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第六話 異世界エリア、王様死す!!

覇王たちのくぐった異世界エリアのゲートは、街の路地裏のような場所に繋がっていた。


「あ、見て!人がいるよ!」

「見た感じ、この大会の参加者ってわけではなさそうね。」

覇王と虚をよそに、紫電は指先に電流を集め考え込んでいる。


「何してるの?紫電。」

覇王が尋ねる。

「今この次元に穴を開けてお前らをエリアの外の次元に出してやろうと思ったんだ。お前らに戦意はそこまで無さそうだからな。だが、完全に次元が隔離されていて他の次元に行くことができない。」


「つまり、私たちは死ぬか優勝するまでこの2つのエリアから出られないってわけね。」

「あぁ。この大会の運営は俺達のうちの1人しか解放する気はないらしい。ホンモノのデスゲームってことだ。そしてこの一般人の数。おかしいとは思わないか?」


「……!戦闘前提の大会なのに巻き込まれる危険性がある一般人をフィールドに入れている……!?」


「そういうことだ。おそらくこの異世界エリアは運営によって作成された異世界ではなく、元々あった異世界を勝手に他次元から隔離した物だ。運営は、何も知らない異世界の住民までも巻き込んで俺達で殺し合いをさせるつもりのようだな。こんな高度なことをできるのは、とんでもなく強い奴だけだ。」

「運営は、私たちの予想以上に、闇の深い組織ってわけね……。」


「話が難しすぎてよくわかんないぞー!とにかく今は、街のみんなを傷つけないように襲ってくるやつを倒せばいいんでしょ?」

覇王は難しい話には弱いようだ。子供だし仕方ない。


「そうだな。ごちゃごちゃ考えていても仕方ない。いざとなれば、その運営の闇ごと正面からぶっ壊してやればいいんだからな。」

「うんうん!さすが紫電だね!」

「タイプこそ違えど、あなた達本当に戦闘バカね……。」


「とりあえず街をいろいろ見てみない?」

覇王の案に賛成した一同は街を散策することにした。街は中世ヨーロッパのような街並みで、人間以外にもエルフ、オーク、獣人、リザードマンなど様々な種族がいる。


一同は近くの大きな建物に入ってみることにした。

「ようこそ冒険者ギルドへ!」

大きな扉の先には、受付嬢が何人もいる。


「紫電、本当に冒険者登録なんてするの?」

「どうせこの世界も大会が終わったら二度と来ることはない。なら、気楽にここでも冒険者になった方が、スムーズに行動できるだろ?」


「きみ、まだ子供みたいだけど本当に冒険者になるの?危ないよ?」

「するよ!だってあたし、強いもん!」

覇王は話している2人を置いて、一足先に登録をしようとしている。案の定身体能力測定担当のおじやからは止められているが。 


「じゃあここに手をかざしてね。戦闘力を計測して冒険者ランクを決めるから。」

「こうかー?」

覇王はおじやに言われた通りに戦闘力計測台に手をかざす。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

その瞬間、計測台が爆発を起こし衝撃でおじやは天高く飛ばされてしまった。

「……計測台は壊れちゃったので、とりあえず、Eランクから初めてみましょうか?」

近くにいた受付嬢の計らいで、覇王たちはEランクからではあるが冒険者登録をすることができた。


「早速、魔物討伐でも行ってみるか?」

紫電の提案に乗った一同は、魔王城に赴いた。普通の冒険者ならダンジョンの洞窟などから始めるのだろうが覇王と紫電にはそんな常識は通用しない。

しかし、魔王城ではその常識外れな彼女らでも驚くほどの出来事が起こっていた。


「魔王城にいるはずの魔王と魔物達がッ……灰になってバラバラになっているッッ……!!」

「これは灰じゃないわ。骨粉よ。元いた異世界で触ったことがあるからわかるわ。」


「魔物たちがだれかに粉にされたってことかー?」

「その通りよ。そしてこの骨粉から伝わる圧倒的なオーラ。この大会参加者の物に違いないわね。」


「妙だな……。骨粉にされた奴らが血を出したり、争った形跡もない。明らかに普通の殺魔物事件とは様子が違うな。」

「たしかに、人をいくらすり潰すしても、何かしら骨以外の物も残るはすだよね!」


覇王たちはこのことを異世界の住人たちに知らせるべく、人間の王のいる城に向かった。


「だから信じてよー!!」

「魔王たちが粉に?何を言っとるのだ。そもそもEランク冒険者が魔王城にたどり着けるわけなかろう!」

「しかし、このままだとこの世界自体が破壊されかねないぞ。」

紫電は証拠もして骨粉を袋に入れ持ってきている。


「そんなもの信じられるか!!そもそも魔王城は、我々人類はまだ誰も足を踏み入れたことはない場所だ!警備兵!こやつらを牢に入れろ!!」

「なんて横暴な王様なのかしら……。」


虚が呆れていると、城中が地震でも起きたかのように振動しだす。

「……!?なんじゃこの揺れは!!警備兵!何をしておる!!ワシを守れ!!!」


紫電たちがいた大広間の床にヒビが入り、地下からライブステージのようなものが出現する。その上には、エレキギターを持ち派手な服装に身を包んだガイコツが立っていた。

「誰だ!」

紫電がガイコツに向けて呼びかける。


「本日は骨伝(こつでん)ミチビキ・ワンマンライブに来てくれてありがとうございます!!みんなへの感謝を込めて、一曲目、『born is bone』イェェェェェイイッッッ!!!」

ミチビキの叫びと共に、ロック系の音楽がエレキギターとどこからか聞こえてくる他の楽器の音によって奏でられはじめる。


「!!!ぐぁぁぁぁ……!!」

「なんだ!?突然兵と王が苦しみだしただと!?」

苦しんでいる王と兵たちは、しばらくすると身体が崩壊し骨粉となってバラバラになってしまった。

「……!?この能力、きみが魔王城を襲った犯人だね!」

覇王がミチビキを指さす。


「そう!ワタシの能力は奏でた曲に合わせて、様々な効果を他人に発現させることができる能力!!あなた達には骨化の歌は効かなかったようですがね。」

「紫電、虚、下がってて!ここはあたしが相手するよ!」


「頼んだぞ!覇王!」

紫電と虚は耳を両手で塞ぎ、物陰に隠れる。


「祟鬼さんのため、この一曲を捧げます!!聞いてください。『Death Indentation』!!」

ミチビキが曲を奏で始めると、衝撃波のようなものが発生する。覇王は間一髪で避けたが、さっきまで覇王が立っていたところには大きなクレーターができていた。


「いい歌だね!だけど、きみを放っておいたらみんなが粉になっちゃうからね。悪いけど、あの世に戻ってもらうよ!ホネオトコさん!!」


「やってみなさい。ワタシのロック魂を打ち破れるものならね!!」

「そっちがロック魂ならあたしは象魂だ!!いくよ!!」

死のライブ会場と化した王城の中で、魂のバトルが幕を開けた。






残り参加者 21人

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