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第三話 覇王、立つ

「オォォォォォ!!!!開始早々とんでもない展開になってしまったぞォォォ!!」

シッカーイが観客に向けてマイクで叫んでいる。

「まさかの武闘会開始10秒で参加者が1人脱落してしまったッ!!この状況、プロパガンダ様はどう思われますか?」


「あぁ。大体は予想通りの結果だよ。測札 地井人の長所はその能力だけだ。もっとも、この大会ではそんな能力は通用するはずがない。自分の実力を買い被りすぎたみたいだね。」

プロパガンダはモニターに映っている紫電の顔を見る。


「そして彼、叢雲 紫電はなかなかの戦闘センスを持っているみたいだ。自分の強さを過信していない者はこの大会では優位に動くことができる。最強格と最弱格では、どちらが強いかは一目瞭然だろう。」


「素晴らしい解説、ありがとうございました!おおっと、次は象牙 覇王選手とフォーミュラー999SSS選手が戦っているようです!!主モニターに回しますッ!」






「来な!フォーミュラー!!ここから先は、本気のバトルだ!!」

夜の高層ビル街の中で、死闘が始まろうとしていた。


象の魔神と化した覇王と500mの巨大ロボと化したフォーミュラーは何秒か睨み合った。

先手を打ったのは覇王だ。覇王は勢いよく飛び上がると、一瞬でフォーミュラーの頭の上の高さまで到達し、そこからフォーミュラーに強烈なパンチを浴びせる。

「どりゃっ!!」

フォーミュラーは素早く両腕でガードしたが、3m近い大きさになり、さらに象魔神化した覇王のパンチをくらい、腕の装甲の一部が砕ける。


「フン、ソノテイドノ攻撃力デ、9999SSSS 《バベル・ザ・ナインティナイン》モードニナッタワタシニ通用スルトオモウナ!!」

すると、フォーミュラーの砕けた装甲が一瞬で再生してしまった。

「へぇ、自己再生も出来るんだ、ほんとに生き物みたいだね。」

「次ハコチラノ番ダ。クラエ、『ロケット・フィスト』ッッッ!!!」


フォーミュラの腕が超光速で覇王に向けて飛んでくる。ロケットパンチの強化版といったところだろうか。


「ぐっ!!」

覇王はそれを両腕で止めるが、ロケットの拳と共に吹き飛ばされていく。

「ハアァァァ!!!!」

覇王の体とロケット拳が直線上にあったビルを破壊していったが、覇王はそれを止めることができた。

覇王はロケット拳を投げ捨て、フォーミュラーの方を見たが、その時にはもう眼前にフォーミュラーのもう片方の拳が迫っていた。


「!!!?」

「『エマージェンシー・フィスト』!!!」

フォーミュラーの巨大な拳が覇王に直撃し、またもや吹っ飛ばされる。覇王の体がビルを何個も貫通していく。そしてその先にも、フォーミュラーが待ち構えていた。


「ミタカ!!コノワタシノ超圧倒的スピードトパワーヲ!!!クラエ!!『百烈・エマージェンシー・フィスト』!!!」

フォーミュラーは覇王を地面に叩きつけると、超スピードでパンチラッシュを浴びせる。


「デェェェェェェイ!!!!!!ドウダッッ!!コレガ機神ト讃エラレシ我チカラ!!!コレコソガ無敵ノパワーだ!!!」


ガシッ!!!


「ナ、ナゼ我ノ拳ガトメラレテイル……?」

覇王はフォーミュラーの拳を受け止めていた。しかも、傷一つ付かずに。


「おまえが大きくなる前の攻撃には思いがこもってなかった。だから凄く軽かった。けど、今のおまえのパンチは熱いココロが込められてる。やっぱりおまえは正真正銘の人間だよ。」

「……ッ!」

「さぁ、次はあたしの番だ!」

覇王はフォーミュラーの拳を払い除けると、腹部の真ん中を目掛けてパンチを繰り出す。


「グアッ!」

フォーミュラーの巨大が大きく吹っ飛ばされる。

「クッ!!『ミリオン・イレイザー』!!!」

フォーミュラーは空中で素早く体勢を立て直し、指先の穴から百万発のビームライフルを連射する!

弾幕の雨の中を、全弾避けながら覇王が飛んでくる。


「……ハッ!」

フォーミュラーが気が付くと、すでに覇王は頭部の前までに到達しており、拳を振り上げていた。

「『エレファント・アルティメットブロー』!!!!!!」

覇王の拳がフォーミュラーの顔面に直撃する。


「いっけぇぇぇぇぇえ!!!!!」




巨大な爆発と共に、フォーミュラーの巨大が粉々に吹き飛んだ。


「ハァ、ハァ……2人はどうなった?」

紫電が瓦礫の中から出てくる。

彼の前には覇王と本体の頭部だけになった巨大化前のフォーミュラーがいた。


「前も言ったけど、あたしはおまえの命を取りたくはない。だって、きみはロボットじゃなくてヒトだもん。」

覇王の魔神化がゆっくりと解けていく。それと同時に、口調も柔らかくなる。


「アリガトウ……。ワタシハ、オマエノオカゲデ、ヤット、ホントウノジブンをトリモドすコトがデきた。」

フォーミュラーの音声は機体にダメージが入っているのか、ノイズ混じりで途切れ途切れだが、確実に、声が機械音声から生声のように変わっている。


「だが……ワタしモ見逃さレてみすみす生き残るワケニハイカない……。誇り高き戦士として死ぬのだ……。」

突然、フォーミュラーの中からピィィーと警報音のようなものがなり始める。


「ふぇっ!?なになに!?」

覇王はビクッとしたあと、フォーミュラーのほうをじぃっとみている。


「まずい。こいつは自爆するつもりだ。」

「誰!?!?」

飛び出してきた紫電に覇王はさらにビクッとしてしまう。


「自爆まで、3……2……1……。」

フォーミュラーの頭部が激しく光出す!!




「『電影剣・夢幻』」

紫電は雷の剣で居合斬りをし、フォーミュラーの頭部は一刀両断された。


「ハァ、ハァ……もしかして、おにーさんもあたしと戦う気なの?」

「いや、そんなことはないさ。お前はそいつを最後まで殺そうとはしなかった。お前、俺と2人でこの大会で戦うつもりはないか?俺と戦うのは残り参加者が2人だけになった時でいい。それまで協力しよう。」


「うん!あたしだって死にたくないし。それに、おにーさんとっても強そうだから、一緒にいると楽しそう!」


「よし。俺は叢雲 紫電。よろしくな。」

「あたしは象牙 覇王。ハオって呼んでね!」

2人は熱い握手を交わし、次の目的地、【異世界エリアへのゲート】を探すため、歩き出した。






「見つけましたわ。あいつらなら、きっと私を優勝させる優秀な手駒になってくれるはずですわ。」

物陰から謎の女が、去っていく2人を見つめていた。







機神 フォーミュラー999SSS 死亡

残り参加者 22人

読んで頂きありがとうございます。

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