第五話 雷神vs超新星
「すごい……。本当に余裕で勝ってしまうなんて……。あの男、強すぎますわ……。」
デンジを消し飛ばした紫電は帯電モードを解除する。
「言ったでしょ!紫電は強いって!」
覇王が喜んでいる。
「よし、次はお前か。」
紫電は虚に電影剣を向ける。
「ぇぇぇ!?今完全に仲間みたいになってたじゃない!」
「だってお前この大会の参加者だろ。最後の1人になるまで優勝できないんだからお前も俺の命を狙ってるはずだ。」
「クッ……!戦うしか無さそうね!」
虚は構える。
「……!?何あれ!?」
覇王が虚のほうを指さす。
「フッ……私の圧倒的な構えに見惚れているのかしら?」
「……!?」
次は紫電までも虚のほうへ驚きの表情を見せる。
「もっと見なさい!この美しき私の姿を!」
「お前じゃない!後ろだ!!」
「ふぇっ?」
虚が後ろを振り向くと、波動の塊でできた蒼いマネキン人形のようなものが虚のすぐ後ろに立っていた。
「ぎゃぁぁぁぁ!!!何よこいつ!!」
「この電磁波エネルギー、デンジか!」
虚は急いで覇王の後ろに隠れる。
「そうだ……俺はお前に倒された時、肉体は消滅したが、魂を波動に置き換えることで蘇ったのだ……。」
波動形態となったデンジから声が聞こえてくる。
「そうか、能力者の能力は魂から発現している!魂を肉体から分離することで、新たに波動エネルギーで構成された肉体を生成したのか!」
「わけがわからないよ!」
「要するに能力で生き返ったってことよ。」
紫電の言ったことを虚が覇王に説明する。
「『超電磁・流星波動弾』」
「またその技か!何回でもかき消してやる!」
波動デンジは両手を広げ、胸の前に一個のエネルギーボールを形成する。
「(オービタル・ウェイブは無数のエネルギー弾で攻撃する技のはず。なぜ一個しか出していない?)」
デンジからエネルギーボールが飛んでいき、紫電がそれを電影剣で受け止める。
「ぐッ!さっきの何十倍も威力が上がってやがる!」
数秒押しあったあとに、紫電がエネルギーボールを弾き飛ばす。
紫電がデンジのほうを見ると、デンジは10人に分身していた。
「こいつッ、分身もできるのか!」
10人のデンジからの猛攻を紫電は避けまくる。1人のデンジの手が紫電の左腕に触れる。
「ッッ……!左の腕の感覚が、無い!?」
「この状態の俺に……触れられた者は……感覚か麻痺し、しばらくの間は何も感じなくなる……つまり、無だ。」
「つまり、触られなければどうと言うことはないってことだろ!」
紫電はデンジの分身を3人消し飛ばし残りのデンジのほうに突撃する。
「ぐっ……!!」
そのとき、紫電の足元からデンジの腕だけが出現し、紫電の右腕を掴んでいた。
「これで……両腕は消した……。俺の……勝ちだ!!」
デンジがそう言うと突然、100人近くの分身が周りに出現した。
「これで終わりだ……!『超電磁・流星波動弾』……!!」
100人のデンジたちの胸から紫電に向けて一斉にエネルギーボールが発射される。
「誰の……両腕が消えたって?」
紫電は両手に電影剣を出現させ、回転する様に全てのエネルギーボールを一刀両断した!
「……!?馬鹿な……両腕の感覚は消したはず……。」
「俺は電気使いだからな。腕に電流を流すことで筋肉を動かしたというわけだ。電磁波使いにはこんなことは出来ねぇだろ。」
「クッ……!それなら……100人で一斉攻撃だ!!」
「いいぜ、来いよ。」
「どりゃァァァァ!!!!!」
デンジは一斉に紫電に襲いかかるが、紫電は100人の攻撃をものともしない!
「その程度か!!」
紫電は100人のデンジを超スピードで消しとばしていく。
「残り10人!」
「ぐっ……喰らえ!『超電磁・ライジング・バーン』!!」
10人のデンジは一斉に波動砲を発射する。
「『電影剣・雷神』!!」
紫電は雷の衣を身体に纏う!
「『オスカー・グローム』!!」
紫電から全方位に発射された衝撃波によって9人のデンジが消滅する。
「さぁ、残りはお前1人だ。本体さんよ。」
「こうなったら……!!」
デンジの本体は力を溜め始める。
「俺は超電磁を超えるぞォォォ!!!」
デンジの周りが爆発する。
噴煙の中から人影が出てきた。
「待たせたな……。これが超電磁を超えた俺の最終形態、『超新星』だ!!!」
蒼い波動マネキンの姿だったデンジは表面に宇宙空間が映っているマネキンの姿になっていた。
「なら、俺も新たな力を見せよう。」
紫電は両手の電影剣を接続し、双頭剣のような電影剣を作り出した。
「うおぉぉぉぉぉ!!!」
2人が激しくぶつかりあう。
「2人の戦いが全く見えませんわ……。」
虚は超光速を超える戦いを見切れていない。
「ハァ……ハァ……。」
「ハァ……ハァ……。」
何十秒間がぶつかり合った後、2人はお互い距離を取る。
「この一撃で終わらせてやる!!喰らえ!『超新星・コズミック・バーン』!!!!!」
「感謝するぜ、蓮鎮 デンジ。ここまで熱い闘いができたのは久しぶりだった。俺もお前のその熱い魂に応えよう。『電影剣・トニトルス・テンペスタージ』!!!!!」
「「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」」
2人の技が押し合う!!
「出力は俺の方が高いようだな!紫電よ!!!」
「まだだ!!轟け!雷の衣!!」
紫電の纏っている雷の衣がさらに光だす!
「何ッッ……!?出力が上がっているだと!?」
「7倍ッッ!!9倍ッッッ!!!これがッッ!!10倍電影剣だぁぁぁぁッッ!!!!!!」
「グァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!」
超新星デンジは消滅した。
「ぐっ……。流石に電流で両腕を動かし続けるのはきついか……。」
紫電は雷の衣を解除し、膝をつく。
「今度こそ本当に、紫電が勝ったー!!」
物陰から覇王と虚が出てくる。
「私が今治療するわ!」
虚は紫電の腕を3秒間掴んでから唱える。
「紫電の傷を『零』に!」
すると、紫電の傷は一瞬で完治し、両腕の感覚も元に戻っていた。
「すごいな。これがお前の能力か?」
「そう!私の能力は3秒間触った物の何か1つを『零』にできる能力!もう一度同じ物の何かを零にするためにはもう3秒間触らないといけないけどね。」
「感謝する、虚。」
紫電は覇王に問いかける。
「それはそれうとこいつ殺すか?」
「はぁぁぁ!?!?今完全に仲間になる流れだったじゃない!?!!?!?なんでそうなるのよ!!」
「だって優勝条件が最後の1人になることだからな。お前が俺の命を狙ってると思うのは当然だろ。」
「確かにそうね……。いいわ。残り参加者がここの3人だけになったら、私を殺しても構わないわよ。でもそれまでは協力して大会を進みませんこと?私はさっき見せた通り回復が使えますわよ。」
「紫電、この子連れて行ってあげない?一回助けてもらったんだし。」
覇王が紫電に言う。
「仕方がない。着いてきてもいいぞ。ただし、残り3人になったらお前を1番に殺すからな。」
「えぇ。その時は全力でお相手するわ!」
こうして虚を仲間に入れた覇王一行は無事ゲートを発見し、異世界エリアへと進んだのだった。
蓮鎮 デンジ 死亡
残り参加者 21人
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