第四話 蓮鎮 デンジは滅びない
フォーミュラーとの激闘を制した覇王ことハオと紫電は異世界エリアへのゲートを探していた。
「この近くから次元の歪みの反応を感じる。おそらくゲートも近いだろう。」
「そっか!異世界エリア、どんなところなんだろう。」
「そうだ、ここらでお互いの能力を確認しておかないか?これから敵と戦う時に有利になるかもしれん。」
「じゃああたしから!能力は『神造・象形術』!象にまつわることをイメージするとそれが実体化できるんだ。例えば右手に防御力が欲しい!って考えると右手が黒く硬くなる。こんな感じかな?」
「俺は電気を発生させる能力を持っている。そしてその電気を剣状にした物が、『電影剣』だ。世の電気使いの多くは放電で攻撃するらしいが、それは俺のポリシーに反する。」
「(ふっふっふっ……!まだ2人は私に気付いていないようね。)」
女が2人の会話を物陰から盗み聞いていた。
「それと……さっきからつけてきてるだろ。お前。」
紫電が覇王の後ろ側を指さす。ちょうど女が隠れている方向だ。
「(ギクッ!!!まさかもうバレたの!?)」
「フッフッフッ……!よくわかったなぁ。」
女の隠れている物陰のもっと後ろの物陰から金髪の男が出てくる。
「だれ!?」
覇王も男のほうに振り向く。
「(いやほんとに誰?っていうか私の他にもつけてた人いたの!?)」
物陰の女も驚いている。
「俺は蓮鎮 デンジ。異世界転移者だ。」
「転移者……ほう、俺と同じだな。」
紫電がデンジを見つめる。
「テン医者?なんだそれ?」
覇王は単語の意味がわかってない。
「転移者は異世界に別世界から移動した人間だ。異世界に生まれ変わった転生者や、もともと異世界出身の現地人などはこれに含まれない。」
「じゃああたしは現地人だね。」
デンジが物陰に隠れている女を指さす。
「そこの女をつけて来たら思わぬ収穫に出くわしちまったなぁ。ここの3人を倒しせばグッと優勝に近づくぜ。なにより、俺はお前たちの能力について聞いていたからな。圧倒的有利な状況ってワケだ。」
「げっ!見つかった!」
女が物陰から出てくる。
「バレちゃあ仕方ないわ!私は西宮 虚!あなたたち2人をつけていたのは私よ!」
「「誰だこいつ?」」
覇王と紫電は首を傾げている。
「って私のこと気付いてなかったの!?私の後ろにいたやつには気付いたのに!?」
「コントは終わりだぜ。ねぇちゃん。」
その瞬間、デンジが猛スピードで3人に向かってくる。
「危ない!」
覇王が虚を突き飛ばすが、デンジの手が覇王の肩に触れる。
「っ!!」
覇王の肩のデンジに触れられた部分が、黒く焦げついていた。
「あ、あちゅい!!!」
覇王は予想外の痛みに驚く。
「二発目だ!!」
デンジは驚異的な跳躍力と脚力でまたも3人に接近してくる。デンジは手で指鉄砲を作る。
「バァン!」
紫電には、デンジの指から放たれる電磁波の波動が見えていた。
「電影剣!!」
紫電が電影剣を円形に高速回転させると、雷のシールドが出来、デンジの攻撃を防ぐ。
「何が起きたの!?」
女は高速かつ見えない戦闘について行けてない様子だ。
「冥土の土産に教えてやろう。俺の能力は『波動』を操る力だ。波動はつまり電磁波。電子レンジってあるだろ?あれを進化させた力で、俺は万物を等しく焼くことができる。」
「成程、確かに俺の能力に近い能力だな。どうりで俺には見えたワケだ。」
「電子レンジ?」
覇王は電子レンジを知らないようだ。
「あ〜……。今説明するとややこしくなる。用は電磁波で物を焼くことができる能力ってわけだ。」
「わかんないけど、わかった!」
「俺の能力がわかった所で、お前らの死の運命は変わらないけどなァ〜。」
デンジは笑っている。
「こいつは近接特化型パワータイプのお前と相性が悪い。俺が行く。」
紫電が覇王の前に出る。
「そいつは任せたよ!そこのおねーさんもこっちへ!」
「は、はい!」
覇王と虚は物陰に隠れる。
「オイオイオイ、1人になっちゃあ戦力ダウンじゃねぇか?」
「フン、1人のほうが能力の周りへの影響を気する必要がないから戦いやすいだけだ。」
「余裕だな。じゃあこれはどうだ?」
デンジがエネルギーボールを手から発生させる。
いや、手からだけではない。空中のいたるところから発生している。
「『流星波動弾!!」
全てのエネルギーボールか紫電めがけて飛んでくる。
それを紫電は全て電影剣で切り裂く。
「こんなものか?お前の技は?」
「俺の技はまだ終わってねぇ!!!」
気が付くと、デンジは一瞬で紫電の目の前に接近していた。
「喰らいな!『500垓 G、ライジングバーン』!!!」
紫電はデンジの波動砲をゼロ距離でくらってしまう。
「まずいですわ!あんな攻撃を受けたら死んでしまいますわ!」
虚は戦慄している。だが、覇王は余裕そうだ。
「ふっふっふっ、紫電があれくらいでやられると思う?」
煙がゆっくりと晴れていく。
「今のはなかなかにいい技だったぜ。」
煙の中から出てきた紫電は、全身に蒼い雷を纏っていた。
「な、なんだその姿はァッッ!?」
「これは帯電フォーム。全身に強力な雷を纏うことで次元を歪ませ、あらゆる攻撃を無効化することができる。試しに技でも撃ってみろよ。」
「くそッ!『600垓 G、波動剣エレクトリカル・バスター!!』」
デンジが繰り出した手刀から超巨大な斬撃波が無数に放たれる!!
しかし紫電に確かに命中しているはずなのに、まるですり抜けるかように斬撃波が当たらない。
「なぜだ!!なぜ当たらない!!」
「今度はこっちの番だぜ。『電影剣・トニトルス・テンペスタージ』。」
紫電の蒼き雷の剣から、龍の形をした電撃が放たれる。
「こんな攻撃、かき消してやるッッッ!!!!」
デンジは最大出力で波動を纏った手刀で電撃を受け止めようとする。
「だぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ぐぁぁぁぁぁぁ!!!」
デンジは電撃に飲み込まれる!!
「グギャァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!俺はまだ終わらない!!おわらないぞぉぉぉぉぉッッッッッ!!!!!!」
デンジは塵も残さずに消滅した。
「やったー!!紫電の勝ちだ!」
「すごい……。本当に余裕で勝ってしまうなんて……。あの男、強すぎますわ……。」
この時、虚の背中に、波動の塊でできた虫のような物がついていたことは、まだこの時は誰も、知ることはなかった。
蓮鎮 デンジ 死亡?
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読んで頂きありがとうございます。
今日は少し投稿が遅れてしまいました。