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コミュニケーション

 私が精一杯い生きていくことを覚悟してしばらくしたらお姉ちゃん達が入ってくる。


 その頃にはもう私は「私」という人格を理解していた。もちろん私の体のことについても。


「ーーーーーーーー?」


「ーーーーーーーーーーーー。」


 ごめんねまだ何言ってるか分からないんだ。


 ふるふると首を振ってみる。そしたら2人はものすごく私を心配してくれたのか、頭を撫でたり、背中をさすってくれたり、抱きしめてくれた。


 もちろん嬉しいけど今は伝えなきゃいけないことがあるから、ちょっと待って。


 ペシペシとお姉ちゃんの背中を叩いてみる。そしたらお姉ちゃんは気づいたのか「ーーーー?」と聞いてくれる。多分「どうしたの?」って言ったんだと思う。首を傾げながら聞いてくれたからね。


 まず私は耳に手を当ててみる。ジェスチャーでよく聞こえないって表す時みたいにしてみる。そしたらお姉ちゃんはもっと大きい声で言ってくれた。


 残念。声は聞こえてるけど、なんて言ってるか分からないよ。


 お姉ちゃんも戸惑ってるみたい。ごめんね。困らせたいわけじゃないの。


 どうしようか考えていたら、文字書けばいいじゃん!!って思った。


 だったら早速ジェスチャーで聞いてみる。


 まずさっきと同じように耳に手を当てる。そのあと両手でバツ印を作る。


 この時点でお姉ちゃんと妹ちゃんは、もう泣きそうだった。


 待って!?なんで!?なんで泣きそうなの?そんなに私のジェスチャー下手なの!?下手すぎて分からないの!?


 私までパニックになってたら2人は泣きながら抱きしめてくれた。それもさっきよりも優しく、思いやりを持って..............。


 あれ?もしかして少し誤解させた?あああぁぁぁ!!どうしよう!どうしよう!どうすればいいの!?


「ーーーーーーーーーー。」


「ーーーーーーーーーーーーー。」


 2人が何か言ってくれてる。でもやっぱり分かんない。


 早くどうにかしないと.........。もうしょうがないよね!!


 もう一度お姉ちゃんをペシペシと叩く。涙目のお姉ちゃんと目が合う。


 ううぅぅ〜、ごめんねお姉ちゃんそんな顔させて。


 今度は口をパクパクさせて喋る真似をする。一生懸命ジェスチャーする私を2人は必死に読み取ろうとしている。


 私は口をパクパクさせてその後バツ印を作る。ここでもお姉ちゃん達が動揺したけど、待って!ってジェスチャーをする。


 受け入れてくれたのか、今度はジッとしてくれている。


 よかった〜。今度は通じて。


 そのまま私は次に、空中に文字を書いていく。その後左手にノートを持って、右手にペンを持って書いているジェスチャーをする。


 気づいてくれるかな?


「ーーーーー。ーーーーーー?」


「ーーーー?ーーーーーーーーーーーー?」


 するとお姉ちゃんはカバンからスマホを取り出した。そのまま私に渡してくる。


 これを使えってこと?でもこれってお姉ちゃんのでしょう?


 ロック解除してって言いたいけど、分かんないよぉぉぉぉおお!!


 どうすればいいの?私があたふたしてたらそれをみかねたお姉ちゃんが、電源をつけて私の親指をとって、指紋認証でロックを開ける。


 ん?私の指で開いたってことはこれって私の?でもなんでお姉ちゃんが持ってるんだろう?まぁいいか。


 お姉ちゃんと妹ちゃんをみると、さっきとは違ってニコニコしている。


 うん。やっぱり2人は笑顔が似合うな。悲しい顔なんてさせたくない。


 でもスマホのロックを解除したのはいいけどどうしればいいんだろう?何か文字を打てる機能ってなかったけ?


 私が首を傾げて考えていると、今度は妹ちゃんが私のスマホを横から操作する。


 1つのアプリを起動させると、そこには真っ白いページがあった。ここになら書いていいのかな


 早速私は文字を打ってみる。


『えーっと、初めまして?お姉ちゃん、妹ちゃん。喋れなくてごめんね。』


 文字を打ったページを2人に見せる。今の私には記憶はない。


 あるのは前のシキさんが残してくれたあの書類から得た情報だけだ。


「ーーーーーー!?ーーーーーーーー?」


「ーーーーーーーー!?ーーーーーーーーーー!?」


 むむむ、私が喋れない、聞こえないっていうのは言ったはずだよね?なんで声に出すの?


『ごめんね。まだ2人のことよく知らないんだ。それに私2人が何か喋ってるのはわかるけど、何を喋ってるのかが分からないの』


 これで次から筆談できるはず。私えらい!!よく思いついた!!!


『これなら読める?シキ身体痛くない?どこか辛いところない?』


『お姉ちゃんごめんね。こんなにお姉ちゃんを苦しめちゃって。私が守れなかったから...........お姉ちゃんが.........』


 ふむふむ、お姉ちゃんは私のことを心配してて、妹ちゃんは自分を責めていると...........。


 うん思ったけど、これって全部私が悪いよね?


 そもそも私が自殺をしなかったらこんなことにならなかったのに。


『お姉ちゃん。私は大丈夫だよ。どこも痛くないし、辛くもない。お姉ちゃんと妹ちゃんに会えて今私すっごく嬉しいよ♪』


『妹ちゃん。そんなに自分を責めないで。悪いのは私なんだから。全部私が悪いんだから。だから妹ちゃんが気に病む必要なんかないよ』


 とりあえずお姉ちゃんには返信。妹ちゃんにはフォローをしておく。


『良かった。お姉ちゃん本当に心配だったんだよ。シキが私達にバレないようにしてたから。だからこんなになるまで、私達は気づけなかった。ごめんねシキ。こんな頼りないお姉ちゃんで』


『お姉ちゃんは悪くないの!!悪いのは全部あいつらなんだから!!それに私だって悪いんだから。お姉ちゃんこそ気にしちゃダメだよ?』


『2人とも謝らないで!それよりもさ、手握ってくれない?私すっごく嬉しんだ!!こんな可愛くて優しい姉と妹がいることに!!これから仲良くしてね!!』


『もちろん。シキは私にとって大事な妹の1人だからこれからずっっっっと一緒だよ?』


『私も!!お姉ちゃんは大切なお姉ちゃんの1人だから!!だから私こそ仲良くしてね?』


 涙がでそう。こんないい家族に恵まれるなんて........。


 キュッと私の手を握ってくれる。そこからは人の温もりを感じられる。


 あぁ私は生きてるんだな。


 これからリハビリ頑張るから、いつかいっぱいお喋りしようね!!絶対だよ!!


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