訓練
1日目
今日からスタートする対お父さん専用の訓練。
今はまだ病室には私とお姉ちゃんしかいないから緊張するだけで済んでる。でももう少ししたらお父さんが入ってくる..............。みんなには心配かけるかもしれないけどそこは我慢してね!!
『心の準備は大丈夫?』
『うん................。』
多分いつまでたってもこの緊張は取れないから早くした方が良いと思う.............。多分色々あるって辛くなるかもしれないけど頑張るしかない!!
『無理しなくても良いんだからね?』
でも無理しないと治せないよ?
『じゃあ呼ぶね?』
ギュッとお姉ちゃんの背中に抱き着く。安心できる温もりにしがみつけられて、安心できる匂いを感じれるから。
「--------。----------------------。」
何を言ってるかは分からない。でもお姉ちゃんがお父さんに何か言ってるんだと思う。
怖い。あの時のことを思い出すんじゃないかって思って怖い。でも乗り越えないといけない。
じゃないと私は一生お父さんと話すことができない。あと約4年以下しか残ってない命なのにそんな未練を残したくない。
何より私が死んだ時お父さんは絶対私と過ごせなかったことを悲しむと思うから。だからそんな思いをしてほしくないから今私が頑張らなきゃ...............!!
そーっとお姉ちゃんの背中から顔だけを出してお父さんを見る。
人見知りの小さい子がするようなことだけで今の私にはこれが限界。
初めて見るお父さんの顔はすごく悲しそうな顔してた。多分私を心配してそんな顔になってるんだろうなぁ。
とりあえずチラ見程度ならなんともなさそう..............?
何度もお姉ちゃんの背中から一瞬だけ顔を出してひっこめるをずっと繰り返す。
「-----------?」
..........ひっ!!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!!その低い声出さないで!!私に聞かせないで!!!何言ってるか分からないけど私に近寄らないで!!!!!!!!!!!
「--!?------------!!!」
もう嫌なの!!あんな目にあうなんて絶対に嫌だ!!!もう一回あんな目にあうなら死んだほうがマシ!!!
お姉ちゃんの腰をギュッ!と抱きしめる。絶対離れないんだから!!
「----------------。---------。」
................どうなったの?あの声の人はもう帰ったの?
気になるけどもうチラッと見る勇気なんてないからお姉ちゃんに聞きたい。
でもスマホはないからもう一回ギュッ!って抱き着いて主張してみる。
そうしたら気づいてくれたのかスマホを取り出してくれた。
『シキ大丈夫?途中から辛かったんじゃない?』
『もう大丈夫。チラッて見るには大丈夫だったんだけど声を聞いた瞬間怖くなったの』
『お父さんの顔を見ても大丈夫だったの!?』
『うん』
そんなに驚くことなのかな?チラッて見ただけだから大丈夫だったのかもしれないんだよ?
『声を聞いて怖くなったの?』
『うん』
なんか声を聞いた瞬間怖くなったんだよね。お姉ちゃんと一緒で何を言ってるか全然分からなかったけどあの低い声を聞いたら怖くなったんだよね。
『なるほど.........。もしかしたらシキが今の言葉を言葉として認識できないから怖いのかもしれないかもね?』
『どういうこと?』
『シキって今は声は音としては聞けるけど言葉としては聞けない、で合ってる?』
『うん』
『それだったら何を言われてるか分からないから怖いんじゃないかな?お父さんの声だって分からないし、それが男性特有の低い声だから誰が何を言ってるか分からないしね』
たしかに.............。なんとなくだけどさっきの私って多分お父さんの声をお父さんの声って分かってなかったっぽいし、もしかしたらそのとおりかも?
『ありえそうだね。さっきの私って多分あの声をお父さんの声だって思えなかったもん』
『ならこれからは声なしでお父さんにやってもろうか』
『でもそれじゃあ治らないんじゃない?』
『声に関してはシキが声を言葉として認識できるようになったら、つまりちゃんと聞けるようになったら自然とそこは治ると思うよ』
そうなのかな?でもたしかに声で誰が何を言ってるか分かるようになればそこはすぐに解決しそう..........。お父さん限定だけどね!!!
あーあ早く聞こえるようにならないかな?
そしたらこんな不便なやり取りなんて済むのに...........って思ったけどそういえば私声でないんだった!?
一番忘れちゃいけないこと忘れてた!!何してるの私!!
と、とりあえず発声練習は..................どうするんだろ???
ま、まぁとりあえずこの訓練がんばりましょう!!!!!




