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忘れてしまった過去の記憶1

「ごめんなお父さんとお母さん海外に出張になったんだ。詳しくは言えないが、海外のとある国だ。治安とかは日本ほどは良くはないがそれでもそこまで危険はないからそこは安心してほしい」


「え!?いきなりどうしたの!?海外に出張!?シキとシィアはどうするのよ!!」


「ごめんね全部イロハに任せちゃうようになっちゃうね」


「はぁっ!?どういうことよ!!私だってもうそろそろ試験があって忙しいのに、2人の面倒も見ろって言うの!?普段だったら喜んでやるけど、今は無理よ!!」


「本当にごめんな。もう決まったことだからお父さんにはどうしようもないんだ」


 なんなのよいったい!!なんでよりによってこの時期なの!?


 私が教師を目指してここまで頑張ってきたのに、あとちょっとっていうのになんでなの!?


 そりゃシキとシィアは可愛いわよ!!この世で一番可愛いわ!!でもね、それとこれとは関係ないの!!


 私だって教師になるためにこの4年間頑張ってきたのに、シキとシィアのお世話してたら勉強できない!!いくらシキが中学生だっていっても私がやることが多いじゃない!!


 シキとシィアのお世話はすごく魅力的!是非ともやらせてほしいけど今は教員採用試験の方を頑張りたいのに.........!!


 はぁ.........でも今こんなこと言っても仕方ないか。明日から早く帰ってきてご飯とか作ろ。で、その後徹夜で勉強しよっかな?


 でもそれでも教師への道が行き止まりの通路から茨の道に変わっただけだけど頑張らなきゃね。だって私はお姉ちゃんなんだから!!!


 私と父さん達が話した次の日にはシキもシィアも父さん達がいなくなることを知ってた。


 シィアは小学校6年生で、まだ甘えたいはず。シキだって大人びているけど、まだ中学校1年生。まだまだ親の力が必要なはず。


 それを私が代わりになれるか不安でしかない........。でもやるしかない。


 なのに!なのに!!父さん達が出発した日は卒論やら、教員採用試験の勉強をしてたら家に帰るのが遅くなってしまった!!!


 まずい!!父さん達が家にいないこと忘れてた!!お腹を空かせたシキとシィアが家で待ってる!!


 すぐに大学から出ると家まで急いで帰る。


 人目もはばからず道を走る。


 息を切らしながら家に到着する。


「ただいま!ごめんね遅くなって!!お姉ちゃんが今からご飯作るから!!」


 玄関を開けて、声を出しながら廊下を走る。


 いざドアを開けるといい匂いがした。


 あれ?なんでいい匂いがするんだろう?


「あ!?イロハねぇお帰り〜」


「イロハ姉さんお帰り。今お風呂沸かしてるからちょっとだけ待っててね」


 そこには制服のままエプロンをつけたシキと、部屋着を着てシキを手伝っているシィアがいた............けど.......え!?なんで2人がご飯の準備してるの!?それにお風呂って.........まさか私が帰って来る間に家事しちゃったの!?


「た、ただいまシキ、シィア。..............なんで2人が家事やってるの?お姉ちゃんがこれからずっとやっていくからゆっくりするなり遊ぶなりしてても良いのに」


「暇だからいいの!!だってイロハ姉さん先生になるために勉強してるんでしょ?家事は私に任せてよ!!イロハ姉さんは勉強頑張って!!!先生になりたい夢叶えてね!!」


「でもシキ.......。そしたらシキが自由な時間なくなるよ?まだ中学生なんだから、もっと遊んでいいのに.......」


「ううん大丈夫。だって私こんな身体だから、そんなに遊べないし、部活に出れないからいいの。私は私が遊ぶのに時間を使うより、イロハ姉さんのために使う方が嬉しいんだ!!だから絶対先生になってよ!!」


 なんでこんなにいい子なの?神さまは理不尽だ。こんなにいい子なのにシキが抱えているのは重たいものばかり.........。


「ありがとうシキ。お姉ちゃん頑張るから。シキ応援してね?」


「うん、もちろん!!あ!!今日はイロハ姉さんが好きなハンバーグにしたよ!!...........お母さんのと同じくらい美味しいかはわからないけど、楽しみにしてて!!」


 そんなことまでしなくても良いのに..........。でもシキが作ったんなら美味しいに決まってるから大丈夫!!


 .................無性に抱きしめたくなっちゃった。我慢はダメだよね??


「もうシキは可愛いなぁ。シィアもこっちにおいで」


 テキパキとお皿をキッチンに持って行ったり、机を拭いたり、いろいろ忙しそうにしてたシィアも呼ぶ。


 トコトコとやってきたシィアと私の目の前にいるシキを一緒にガバっておもいっきり抱きしめる。


 キャイキャイとシィアが喜んで、シキは少し恥ずかしそうだけど、嬉しそうにしてくれた。


 やっぱり私はこの2人が好きだ。かけがえのない妹達だ。


 どんなに私が追い詰められても、この2人は味方になってくれる。


 笑顔で私を出迎えてくれる。それだけで嬉しいのに、シキは家事をして、家のことをしてくれる。


 シィアはまだ甘えたい盛りだけど、それを我慢してくれている。


 それなのに私は勝手に絶望して、勝手に全部を抱え込もうとしていた。


 妹達は私に教えてくれた。みんなで楽しく暮らそうって。


 今日ぐらいはいいよね?


「じゃあ今日はみんなでお風呂に入ろうか?その後みんなで一緒に寝よ?」


「やったーー!!ありがとうイロハねぇ!!」


「でもまだご飯できてないし、早く作らないと」


「大丈夫。3人で作ろう?一緒に作れば早いよ?それにみんなで片付けたらすぐに終わるから大丈夫だよ」


「で、でも.........」


「もうシキったら..............こんな時くらいはお姉ちゃんに甘えていいのよ?お姉ちゃんだって2人といたいから..........ね?」


「う、うん。分かった」


 もう一度私は2人を抱きしめる。


 絶対に放すもんか。この子達は私が絶対に守ってやる。


 父さん、母さんこっちは心配しないでいいよ?私頑張るから!!


 ちゃんと採用試験合格してやるから!!卒論も書き上げてやるから!!


 そっちも頑張ってね。父さん、母さん。


 じゃあ早速お風呂に入りますか。


 ん?どうしたのシキ?.........え?お姉ちゃんと一緒に入るのが恥ずかしいからやっぱり辞めとく?


 はいはい、そんなこと言わないの。ほら行くよシキ。


 シィアもちゃんと来てる?


 あ!?そうそうあなた達、覗いたらタダじゃおかないから覚悟してよね!!


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