表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/26

窓越しの景色をやっとの思いで

 あれから私がパジャマ以外の服を着ると、上機嫌になるって分かったお母さんとお姉ちゃん、シィーちゃんに千夏さんはいろんな服を持ってきてくれたの!!


 可愛いワンピースとか制服っぽいプリーツスカートとかいろいろ持ってきてくれて、着るのも見るのも楽しかったの!!


 でね今日は涼しい感じの色の水色のワンピースを着てるの!!もちろん長袖、膝丈だけどそれでも可愛いの!!


 なんか嬉しくてルンルンしちゃう♪ありがとうシィーちゃん。


『ねぇお姉ちゃん?今日一緒にお散歩しない?』


『うーーーん。せっかく可愛い服着たから外に出てお散歩したいけど、許してくれるのかな?』


『大丈夫!!ちゃんとさっき確認してきたらいいよって言ってくれたよ!!お姉ちゃん体力つけないといけないから、これから少しずつ歩いた方がいいよって先生言ってたから一緒に行こ!それに今日は曇ってるからいつもより暑くないから、ちょうど良いと思うな?』


『...........うん分かった。ちょっと準備するから待っててね。...........ありがとうシィーちゃん!』


 まずはお姉ちゃんに買ってもらったつばが広い帽子をベッドの上に置いて、顔と首、両腕、両足にムラなく日焼け止めを塗っていく。


 まだ慣れないけど鏡を見ながらUVカット加工されたコンタクトも入れてっと。


 ..............よし!!これで準備OK!!帽子を胸に抱いてシィーちゃんの隣に行く。


『じゃあお姉ちゃん行こっか?』


『そうだね』


『お姉ちゃんもう帽子かぶって行こ?』


『なんで?』


『だってお姉ちゃんまだ体力ないんだから、こけるかもしれないから私と手繋ご?』


『でも...........』


『いいの!!』


『..........じゃあお願いねシィーちゃん!』


『うん!!』


 私が差し出した右手をシィーちゃんの左手がキュッと握る。やっぱり触れ合うって心があったまる行為だなぁ。


 でも左手だけは見られたくない。そこには醜い傷を隠すために包帯が巻かれているから。それに首にも包帯が巻かれている。でも首の包帯は隠せないからしょうがないからそのままでいる。


 この傷は私にとっては私が生まれた証だけど、他の人から見れば痛々しいものでしかない。特に私の家族にとっては私を守れなかった証だから、今でもこの傷を見るたびに悲しい顔をしてる。


 だから私はこの傷を見せたくないの。この傷は負の感情しか湧かせないから。


 ゆっくりと私とシィーちゃんは手を繋いで病室を出る。いつも病室だけで終わっていた私の世界が拡がった瞬間でもあって、新鮮な気持ちになった。


 それからエレベーターに乗って下に降りて、そこから病院の中庭に移動する。


 屋外に出た瞬間私は、いつも手が届かなかった所に手が届いたかのような気持ちになった。


 病室の窓からでしか見れなかった、触れられなかったものが目の前にあるってなるとなんかワクワクしてくる。


 小説や雑誌、テレビを見ることよりも楽しいことが今、私の目の前に広がっている。


 そーっと手を伸ばしてみる。なにかが掴めそうで掴めない。でも、もう見るだけのもどかしい気持ちになることはない。これからは自分の手で掴めるようになったんだから。


 今までに私が読んできた小説には『私達の両手は何のためにあると思う?ペンを持つため?文字を書くため?ご飯を食べるため?........きっとどれも正解。でもね私はね、私達の両手は何かを掴むためにあるって思うの。足掻いて、もがいて、苦しんでも私達自身が願う何かを掴むためにあるの。それが大きいことでも小さいことでも、誰かを幸せにして誰かを不幸にするかもしれない。でもそれが私達人間。私達自身が願うものを私達は自分の両手を使って、漏らすことなく全部掴んで受け止めるの。だから貴方も貴方自身の両手を使ってちゃんと掴み取ってね!!』ってあったの。


 今まさに私はその状況にいる。やっと自分の力で手に入れられるようになった。


 私は自分からゆっくりと一歩一歩前に出る。けど日陰から出ようとしたらシィーちゃんに強く止められた。


 え!?どうしたの?私、日なたに出ちゃダメなの?

 

 ................だったら散歩に誘ってほしくなかったなぁ。せっかく私は新しい世界に踏み込めたのに、これで終わりなんて.........。


『お姉ちゃんちょっと待って。念のために日傘さそ?曇ってるけど万が一があったらいけないからね』


『そうだったね.........ごめんね楽しくてお姉ちゃん夢中になっちゃった』


『ううん大丈夫!!それにお姉ちゃんの顔楽しくて仕方ないってくらいキラキラしてたから、だからもっと楽しんでほしいからね!!』


『ありがとうシィーちゃん』


『ううん全然だよ!!お姉ちゃんが楽しいなら私も楽しんだから!!』


 こんな機会くれてありがとうシィーちゃん。


 私は私の両手でシィーちゃんとお姉ちゃん、お父さんにお母さんの幸せを掴めるか分からないけど、絶対掴んでみせるから。だから見ててね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ