第2話 親友もうーちゅーばーな件
――今は授業中
僕は考え事をしていた。桜に桜の推しが僕だってことを打ち明けようか迷っていたのだ。今までは、桜が推してるなんて知らなかったので、言う必要はないと感じていたが、知ってしまった今迷っている。後々バレるくらいなら今のうちにバレた方がいい気がする…そう思っていた時、
「じゃあこの問題は…神条答えてくれ」
僕は先生に急に当てられびっくりした。そして、考え事をしていたせいでどこの問題をしているのか全く分からなかった。
「え、ええと…」
「はぁ…神条、授業はしっかり聞いとけよ」
そう注意され、先生は他のクラスメートに当てた。
まあでも、とりあえずは今じゃなくていいかな…
「キーンコーンカーンコーン♪」
「はい、じゃあ今日の授業はここまで!次の授業までに課題はしっかりやってくるように!」
そして漸く授業が終わり、昼休みになった。みんな集まって弁当を食べ始めたり、走って購買にパンを買いに行く人がいたりと様々だが、僕はあまりお腹が空かないので、基本昼は抜いている。いつものように机に突っ伏し、寝ようと思っていると…
「よう優樹!」
あー、めんどくさいやつが来たなぁ…そう思い僕は机から体を起こし、
「なんだ陽翔?」
目の前の金髪でイケメンで如何にも陽キャって感じの男は僕の親友の広瀬陽翔だ。陽翔とは中学からの付き合いで、たまに一緒に帰ることもある。
「今日新曲発表なんだって?詳しくは知らんが風の噂で聞いたぞ?」
そして陽翔は学校の中で唯一僕がうーちゅーぶで活動していることを知っている人だ。元々陽翔に勧められて始めたので知ってるのは当たり前だ。
「おいバカ!声が大きいぞ!周りに聞かれたらどうすんだよ!」
「大丈夫だって!」
「もしかしてお前、声大きいっていう自覚ないのか?」
「ないな。いつも通りに話してるだけだ」
「はぁ…まあいいよ、誰も聞いてないみたいだし」
「で、新曲発表なんだよな?」
「そうだよ、暇だったら聴けよな?」
「暇じゃないから無理だな」
即答された。まあ、いつもの事なので特に何も思わないが…
「いつもそんなに何が忙しいんだよ」
「俺は優樹と違ってファン達とやりとりしているからな、主に女子と」
「ほんとクズやな」
実は陽翔もうーちゅーぶをやっている。ただ僕とは違って、歌は歌わないもののゲームの実況配信や雑談配信を主に活動している。配信だけのため僕よりはうーちゅーぶのチャンネル登録者は少ないもののそれでもかなり人気である。
実は陽翔は優樹より前からうーちゅーぶの活動をしていて、あとから始めた優樹の方が陽翔より人気があることを陽翔は悔しいため、優樹の曲や配信を見ないんだとか。ただ、陽翔は悔しいだけで、優樹の事が嫌いだったり、憎んでいたりはしていない。むしろ、友達として好きな方だ。もちろんそんなことわ優樹は知る由もないが…
「うるせぇよ。優樹もファン達と話してみたらどうなんだ?」
「いや、僕はいいよ。人と話すの苦手だし」
「そんなこと言ってると一生彼女できねぇよ?」
「いいよ別に…彼女なんていらねーし」
「へぇ…桜ちゃんはどうなんだよ?知ってんだぜ?優樹がいつも桜ちゃんと一緒に学校来てること」
「うっ…」
桜の名前出されるとちょっと考え方は変わるな…正直な話僕は桜のことが好きだ。だけど、今はまだこのままでいたい、振られるのが怖いってのもあるが、今が1番充実してるからだ。
「なるほど。好きなんだな」
「ち、ちげえよ!」
「バレバレな嘘つくなよ」
そう言って陽翔はニヤリと笑った。
なんかムカつくなこいつ、殴っていいか?
「ま、頑張れよ!」
「でも、ファンとの関わりって…何から始めればいいんだ?」
僕は嫌になったので話を逸らした。
「急に話戻ったな。うーん、そうだな。とぅいったーのリプに返信してみたらどうだ?例えば今日新曲発表だろ?だから、新曲どうしでしたか?みたいなとぅいーとをして、そのとぅいーとに来たリプに対して返信するとか」
「なるほど、それなら僕でもできそうだ」
「ファンとの関わりはまじで大事だからな!ちゃんとやれよ?」
「うん、頑張ってみるよ。いつもアドバイスありがとな」
「おう!いいってことよ」
そう言いながら陽翔はクラスの輪の中に入っていった。
漸く僕の席の周りは静かになったので、再び机に突っ伏し、寝始めるのであった。
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では次話でまた会いましょう!