ナツノヒ
透明に澄んだ川
夏の日差しが肌を刺し
風を切って走り出した僕ら
サンダルの間に小さな石
痛みを感じ止まっても
夏は待っていてはくれない
夏空の下をつつむ
淡い光の珠
消えぬ思い出を今君と
探しにゆこう
汗ばんだ手を
強く握りしめて
探せ
消えぬナツノヒ
河原には鮎釣りの釣り人
夏の日差しに照らされ
乱反射する水面
眩しさに目をくらませて
立ち止まってしまっても
加速する夏は止まってくれない
夏空の下の
深い緑の山
君と山を越えすぐに
海へとゆこう
肌に張り付く
汗のにじんだシャツを
なびかせ
探すナツノヒ
一生に一回の夏
二度と戻らぬ夏
蝉の声を聴きながら
葉桜の下を抜け
探しにゆこう
今しか味わえぬナツノヒを
宿題なんて知ったことか
夏空の下で
乾いた喉を
君とラムネで潤して
夏空は続き
日が落ちるまで
遊び尽くそう君と一緒に
山を登り海で泳ぎ
河原で鮎を食べよう
まだまだ終わらぬ
終わらせぬ
消えぬナツノヒ