簡単には取れないんじゃねぇか?」


「冒険者としての実績があったから、実務経験は免除されたのよ。」


「……お前の母ちゃんすげぇな。」


 私のお母さんは昔から何かと凄かったので、今更感はある。


「魔法って簡単そう。私も色々使ってみたいから教えて!」


「そんなに簡単じゃねぇだろ。魔法ってのは長年の勉強と練習が必要だって話だぞ?」


 そうなの?


「そんな事ないわ。簡単よ。」


 お母さんはこう言ってるけど……どっちが本当?


「アリエンナ。小さい魔法、なんか出ろ……って考えてみて?」


 私はお母さんの言う通りにする。


「そんな雑な説明で上手くいくわけが……」


「あっ。出た。」


 私の手の上には小さい炎が出現していた。


「はぁぁ!?」


「ほらね? あとは戦う時に、なんか強い魔法出ろって考えれば攻撃魔法が使えるから。」


「お母さんありがとう!」


 これで私も色々な魔法が使えるようになりそう。


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