表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/26

想定外

 sideイロハ


 想定外すぎる。


 いつもお世話になってる看護師さんに挨拶してたら、シキの病室からコールがあったって聞いたから一緒に行ってみたら結構すごいことになってた。


 まずシキは吐いてるし、泣きながらお父さんとお母さんを親の仇を見てるかのような目をしてるし、お母さんは泣いてるし、お父さんは茫然としてるしでどうなってるの??


 私が病室に入った瞬間にシキは助けて!って視線で訴えてくるし、お父さんとお母さんは使い物にならないしで、とりあえずシキを抱きしめとこうか。


 泣いてるし、吐いてるしで顔がグチャグチャになってるけど関係なし。


 まずはシキのケアをしないとただでさえトラウマが残ってると思うのに、今回のことでさらに追い打ちをかけるわけにはいかないからね。


「..........................!!!」


 ギュッと抱きしめると私の服の裾をキュッと握って声を出せずにに泣き出す。


 頭を撫でながらどうしようかと考える。まずはお父さんとお母さんからどうにかしよっか。


 多分シキはこのまま泣いてるだろうし、泣いてるままならこっちのこと気づかないだろうしね。


 ごめんねシキ。とりあえず今は放置させて。


「で、お父さんとお母さん?どうしたの??2人に限ってシキに変なことしたとは思わないけど.......」


「あ、え、えっと、お母さん達は何もしてないよ?でもシキが私達を見た瞬間にこんなことになって...........」


「あ、ああ。お父さんも同じだよ」


「ふーん。そっか。なら少し待ってて。そういえば言ってなかったけど今のシキって声は聞こえるけど話が通じない状態だから。それに記憶喪失でもあるから」


「え?それって、どういうこと?声は聞こえるのに話が通じないって......?それに記憶喪失って.............」


「音としての声は認識できるんだけど声を声として認識できないらしいよ。んー、簡単に言えば何か言ってるのは分かるけど何を言ってるのかが分からないっていう状況らしい。記憶喪失はものによれば覚えてるけど人間関係は全般的に忘れてるよ」


「声、は出るのか?」


「んーん。今のところは声を聞いてないし、本人も出せないって言ってた」


「どっちも、治るのか?」


「時間が解決してくれるって。記憶の方はもう一生思い出さない方が良いかもしれないけどね」


「それってどういう........?」


「これはまた後で教えるね。学校側から直接聞いたことだから真実のことだし、これを言って冷静でいられる自信もないしね。だから後でお願い」


「分かった.......。」


 精神的なものが原因だと思われるって先生も言ってたしそのうち治るんじゃないかな?


 .............記憶の方は本当に取り戻さなくて良い。私達のことはまたこれからやり直せば良い。でもあの記憶だけは絶対にダメ。こんどこそ取り返しがつかなくなるかもしれないから。


 けど別に声が出なくても記憶がなくてもシキはシキのまま。だから私がこの子を愛することに変わりはない。


 それにいつかは治るんだからそれいいじゃない。今はこうやってシキが元気.......とは言い難いけどこうやって生きて、私達と笑っていられるからそれでいい。


 面倒なこと、難しいことは後でいいじゃない。いまはこうやってシキと一緒に過ごせるだけで私は満足なんだから。


『ねぇシキ?大丈夫?』


 ふぅ.......お母さん達はこれぐらい説明すれば良いでしょう。後はさっきまで放置してたシキをどうにかしますか。


『だいじょうぶじゃない。だれあのひとたち』


『やっぱり覚えてないよね。あの人達はお父さんとお母さんだよ。悠人お父さんとライラお母さん』


『うそ!?あのふたりが!?』


『そうだよ。正真正銘私達のお父さんとお母さんだよ』


 ふふふっ、びっくりしたね。


 でもしょうがないか。いきなり知らない人が病室にいて、怖がってた人がまさかの両親なんて普通は思わないよね。


『いきなりでびっくりしたし、受け入れづらいのは知ってる。けど間違いなく私達のお父さんとお母さん。海外で仕事してたとはいえずっと私達を愛してくれてた家族だよ』


『ちょっとひとりでかんがえたい』


『うん分かった。でもその前に着替えたりシーツ変えたりしようね』


『うん』


『いまからお父さん達と話すけどこっちのことは、まぁ気にせずにね』


『はーい』


 OK!なんとかなった!!


 じゃあ後は看護師さんに任せて私達は談話室に行きますか。


「お父さん、お母さん。シキのこと話したいからとりあえず外に出よ?シキが一人になりたいって」


「でも、大丈夫?」


「大丈夫。あの看護師さんはシキがとってもなついてるから大丈夫。それにシキにとってはいきなりお父さんとお母さんが出てきて戸惑ってるから考える時間くらいあげよう?」


「.........分かった。じゃあシキのこともっと詳しく教えてくれないか?」


「了解」


 何事もないと良いんだけどそうはいかないよね。


 ....................とりあえず私が落ち着かないとね。あんなこと私だって話したくもないし思い出したくもないんだから。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ